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亡国の姫の傭兵譚  作者: 如月 燐夜
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カリマッカ商人 ウミネコ



二日の時間が流れた。

スターリア傭兵団は別動隊のクラリス、ガンズ、ワルトフ一行との合流をする為バルナート王国の都市エライザの街に立ち寄った。


このまま東に進めばフレッツェと言う都市に辿り着く。エライザは商業重要拠点として栄えており、街中にはフレッツェに向かうであろう多くの正規兵や傭兵、商人、娼婦などがごった返していた。


部隊を開いているスペースに駐留させるとスターリアはテルノ、マナと共に輜重兵隊長ウミネコの待つ宿へと向かった。


見張り役としてヴォルフやロストマンを残し兵士が喧嘩しないかを監視させた。


この様な大きな都市では暇をもて余した傭兵達によっていざこざなどが起こりやすい。


余計なトラブルを抱える前に対処するのも必要なのだ。


指定された宿へと辿り着く。


ウミネコの名前を宿屋の主人に伝えると直ぐに声を掛けに出向いた。


カウンターの横にあるテーブルに掛けてよいと言われたので椅子に座っていると、ボサボサ頭の如何にも寝起きです、と言った風体の女性が現れた。


彼女がウミネコである。


「隊長、おふぁよおごじゃいましゅ」


「悪いな、ウミネコ。色々と動いてもらっているのに起こしてしまって。無事に辿り着いたよ。」


「よかったでしゅ…ちょっと顔を洗ってきます…報告はその後に。」



「あぁ、構わない。ご主人、何か軽くつまめるものを頼めるだろうか?」


ふらふらと辿々しい足取りで宿屋裏の井戸へ向かったウミネコを見送ると宿屋の主人が品書きを持ってきてくれる。どうやら食堂も兼任しているようで昼食には少し早いが食事にすることにした。



「俺はエールで」


「勤務中なのでダメです!果実水を四つお願いします。」


「ちぇーっ…お堅いねぇー。隊長、ウミネコの奴の事だからこの宿には誰も出入りしねぇよ。気兼ね無く兜を外しゃあいい。」


「えぇ、そうね。」


ウミネコは女性目線による細かい気配りが行き届いており、スターリア傭兵団にとっては無くてはならない存在だ。


若くしてカリマッカ商国の議員に名を連ねた経歴がある程の凄腕である。

商人としては優秀なのだが、それ故に嫉妬による嫌がらせとセクハラにぶちギレて降格したと共に国を出奔したと言う経歴があるのだが。


「お待たせしました!あ、改めてお待ちしておりました団長!テルノさんが気付いていると思いますけど、この宿屋から両隣までは買収済みです。丁度空き家だったので全部纏めて借りちゃいました。」


食事を楽しんでいるとウミネコが戻ってきた。


先程とは一転、ウェーブした茶髪に理知的な単眼鏡(モノクル)、レディスーツのような仕事着に着替えていた。

よく知る彼女の姿そのままだ。


喋らなければいい女、だと言ったのはテルノだったか、ヴォルフだったか。


確かにその通りだが彼女の有能さは他の追随を許さないだろう。


「そうですか。今夜と明日はここに泊まり明後日の日が昇る前にフレッツェへと向かいます。準備をお願いしますね?」


「ええ、心得ています。既にその予定で動き出しておりますので。食料や武器などは既に馬車に積み込みも完了しておりますので何時でも出れますよ。」


「流石はウミネコですね。さぁ、料理が冷めてしまう前に食事を済ませてしまいましょうか。」


ウミネコもテーブルに付き食事を始めると女性ばかりで居心地が悪いのか隙を見てテルノがいつの間にか席を立ち、酒場で情報集めをしてくると飲兵衛らしい言い訳をして出ていった。


望まぬまま女子会へと発展してしまった会議と言う名の近況の刷り寄せ兼昼食会は無事に終わった。


ウミネコの取った宿屋は湯浴みの施設も併設してありアンナは数日ぶりに鎧を外し、ゆったりと過ごしたのだった。

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