魔族との戦い(2)
「あー、もう全然見つかんねー」
かれこれ20分は探している。
村もいったい何周したことか……。
20分経ってもモンスターの波は途切れる事はない。
「これは50体どころじゃないな」
ゴブリンだけでなく、オークまで結構な数がいる。
「だから早くモンスターを操っている魔族を見つけないと」
これ以上増えると村にも被害が出始める。それは絶対に駄目だ!
でも何処にいるか分からない。
あー、イライラする。
「もういっそのことモンスター全滅させるか?」
そうすれば魔族が来るかも知れないし。
俺のストレス発散に死んでもらおう!
「よし! そうと決まれば『影槌』!」
影の形を変え、
「伸びろ!」
長さも伸ばす。
「これで振り回してたら吹っ飛んでいくだろ」
異世界二日目にして、結構ヤバい思考になってきている。
「まずはお前からだ!」
丁度目の前にいたゴブリンへ向かってハンマーを降り下ろす。
すると、ゴブリンの頭へ吸い込まれるように、綺麗に頭を潰した。
ゴブリンは声をあげる暇さえなく死んでいった。
辺りには血が吹き出し、体にも血が付くが全く気にした様子はない。
「さあ次はお前だ!」
次々とゴブリンの頭だけを潰していく。
辺り一面は血の海とかしている。
「ゴキャ」
「ゴギャゴギャ」
「ゴゴギャ」
さすがのゴブリン達も不味いと思ったのか、俺を囲むように迫って来る。
「丁度いい。一気に片付けてやる!」
俺は、昔テレビで見た、ハンマー投げを思い出す。
見よう見まねで勢いをつけ回転していく。
軽すぎて遠心力はつかないが十分に威力はあるようだ。
「「「ゴギャー!!」」」
一斉に頭を吹き飛ばされて死んでいく。
因みにハンマー投げっぽくしたが、ハンマーは飛んでいかない。
能力のデメリットで影を外せないからだ。
「ふぅ、一息つける」
ここら辺りはもうモンスターがいない。
あるのは首がないモンスターと血の海だけだ。
「次の場所へ行く前に影を回収していくか」
まったく疲れた様子はなく、淡々とした言葉をはなつ。
バサッ!バサッ!
ん?
後ろから羽ばたく? 音が聞こえる。
少し警戒しながら後ろを振り返る。
「アイツが言った通り、ここのモンスターは全滅か。これは貴様が殺ったんだろう人間」
長髪の男が、黒い翼をはためかせ俺を見下ろしていた。
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