魔族との戦い(1)
ゴブリンやオークが次々に村へと迫って来る。
「お前は魔族達を探してくれ!」
おっさんがゴブリンの頭を槍で突きながら叫ぶ。
グロいなと思ったが、それも一瞬だ。
「分かった! ここは任せる!」
走り出す。
とりあえず村の周りを一周しよう。
「ゴキャ!」
走りながらもモンスターを影槌で凪ぎ払っていく。
凪ぎ払っていくので、影の回収は出来ない。
「何処だ。何処に居やがる」
辺りを忙しなく探すが、いっこうに姿を見せない。
後半周残っているからそちらに賭けよう。
少し走った所で、誰かがモンスターと戦っているのが見えた。
アイツがおっさんが言ってた4人の中の1人か。
「クソッ! キリがねーぞ!」
俺の体ほどある大剣を振り回しながら、独り言を言っている。
大剣の男は、赤毛の少し大柄な男だ。
「ええい鬱陶しい!」
モンスターを大剣で切りつつ、おもむろに左手でポケットの中の物を取り出す。
「あれは……石か?」
ポケットから取り出された物は、赤い小石だった。
「つけ『着火』!」
小石を握り潰す。
すると、握り潰した小石から小さな火がついていた。
「なんだあの石……」
「燃え広がれ! 『大炎火』!」
赤毛の男が思い切り左手を地面に叩きつけた。
ボウッ!!
波紋を描くように、辺り一面を焼け野原に変える。
モンスター達は次々と焼かれていく。
しかし、村へは一切の被害は出ていない。
俺まで炎は届いていない。
しかし、熱気は伝わってくる。すごく暑い。
「これが火の能力か」
あの小さな火から10m程を焼き尽くす炎へと変える力。
「チッ! 取り残したか」
赤毛が舌打ちをし前を睨み付ける。
そこには肌を黒くさせているが、まだ元気なオークの姿があった。
「集え炎よ」
辺り一面の炎が赤毛の左手へと集まる。
左手がメラメラと燃えている。
熱くないのか?
「移れ『大炎剣』!」
左手の炎を大剣へと押し付ける。
すると、炎が大剣へと移り、刀身をメラメラとした炎が覆った。
「さあかかってこいよクソ豚が」
大剣をオークへ向け、挑発している。
「ア''ァァ!!」
挑発に乗ったオークが、赤毛へと突進する。
赤毛はそれを正面から待ち、大剣を構える。
「とっとと死ね!! 『移り火』!!」
「ア""ァァァ!!」
大剣がオークの左肩から股下までを切り裂いた。
大剣の炎がオークへと移り、一瞬にして焼き尽くす。
「ふぅ、能力はやっぱり疲れるぜ」
赤毛が右手で汗を拭っている。
ここはもう大丈夫そうだな。
「俺も早く魔族を探さないと!」
再び村の周りを走っていった。
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