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ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
修行編
54/85

疎外

 それから、二人の女が渡仲と同い年という事が判明した。

尚更、アウェーだ。

自分だけ五歳も上なのは恥ずかし過ぎる。

僕が完全に浮いている。

彼女が全然できなくて必死な奴みたいになってるじゃないか。

苦痛だ。

 

 「そうそうそう、二人共、俺とタメだったよね」

知ってたのかよ。知ってなら言えよ。

予め二人の年齢を把握していたら、参加を断る理由として充分だった筈だ。

帰りたい。


 「二人は看護師なんだっけ?」

二人の女は、お好み焼きとシーザーサラダをそれぞれ小皿に取り分けながら、渡仲の問に〝そうでぇーす〟と、答える。


 「やべぇ、白衣の天使じゃんっ! そそられるねぇ! こんな可愛い娘達に診てもらったらたまんねぇよっ! なっ!」

嫌なパスが来た。

とりあえず、笑っておく。


 「何科か当ていい?」

 「うん、当ててみて」


 「当てたら何してくれる?」

そう言われた二人の女は顔を見合わせる。


 「じゃあ、ほっぺにチューして」

そう言われた二人の女は、「いいよ」と頷いた。

こんな下品なご褒美の提案に承諾する彼女達も、やはり相当な陽キャだ。

肌の露出度はチャラさに比例しているらしい。


 「じゃあ、麻酔科っ!」

 「ブーッ!」

何故、真っ先に麻酔科が出たのだろう。


 「泌尿器科っ!」

 「ブーッ!」

 「放射線科っ!」

 「ブーッ!」

何故、大穴ばかりを狙うのだろう。


 「他に何あったっけ」

もうキスをされる権利はない筈だが、渡仲は箸で切ったお好み焼きを口に入れ、〝んー〟と考える。


 「ちょっ、分からん」

 「正解は……」

 「あっ、ちょっと待ってっ! 外科っ!」

 「あっ、惜しい」

 「惜しい? えっ、分からんわ。マジでギブ」

 「正解は、内科でしたぁ!」

二人の女は、声を揃える。


 「うわ、内科かぁ! 畜生っ……」

外科が出て内科が出ない事があるのか。


 「ところで、お兄さん二人はどんな娘がタイプなの?」

 「そりゃ、目の前にいる二人の姫ちゃんに決まってっしょ」

渡仲の即答に二人の女は大笑いする。


 「お兄さんは?」

僕にパスが来た。

面倒だ。

少し考え、「家庭的な人、かな」と、答えておく。


 「湘南乃風かよ、おいっ! 美味しいパスタ作ったろかっ!」

渡仲がそう言うと、二人の女は手を叩いて笑った。


 それから、陽キャ三人がお酒を数杯おかわりしながらトークを繰り広げ、そのまま〝たけのこニョッキ〟とやらが始まり、当然、僕も加わる羽目になった。

苦痛だ。帰りたい。

合コンの空気と陽キャの雰囲気が嫌いである事を差し引いても、このゲームの面白さが分かりかねる。

尚更、苦痛になってきた。尚更、帰りたくなった。


 だが、三人が陽キャ過ぎて咳き込む隙間がない。

苦痛だ。帰りたい。 

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