44「封じ」【挿絵あり】
・対応不可能なものについて
お寺で修行している知り合いの話。
前々回の怪異42話「人数」で、七人ミサキの
話が出たが―――
「ああいうのって、絶対対処出来ないもの
なんでしょうか?」
彼が師匠に問うと、
「あそこまでいくと自然現象みてーな
モンだからなあ」
彼の答えに、同僚たちも一緒に首をひねると、
「たとえば火事だ。
燃え盛っている炎に向かって、
『お願いですからこれ以上物を燃やすのは
やめてくれませんか?』
そう言って通るか? って事」
それを聞いた面々は納得するも、
「では、もう完全に放置するしかないと」
そう彼が質問を重ねると、
「そうは言ってねぇよ。
自然現象だって対応可能なモンはあるだろ。
火なら水ぶっかけりゃいいし、寒いなら
厚着をするとかさ」
それはそうだが、七人ミサキみたいなものでも
対応は可能なのだろうか―――
彼はそう師に問いてみると、
「成仏させるとか、そういうのは無理だが……
行動を制限させる事は出来る」
師匠が話し始めたところによると、かつて
似たような存在の対応を聞いた事があったという。
それは、彼らの行き先や行動範囲をまず把握し、
進む道を植林や岩でふさいで方向を変え、
ぐるりと山を一周させるというもの。
「そうすりゃあ、連中はそこをぐるぐる
回って歩き続けるしかないわけだ。
山の中なんて同じような景色が続いても
不思議じゃねぇし―――
そもそも連中、身代わりを求めてさまよい
続けているだけだからな。
まあ10年は気付かねぇだろうよ」
そういう対応方法もあるのかと、彼と同僚たちは
うなずいていたが、
「そういや、そろそろ10年だったかなあ……」
師がぼそりとつぶやいた事は、誰も聞かなかった
事にしたという。
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