72「見栄」【挿絵あり】
・死者が話す事について
お寺で修行している知り合いの話。
幽霊といえば、何か未練を残す、
もしくは復讐のためにその姿を現すというのが
定番だが―――
「人それぞれじゃねぇのかなあ。
だって、生きている時は普通の人間
だったんだし」
師や同僚たちと一緒に雑談している間に、
そういう話になったのだが……
師匠は事もなげにそう言った。
「いや、でもよほどの事が無ければ、
普通に成仏するもんじゃないですか?」
知り合いが聞き返すと、師はとある話を
始めた。
「檀家の中に、古い屋敷があったんだがな。
そこで時々、幽霊が現れるんだそうだ」
年に一回、もしくは数回という程度だった
そうだが―――
現れるたびに言う事が異なるのだという。
「異なるって、どういう事ですか?」
「何でも、自分は生前は侍だったそうだが……
身分は当初、小物をまとめる組頭だと
言っていたらしい」
ただ出現する回を重ねる毎に―――
いや自分は足軽大将だった、徒組頭だった、
侍大将だった、と……
どうも身分が上がっていったようだ。
「まあ調べるにも限界があるし、
確認のしようも無い事だからなあ」
そこで師はいったんお茶に口をつけ、
「人間、死んでまで見栄を張りたい
ものなのかねえ」
その言葉に、彼と同僚たちは苦笑したという。
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