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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(四年生)

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18 隣国の王家で起こったこと、そのさん

 第三王女殿下の話はまだ続く。

 ソーニョは周囲の令嬢を使ったマッチポンプで、見事、第四王女殿下を自分に依存させることに成功した。

 第四王女殿下はソーニョに盲目的になって、彼の言うことならば何でも聞くようになっていったようだ。

 王宮内でもソーニョに対して優遇するように取り計らい、国王陛下や王妃殿下にもソーニョは信に値する人物だと口添えし、カプラ大公を一代大公で終わらせるのではなく、ソーニョに引き継がせるのがいいのではと訴え続けたそうだ。


「国王陛下は第四王女殿下の言葉に半ば同意しかけていましたが、王妃殿下はそれだけは絶対に許可できないと反対されていました。王妃殿下のお言葉に同意したのは第一王女殿下もです」

 第二王女殿下はすでに降嫁していたけれど、王妃殿下や第一王女殿下と同じ意見で、降嫁先の公爵家も反対という姿勢をとった。


「アレの目的は、第四王女殿下を使って、自分の地位を確立したかったのでしょう。ただし、第四王女殿下と婚姻して王家の一員になる気は毛頭なかったようです」

「あくまで、カプラ大公を存続させるか、公爵として家門を引き継ぎたかったと?」

「そうです。そして自分の思い通りになかなか事が進まない状態に、アレは隠れて第四王女殿下を虐げるようになったのです」

 モラハラDVクソ野郎だったのか。

「周りは何をしていたんですか?」

 王女ならば常におつきの侍女が最低でも一人、通常は二、三人くっついているし、そこに専属の護衛騎士だって張り付いていたはず。

「身体を傷つける暴行はされなかったのですよ」

「言葉による暴力ですか」

 さすがに王族に痕が残るような物理暴力はできんだろう? しかも何度も怪我を負えば、疑いの目を向けられるのはわかっているだろうし、疑われなくても、怪我を負っているのが王族である限り、調査されるだろうからね。

 なら、やるとしたら、人格否定形の暴言だ。

「……上手いことを仰います。そうです。それまでの積み重ねで、周囲はアレが王女に何かすることは絶対ないと信頼していました。何かがあった場合は、アレが王女を守ってくれるとまで思っていたでしょう。第四王女殿下はアレとともにいるときは、常に人払いをしていました。周囲も第四王女殿下の想いを知っていたので、短時間であるならと、二人だけにさせていたのです」

 周囲への信用信頼される土台を作って、第四王女殿下が完全に自分に対して依存するようになって、本性を出したんだろうね。

「第三王女殿下は、どうしていたんですか? 二人とご一緒だったのでしょう?」

「えぇ、もちろん。アレは、わたくしがそばにいるとき、第四王女殿下よりも私の方を優先するのですよ。わたくしが、アレをこれっぽっちも信用していないと気が付いているから、なおのこと、自分は誠実な人間であるという態度を見せていました」

 この様子だと第三王女殿下は、ソーニョに対して、『おめーのこと信用してねーんだよ』とあからさまな態度はとっていなかったんだろうな。

 むしろ騙されたふりをして、愛想良く振舞っていたんじゃないだろうか? 


「第四王女殿下は、もともと自己主張が少ない、おとなしめの性格だったのですけれど、それでも王女ですから、対外面で王女としての立ち振る舞いはシッカリしていました。だけれど……、どういったらいいのでしょうか、公私の私になるところでは、どんどん卑屈になっていったのです」

 ソーニョによって第四王女殿下はどんどん自分を卑下していくようになった。

 『自分は出来損ない』『王女として未熟』『間違って王族に生まれてしまった』『王女の地位は自分にふさわしくない』『自分は何もできない』等々と、常に口にするようになり、公以外ではソーニョ以外のものを傍に近寄らせず、引き籠りがちになった。

 精神に引っ張られて体調も崩すようになったことから、いわゆる鬱状態になったのだろう。

 王女がそうなれば、当然上に報告されるが、原因がわからない。


「わたくしは、アレが第四王女殿下に何かをしたのだろうなと、気が付きましたよ。他に心当たりがないのですからね。内密に王妃殿下に頼んで、王家の暗部を第四王女殿下に付けさせてもらいました」

 特に王家の暗部を動かしたことがソーニョの耳には入らないようにと、注意を払ったそうだ。

「まぁそれだけでは心もとないので、決定的な証拠をつかむことにしました」

 その時のことを思い出したのか、第三王女殿下は笑顔を浮かべる。

「アレは自分よりも賢いものはいないと慢心していたのでしょうね? 王族を侮りすぎです。自分だけが人を操ることに長けていると自惚れていたのですよ。自分と同じようなことを私がしているなどと微塵も思っていなかった。第四王女殿下が依存しているのは自分だけで、誰にも助けを求めることはないと、そう思っていたからこそ、あのようなことができたのでしょう。ですが、リューゲン第一王子殿下。イグナーツ第二王子殿下。お二人ならお判りでしょう?異母兄弟だから仲が悪いなどということはありません」

 そうだね。そんなのは、僕ら兄弟がよくわかってる。

 特にうちは、敵対する必要なんてなかったし、本当に国王陛下の手配、王妃様の周辺さえちゃんとしていたなら、うちの母上はあんなヒスを起こして、物にあたることもしなかったんだよ。

 だって母上は、国王陛下や王妃様のことで、一度でも僕に八つ当たりをすることはなかったんだもん。

 そんな人なんだから、きちんと側妃として遇して対応してくれていたなら、側妃として国王陛下と王妃様を支える立場でいたと思うんだ。

 リトス王家の王妃殿下と側妃は、そういった関係をちゃんと築けているのだろうね。



GAノベルから

4月15日に発売します


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