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亡国の姫の傭兵譚  作者: 如月 燐夜
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西帝国の女騎士


グランダーツ西帝国最西の都市、ポールデン。


其処に西帝国で名を挙げ始めている一人の女騎士が居た。


彼女の名はカリッサ・バナード。


十二歳から生きるために戦場へと出て槍を片手に早六年、平民から準騎士、騎士爵と叙爵される程の功績を数多の戦場で稼ぎ、国に仕えることを決めた彼女はバルナート王国との戦に参加する為、昨日部下達と辿り着いたばかりだった。


しかし数日後には国境にあるダーツ平原へと向かわなければならず、慣れぬ隊長業務と馬旅での疲れを癒すべく早速取ったばかりの宿のベッドへと寝転がっていた。


「ふぅ…馬はまだ慣れないなぁ…でも騎士になったんだから、馬くらい乗れないと。…はい、どうぞ。」


ため息を吐きゴロゴロとしているとノックの音に飛び起き、慌てて長い銀髪を直した。


「お疲れの所申し訳有りません。指示された食料の補給、物資の確認、武具の発注などの準備が整いました。」


報告に来たのは主計部より副官として着任した女性、バーバラ。


カリッサの五つ上で何かと世話を焼いてくれる。


「有り難う。私はまだ計算が不得手でして、貴方のような存在が居てくれて非常に助かります。」


「いえ、それが私の仕事なので。カリッサ隊長、お茶と菓子をお持ちしたので良ければどうぞ!」


「何から何まですまない。一緒に一息入れましょう。」


まだ貴族の末席としての自覚が湧かず、辿々しい口調ながらも日々の気遣いに感謝する。


早く慣れねば、と勇み足を踏むも平民気質が抜けきらない。

にそんなカリッサを妹のように手助けするバーバラ。


二人は何かと気が合う。


「ふふふ、ではお言葉に甘えて。カリッサ隊長もまだ疲れが抜けないでしょう?早めにお暇しますわ。」


カリッサを気遣い一歩引いた目線で見守ろうとするバーバラだが、この後も隊費の支出などの帳簿付けや、雑事が残っているのを表に出さず微笑んでカリッサの要望に応えた。


一時間ほど話をしてバーバラはカリッサの部屋を後にした。この後の業務のことを考えると億劫だが、頬をぺちんと叩くと気合いを入れ作業に戻った。



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