手紙をもらいましたわ!
私が屋敷でゆっくりしていると、難民支援団体の団長さんとその息子さんが私を訪ねてきましたわ。
「お嬢様、難民支援のボランティア団体の団長を名乗る男性がお嬢様に是非お会いしたいと訪ねていらっしゃいました。どうなさいますか?」
「会いますわ」
「では、応接間にお通しします」
そして応接間に団長さんと息子さんが来ましたわ。
「お初にお目にかかります。難民支援のボランティア団体、ノエルベールの団長のベリルと申します。こちらは息子のノエルです」
「ノエルです。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げて挨拶するベリルさんとノエルさん。ノエルさんは、ちらりと私のそばに護衛として控えるネイを見てぽっと顔を赤らめましたわ。ネイもよくみると顔が赤い。あらあらこれは?
「ミシュリーヌ・マチルド・プロスペールですわ、以後よろしくお願い致します。こちら、私の護衛のネイですの!ノエルさん、歳も近いですし仲良くしてあげてくださいませ」
「お、お嬢様!?」
「手始めに手紙のやり取りからどうかしら」
「お嬢様!」
とりあえず、一通り挨拶が終わったところでベリルが本題に入る。
「今日は、ミシュリーヌ様にどうしても受け取っていただきたいものがございまして。本当なら公爵閣下にも直接お渡ししたいのですが、お忙しいとのことで。ミシュリーヌ様から渡していただけますか?」
そう言ってベリルさんは、誰かからの手紙を私に渡してくれましたわ。
「お手紙?」
「この間難民を受け入れていただいた日に預かりました。難民の少年からのお礼のお手紙です」
「読んでもいいかしら?」
「もちろんです」
私は自分の分の手紙をその場で読む。手紙には感謝の言葉と少年の境遇、そしてもう一度深い感謝が綴られていましたわ。
「…」
私はぎゅっと手紙を抱きしめる。少年の真っ直ぐな想いに胸が苦しくなりましたわ。
「今この場でお手紙のお返事書いてもいいかしら?渡してきてくださる?」
「もちろんです。今度私と息子のお手紙のお返事も渡しに行くつもりですので、その時でよろしいでしょうか?」
「ええ」
私は手紙の返事をその場で書く。感謝の言葉に感動したこと、少年には幸せになって欲しいことなどを綴って、ベリルさんに渡す。
「お願いしますわ」
「はい、たしかにお預かりします」
ベリルさんは私に優しく微笑んだ。
「ではネイとの手紙のやり取り、よろしくお願いしますね。ノエルさん」
「お嬢様ーっ!」
「あの…僕、冗談じゃなくて本当にネイさんと文通したい。どうかな?」
「え、えっと!こ、こちらこそよろしくお願いします…」
うんうん、もう一組カップルが成立しそうな予感ですわ!




