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【電子書籍化】悪役令嬢に転生したのでノリノリでなりきりしてみたところ、何故か溺愛されている気がしますわ!?【発売中】  作者: 下菊みこと


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ヒロインにも祝われましたわ

十五歳のお誕生日の次の日。私は週末では無いのですけれど、リゼットと護衛であるネルとネイを連れてソランジュのお店に来ましたわ。


「ソランジュ、来ましたわよ」


「お嬢様!いらっしゃいませ、来てくださってありがとうございます!準備は出来ています、こちらへどうぞ!」


今日はソランジュのお店はお休みですわ。何故って、私をお祝いしたいとソランジュが毎年私のお誕生日の次の日にはプチパーティーを準備してくれているからですわ。


「毎年ありがとうございます、ソランジュ。嬉しいですわ」


「喜んでいただけて私も嬉しいです!」


「でも、聖女様にこんなことをさせていいのかしら」


「いいんです、むしろ聖女としての力に目覚めたのはお嬢様のためなんですから!」


そう、ソランジュは聖女として覚醒している。


乙女ゲーム〝瑠璃色の花束を君に〟では、主人公ソランジュは平凡なパン屋の娘。平民であり裕福でもないソランジュは、しかし必ず十五歳になると行われる魔力検査で聖女の候補となれる資質があることがわかる。そして聖女候補として貴族学園に特別入学するのだ。


しかしソランジュは、なんと聖女として既に覚醒してしまった。その理由は…私だ。


「あの時はさすがに怖かったですわ。本当にありがとう、ソランジュ」


「お嬢様がご無事でなによりです」













あの日、私は毎週末恒例のパンを買って孤児院に届ける、通称パン祭りのためにソランジュのお店に来ていた。そこで事件が起こった。


「強盗だ!大人しくしろ!さもないと撃つぞ!」


強盗が突然ソランジュのお店に押しかけて来たのだ。私を誘拐し、お金を稼ぐ計画的犯行、だったみたいですわ。


犯人は魔法銃を所持しており、ネルとネイは私を守ろうとして私の目の前で撃たれましたわ。私はあまりの事態に呆然として、動くことができず犯人達に連れ去られそうになりましたわ。その時。


「…お嬢様ぁっっっ!!!」


ソランジュが、私を守りたいと思う気持ちで聖女としての力を覚醒。その場で倒れていたネルとネイは傷が一瞬で治り息を吹き返し、私を掴んで攫おうとしていた犯人達は反対に泡を吹いて倒れましたの。


そしてこの国の宗教の中枢である中央教会から、ソランジュは正式に聖女として認められましたわ。


お父様もお母様もルーセルも、そんなことがあったからソランジュにとても感謝しておりますの。ちなみにその日に限って用事があってお留守番していたルーセルは泣いて、そばにいられなくてごめんなさいと謝ってくれましたわ。ルーセルのせいではありませんのにね。本当に可愛い奴隷ですわ。













「ネルとネイが死なずに済んで、私も無事で。ソランジュには感謝に絶えませんわ」


だから、悪役令嬢としてソランジュを傷つけるのにちょっと罪悪感。


「いえいえそんな…あ、これ今年のプレゼントです」


「ありがとう。開けてみますわね」


開けるとそこには、可愛らしいハンカチ。


「私がブランドショップで買えるものなんてそれがせいぜいで…でも、それならお嬢様に普段使いしてもらえると思います!」


「ありがとうございます。大事に使いますわ」


「ふふ、はい!」


「今年もソランジュの手作りのケーキを食べられて嬉しいですわ。本当にありがとう、ソランジュ。お誕生日ケーキ、とても美味しいですわ」


「よかったです!」


にっこりと笑うソランジュ。


「でも、ソランジュが聖女様としてこの国の貴族との付き合い方を学ぶため、貴族学園に入学することになってよかったですわ。聖女様として目覚めたからすぐ教会に務めよとか言われたらどうしようかと思いましたわ」


「まさかお嬢様とキャンパスライフを送れるとは思っていなかったので、私もとても嬉しいです!」


「…」


無邪気に笑うソランジュには悪いことをしますけれども、ソランジュを虐める路線は変更しませんわ。人生を賭けた演技ですもの、妥協出来ませんわ。


「ソランジュ」


「はい、お嬢様」


「その…貴族学園には素敵な殿方がいっぱいいますわ。貴女は平民出身とはいえ、聖女様。身分的にも問題はありませんの。だから、その…私のことは気にせず、周りの素敵な殿方と交友を深めていくといいですわ」


私の言葉にきょとんとするソランジュ。


「素敵な殿方、ですか?でも、貴族の方と私では…」


「さっきも言いましたけれど、貴女は聖女様ですのよ。身分的には充分ですわ」


「うーん」


少し悩ましげな表情の後、ソランジュは笑顔で言った。


「貴族の男性と仲良くなるのも素敵だと思いますけれど、私はお嬢様と素敵な時間を過ごせたらその方がいいです!」


笑顔でそう言い切るソランジュに、私本当にこの子を虐めることが出来るかしらと不安しかない。でもやるのよ、私!これは人生を賭けた演技ですもの!


「…私以外に、ちゃんとお友達を作るんですのよ」


「はい、お嬢様!お嬢様の大切な方とも仲良くします!」


「えっと…そうではないんですのよ…?」


ソランジュが無邪気過ぎて、むしろこちらが泣きたいですわ…。先行き不安ですわ…!

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[気になる点] どうなるのかな〜? 着地地点の想像ができないドキドキ(笑) [一言] ハッピーエンドだとは信じてます!
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