魔族との戦い(9)
モンスター使いと入れ替わるように現れた大男。
コイツが最後の魔族。
コイツを倒さないとモンスター使いを追いかけれない……よな。
はぁ、ただでさえおっさんが心配なのにモンスター使いが逃亡とかないだろう。
「……はぁ」
ため息がでる。
「そんなため息をするなよ。楽しい勝負が台無しなろ?」
大男が無邪気な顔で笑っている。
こっちは全然楽しくねーよ! むしろ迷惑だよ!
でも、仕方ない。速攻で倒してモンスター使いを探す。
腰から抜いた剣を構える。
「お! やる気が出てきたか! いいじゃねーか! さぁヤろうぜ!」
コイツ……楽しそうだな。
「はぁ……お前戦闘狂か」
そうとしか思えないほどコイツが戦闘を楽しみにしている。
こういうタイプはちょっと苦手なんだけどな。
「おう! よく分かったな!」
いや、分からない方が不思議だよ。
はぁ、こういうタイプは一筋縄ではいかないのが定番なんだよな。
コイツの武器はグローブ、まぁ拳だな。
コイツの能力がどんなものかは分からない。
警戒するにこしたことはない。
「さぁ来いよ。ダイソンをやったように俺様も殺してみな」
「そうさせてもらうよっ!」
剣を振り下げる。
的がデカイから当てやすいはず!
ガギンッ!
グローブで止められる。
「へへっ! 結構いい攻撃するじゃねーか。でもダイソンには負けるぜ」
!? あのグローブ、見た目より硬い!
この剣は俺の盾を切り裂いたんだぞ。俺の攻撃が長髪より弱いからといってあんなグローブで止められるのか!?
「次はこっちからいくぞ!」
大男の拳が降り下ろされる。俺の顔に向けて。
ヤバいッ! コイツ予想以上に強い! これでまだ能力使ってないのかよ!
いや、そんなことより今は目前に迫る拳の対処だ。
くらえば死ぬなこれは。でも避ける時間もない。詰んだか? いや、俺にはまだ能力が残っている。これが使える限り俺は諦めない。
「『影盾』!」
影が壁になり、俺と大男の間に現れる。
一瞬でもいい! 避ける時間を稼いでくれ!
「しゃらくせー!」
影の壁が壊れる。
ゆっくりとゆっくりとスローモーションで拳が迫ってくる。
俺もゆっくりと顔を傾けて拳を避けようとする。
間に合え! 俺はまだ死にたくないんだよ!
スパーンッ!
凄い音をしながら拳が風を切る。
大男が目を見開いている。
ギリギリ間に合った。
しかし、かすってすらいないのに頬から血が垂れる。
死ぬかと思ったお返しをしないとな。
「おら!」
拳をつき出してがら空きになった脇を切りつける。
そして直ぐに後ろへバックする。
いったん落ち着きたいって事もあったが、アイツとの接近戦はあまりしたくないっていうのもある。
「ガッハッハ!! 避けられちまったか! それに俺様に一撃いれるとは、お前やるじゃねーか!」
切った脇の痛みなど全く感じていないようだ。
「これだから戦闘狂は嫌なんだよ」
まったく……どうすればこんな状況を楽しめるんだ? やっぱり頭がいってんのか。
「ガッハッハ! そろそろ俺様も本気を出してやるよ!」
大男がグローブを投げ捨てる。
うわぁ、嫌な予感がする。
「『岩大斧』!」
周りに落ちてあった石が大男の手に集まり、大きな斧の形になった。
デカ過ぎだろ! 3m位あるじゃねーか!
もうイヤだー!!
評価よろしくお願いします!




