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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
修行編
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画像

 「あ~た~らし~い、あ~さが来たっ! っと」

釣井が口ずさみながら、ラジオ体操を再生した。

いつもの苦行が始まる。

前の会社にいた時間とは比にならない程楽だが、やはり気恥ずかしい。

飛び跳ねる動作が特にそうだ。

何故、毎朝第二までやらなくてはならないのだろう。

この風習は不要だといつも思うが、あの地獄から脱出する事が出来た代償だと、自分に言い聞かせている。


 ラジオ体操が終わると、参田は左手をテーブルに置き、右手で腰を叩く。


 「先生、腰痛いの?」

釣井が声を掛ける。


 「大丈夫。ただ、マッサージしてれうだけだから」

 「マッサージなの? 紛らわ――」


 「いててててっ」

 「ほら、やっぱ痛いんじゃん。何の見栄なのさ。てか、何でそんな時にラジオ体操なんかやるのさ」


 「治るかなと思って。へへっ」

 「ラジオ体操にそんな効果ないでしょ」


 「まぁ、大丈夫だよ、私は腰痛のプロだから」

 「何が腰痛のプロよ」

釣井が呆れながら椅子を引いた時、事務室に渡仲が来た。

アピールでもしているかの様にやたらとロゴの大きいPLAY BOYのTシャツと、やたらとダメージが施されたジーンズという相変わらずの出で立ちに、釣井の怒号が飛ぶ。


 「いつになったらスーツ着て来るのさっ! てか、あんた何、Tシャツで自己紹介してんのさ」

そう言われた渡仲はげらげらと笑う。


 「笑うなっ! 格好もだし、また五分遅刻だかんねっ!」

 「いや、まずテレポーテーションしなかった事を称えてくれよ」


 「毎日、テレポーテーションなしで無遅刻無欠勤なら称えます」

 「遅刻確定してんのにテレポーテーション使わなかったんだぞ? 偉いだろ」


 「遅刻確定してる時点で偉くないです」

 「テレポーテーションして遅刻しないのと、テレポーテーションなしで遅刻しないのどっちがマシなんだよ」


 「どっちもご法度です。ほら、お弟子さんが待ってるから」

 「ほーい」

それから渡仲は、持っていたコーラをがぶ飲みした渡仲は、「よし、行っか」と、僕の肩に手を置いた。


 「それでは只今より、修行を始めるっ! 礼っ!」

道場に着くと、モードを切り替えた師匠は号令を掛けた。

やれやれと、仕方なくそれに従う。


 「よし、今日はまた、更に上のステージに行ってもらうぞ」

師匠はそう言うと、スマホを弄り、それの画面を僕に見せた。

小さな民家の画像だ。


 「クリスマス本番は、届ける家の画像を見てそこにテレポーションすんだけど、やってみ。つまり、この修行がファイナルステージ」

今度は画像を見て、その場所にテレポーテーションするのか。

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