表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホーリー☆ナイト! ー新人サンタクロースの奮闘記ー  作者: 走井 響記 (Hashii Hibiki)
修行編
24/85

眠気

 「こちらのカプセルにお入り下さい」

参田はカプセルの中の一つの蓋を開けた。


 「えっと……、これは……、どういう……」

 「それは、入ってからのお楽しみという事で」

 「えっ……」

いや、お楽しみにされても……。全然楽しみじゃない。楽しみより恐怖が勝っている。


 「三時間程経過すると、自動で蓋が開きます」

長いな……。三時間も入るのか……。


 「あの、これって、酸素カプセル、なんですよね?」

 「酸素カプセル……? 何ですか、それ」

酸素カプセルじゃないのか。だとすればこれは一体何なんだ……。恐怖がより強まった。


 「きっと、驚く事が起こる、かもしれません。起こらないかもしれないですけど。あっ、人体に悪影響を及ぼす事は決してないので、ご安心を」

全くご安心出来ない。


 「さぁ、お入り下さい。さあさあ」

 「えっ、あっ、ちょっ」

半ば強引な腕に因ってカプセルの上に乗せられ、そのまま上体を倒された。


 「あの、酸素カプセルなんですよね、これ」

 「何なんですか、それ。私、分からないです。でも、それじゃないです」

一体何なんだ、これは。これから何が起こるんだ。頼むから酸素カプセルであってくれ。


 「では、閉めますね」

 「えっ、ちょっ……」

閉じ込められた。

怖い。これから何が起こるんだ。

三時間、この中に閉じ込められるのか。

怖い。これから何が起こるんだ。

その時、足元から煙が噴射され始めた。

真っ白なそれがカプセルの中に充満していき、窓越しに見下ろしている男の不気味な微笑みはすぐに、一切見えなくなった。


 何だか、眠たくなってきた。

不自然な程、猛烈な眠気だ。

完全にこの煙のせいだ。こんな得体の知れない機械に閉じ込められ、煙に覆われた挙げ句になるのは完全ヤバいだろ……。

怖い。眠気に比例する様に恐怖が増していく。


 蓋を開けようとするが、全くそれが出来ない。

一体自分は、何をされるのだろう。

一体自分は、どうなってしまうのだろう。

一体、奴等の目的は何なのだろう。

改造人間にでもされるのだろうか。

臓器売買でもされるのだろうか。

奴等は、犯罪組織なのだろうか。

あんなにも明らかに怪しい組織を、何故信用してしまったのだろう。

眠ってたまるか。必死で眠気に抗う。


 蓋がゆっくりと開いた。

引き裂いた脱脂綿の様に薄くなっていた煙が、カプセルの外へと逃げていく。

あの男は三時間と言っていたが、一分もなかった気がする。

思わず拍子抜けした。

何故、そこを盛ったのか疑問だ。

いや、熟睡した様な感覚がある。

まさか……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ