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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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65 フルフトバールで魔獣狩りだぁ! そのご

 翌朝、不帰の樹海は夏だというのに、春先の朝のように冷え込んでいた。

 寒いのは、森の中だからかなぁ? あと昨晩は犬系でも鳥でもない獣の鳴き声が聞こえて、なかなか寝付けなかった。


 朝支度を済ませ、ガーベルの作った朝食を食べてる最中に、僕はみんなに声をかけた。

「みんなに話があるんだけど」

 そう言って取り出したのは小さな箱。


「何だそれ?」

 パンを頬張りながら首をかしげるテオの横で、イジーがハッとした顔で訊ねてきた。

「もしかして、兄上が作ってた魔導具ですか?」

 ネーベルたちと出会った頃ぐらいから、こんなのがあればいいのにと思って、ずっと開発していた、例のインカムの試作品がようやくできたんだ。

 僕がヘッダぐらい頭が良かったら、もっと早くできただろうけれどね。


 僕がネーベルと一緒に、インカムを作ってることをイジーは知っている。

 時々話をしていたからね。

 でも、こういった魔術回路は苦手の分野っぽく、少し話しただけで目を白黒させて、申し訳なさそうな顔をしながら、「難しいです」と素直に言われてしまった。


 イジーは勉強ができないわけではないし、書類仕事や政治の分野だってちゃんとできるのだけど、どちらかというと身体を動かす方が得意で、意識がそっちに傾くのだ。

 とても賢そうな、ザ王子っていう外見とは裏腹に、策を弄するよりも物理で解決する方を選ぶ傾向があるんだよね。

 ある意味、外見詐欺。


「うん、ようやくできたんだよ。でも、実用できるかどうかは、本当に使ってみないとわからないし、だから今回使ってみようかと思ってね」

 イジーの問いかけに答えながら、インカム形式の魔導具をみんなに配る。


「これは音声通信ができる魔導具だよ。魔獣狩りの部隊でも、それぞれの分担があって、離れた場所で動くこともあるよね? その時に指示を出したり聞いたりする手段があった方が楽かなって」

 魔導具を受け取ったトレッフが、しげしげと見つめながら呟いた。

「通信、ですか?」

「うん。簡単に言うとさ、遠くにいても仲間同士で会話ができるものだよ。使い方は簡単で、耳につける魔導具で音声を受け取って、首につける方の魔導具で自分の声を送る仕組み」

「面白そう。すぐ使えるんですか?」

 説明を聞きながら、ピートは関心の声を上げる。


 本当にここまで持ってくるの大変だった。

 魔石の魔力がすぐに切れてしまう問題が特に。

 ヘッダからもヒントを貰ってようやく解決したんだ。

 要は、魔石の品質と透明度だった。

 魔石にも等級があって、クラックが入ってたりすると、そこから魔力が漏れやすくなるから、品質等級が低い。

 そして、透明度が低いと魔力の通りが悪い。

 だから、クラックが入ってなくて透明度の高いものを選出してみたら、持続時間が大幅アップ!

 ようやく実践で、試しに使えるまでに持ってこれたのだ。


「たぶん、年配の人には、こんな道具は必要ないって拒否されると思うんだ。だって今までなくてもできたわけだし。でも魔獣の中には音に反応するのもいるんじゃないかな? そんなときに使ってもらえればいいかなって」

 みんなに使ってほしいとか、絶対に使えって指示を出す気はない。

 使いたいって人には使ってもらえばいいし、用途で使い分けるのでもいい。


「一応ネーベルと一緒に何度か試したんだよ。構造物がある場所で使ったときには問題なく使えたんだ。でもあんまり離れすぎると使えなくなるから、斥候の探索での連絡向きではないと思う」

 僕の説明にピートとトレッフは、なるほどって顔をする。

「昔堅気の魔獣狩りは、たしかに受け入れにくいかもしれないです。でも俺はこれ使ってみたいですよ!」

「今までのスタイルを続けているのは、それなりに理にかなってるところがあるからですが、でもこういった新しいものを取り入れるのも時代ですよね。俺もこれは使ってみたいです」

 二人の言葉にほっとする。

 そうなんだよね。今までのやり方だって充分。

 でもこういった道具を使うのは、んー言い方が悪くなるけれど、楽をするって考える人もいると思う。

 ただこう、言葉の選び方? 楽をするじゃなくって、便利なものを使うって考えてほしい。


 そもそも魔獣狩り自体、めちゃくちゃ危険なことなんだもん。

 道具を使って生存率が上げられるなら、それに越したことはないと思うんだ。


 とりあえず今日の狩りで、試しに使ってもらって、夜に使い心地なんかを聞くことにした。

 僕とネーベル、テオ、イジー、そしてフェアヴァルターに、オブザーバーでピートとトレッフで、中層との境目のポイントに。

 クルトとリュディガーそしてマルクスは、ゲルプと一緒に低層の小型魔獣がいるポイントで狩りをすることにした。

 ガーベルとピルツは、拠点内に簡易の畑を作ると言っていたので、拠点での作業に従事するそうだ。


「芋系は放っておいても育ちますが、問題は葉物系ですね。野草を捜して繁殖させた方が早いかもしれません」

 あと手入れをしなければ味は落ちるけれども、根菜類もいけるのではないかと、ガーベルは言っていた。

 根菜かぁ。

 人参とか、あとは蕪? ポロネギとかもいけるのでは?

 安地拠点には、果樹が植えられていて、立ち寄った魔獣狩りの部隊が、時折手入れをするそうだ。

 フルフトバールの魔獣狩りは、殆どがこの地で生まれ育った領民で、そして次男三男が多い。

 実家が果樹園をやってるから、手入れに慣れてる魔獣狩りの人もいるのだ。

 だからガーベルの言ったお野菜の畑も、農園が実家で手伝いをしてる人なんかが、何かいいアイデアを出してくれるんじゃないかな?




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