29「金縛り」【挿絵あり】
・条件について。
お寺で修行している知り合いの話。
昔は迷信であったものも、今は化学や自然現象で
合理的に説明出来る―――
そんなものの話を同僚としていた。
そんな中ふと、金縛りの話になった。
医学的には睡眠マヒと呼ばれるようで、条件さえ
揃えば、どこでも起きうる生理現象。
諸説あるが、それが現代の合理的説明のつく
金縛りで―――
心霊や呪いなどではない、とされている。
例えば、よく宿屋やホテルで金縛りにあう
怪談が多いのは……
旅先や慣れない土地で興奮、または精神的・
肉体的な疲れが、その条件を後押しするの
だという。
そこへ彼らの師がやってきた。
金縛りの合理的説明や、条件などを
話して見ると、頭をガシガシとかきながら、
「ん~……
まあ、そういうのもあると思うんだけどよ」
と、どこか納得していないというか、異論が
あるような態度で―――
「あの、何か別の原因とか?」
「別にそういう条件もあると思うんだが……
だったら、ホテルにしろ宿屋にしろ、
一室とか特定の場所だけで起きるのは
おかしいだろ」
怪談や心霊話で定番なのは、過去に何かあった
一室だけで―――
全室そうだったという例は聞かない。
「確率や条件でそうなるんだったら、
いわゆる、いわく付きの部屋や
場所以外でも―――
同じ事が再現されなきゃダメなんじゃ
ないか?」
合理的に説明するのであれば、同条件下であれば
どこでも同様の事が起きなければならない。
それで返っておかしい事が証明されてしまう事も
あるのだなあ、と全員が感心していると、
「まあだいたい―――
9割くらいは気のせいだから気にすんな」
残り1割は? と彼は思ったそうだが、
その場で質問する気にはなれなかったという。





