04「勘違い」【挿絵あり】
・原因となり得る事について
お寺で修行している知り合いの話。
怪談話において、人が大勢死んだ場所や
亡くなったところで―――
そこが『そういう場所として』有名になる、
というのは道理だが、
「でも、何も無い場所とか、今まで誰も
死んでいない場所を探す方が難しい
でしょ」
彼の同僚がポツリと言うと、そこからいろいろと
議論が交わされた。
死ぬのは自然現象であり、死なない生き物など
いない。
まして長い歴史の中、人が生きている土地で
死者が出ていない場所などあるはずもなく。
「非業の死とか、理不尽な事とかで、
無念を残しているとか」
「だったら戦争でいっぱいいるだろ。
東京は空襲でそれこそ、何十万と
死んだんだし」
と、議論の途中で師が入ってきた。
そこでより詳しく話に加わると、
「実際、何でもないのに有名になっちまうって
普通にあるからなあ。
どこぞの廃炭鉱か何かで―――
稼働中は一人の死者も出なかったのに、
なぜか心霊スポットとして世に知れ渡って
しまうとかさ」
多分イメージとかが先行して、噂に尾ひれが
ついて、定着してしまうのだろうと。
「後はまあ、勘違いっていうのもあるか」
「?? と言いますと?」
そこで彼らの師匠は両腕を組んで、
「もう40年くらい前かなあ。
若い頃に俺の師匠を交えて、完徹で
麻雀とかしていたんだが」
深夜、すでに午前二時か三時を回った時、
『腹減った』と師匠の当時の師匠が言い出し―――
『牛丼でも買ってくるわ』と外出したのだが、
「戻ってきた時、師匠が血まみれでなあ。
聞くと、『車にぶつかった』って言われて」
『たいした事ねーよガハハ』と言うものの、
慌てて救急車を呼んで―――
病院へ直行させたという。
「ええと、その話がどう……」
彼らの一人が師に問うと、
「いや、それからその辺りで、
『血まみれの男の幽霊を見た』
『話しかけると、大丈夫ですからーと
笑顔で言ってそのまま消えた』
そういう噂が耐えなくなってな……」
そこにいた全員が微妙な表情になったという。
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