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ざまぁフラグが立ってる王子様に転生した  作者:
王子様の学園生活(三年生)

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38 どんどん大きくなっていく気持ち

 ネーベルは話を続ける。

「あとはブルーメ嬢とヘンカー様。ブルーメ嬢はある意味オティーリエ様に似てる。けど教育を施すというよりも、保護しとかなきゃいけない相手だよな? 理由はオティーリエ様が言った物語のヒロインという立場であるせいで、女神の干渉がある。その存在を利用して、アルとイグナーツ様の将来が破滅に傾く恐れがある。だからこっちの陣営で保護して、監視していないといけない」

「うん」

「こういう相手に、アルが特別な想いを抱くとは思えない。あくまで監視対象で、そこから恋に発展するには、アルの性格とか思考とかを見ると無理がある」

 僕のこと一番わかってるのって、ネーベルだなぁ。

「ヘンカー様も同じだな。って言うかヘンカー様は、ブルーメ嬢がいなかったらアルの前に現れることもなかっただろう? あとこれは偏見だって言われそうなんだけど、あの人自身が、そういったことに興味なさそうな気がする。あの人はたぶん、アルの臣下になることは望むだろうけれど、アルの妻とか恋人とか、恋愛の相手に自分がなるっていう考え自体をもっていない。それはアルも同じだろう?」

「そうだね、傍にいる相手をいちいち恋愛対象者として見たりはしないよ」

「そうやって考えれば、イヴはそのどれにも当てはまらなかった。良くも悪くも中間地点にいる相手だ。俺はアルが何かを意識したりするなら、イヴだろうなとは思っていたよ」

 そう思いながらもネーベルは何も言わなかったのか。

 ちらりと隣にいるヒルトを見ると、ヒルトはまるでおじい様やおばあ様が僕を見るようなそんな目をしていた。

「アルベルト様に、恋しいと思う方が見つかってよかったです」

「うん」

「ただし、それでおしまい、というわけにはいきませんよ?」

 え、抉ってきたー!! え? どういうこと? ヒルトなら『そうですか、頑張ってください』って言って終わりだと思ったけど、そうじゃないの?

「なにを驚いた顔をなさってるのですか」

「え、だって好きな人を見つけろって」

「その前に伴侶を見つけてくださいと言いましたよ」

 そうだった。

「私が好きな人を見つけて恋をして欲しいと言ったのは、生涯を共にする相手なのですから、義務感で一緒にいる相手ではなく、好きな人であってほしいと思ったからです。この先、辛いことや不幸なことがあったとしても、好きな人と一緒であるならば、アルベルト様は乗り越えていけますよね?」

「……うん。それからネーベルやヒルトが一緒なら、僕、頑張れるよ」

「ありがとうございます。ならば、方針を決めさせてください」

「方針?」

「はい、アルベルト様。貴方はイヴをご自分の妻にと、お望みになっていますか?」

 ヒルトは……、現実的なものの見方をしていた。

 そして僕は、ヒルトにそう訊ねられるまで、イヴとどうなりたいのか、そんなことをまったく考えていなかったことを知った。

「……わからない」

「好きだとそう想うだけで、そのあとのことは何も考えていらしてない?」

「うん」

 素直に頷くと、ヒルトは少し考え込む仕草を見せる。

 この沈黙が落ち着かなくって、そわそわしてしまう。どうしていいかわからず、ネーベルを見ると、ネーベルはやれやれと言いたげな様子で僕を見ていた。

「せ、積極性がないと思ってる?」

「いや、いつも超然としてるアルも、ちゃんと俺たちと同じなんだなと思っただけ」

 うぐぐぐっ。なんか言い返したいけど言い返せない。

 正直言うと、誰かに恋をしているというところは、僕よりもネーベルのほうが先輩だ。

「ひとのことを人外みたいに表現しないでよ」

「そりゃぁ、悪かったな」

「アルベルト様、ご自分の気持ちをイヴに告げる気はありますか?」

 にんまりと笑っていたネーベルを他所に、ヒルトは真面目な表情のまま引き続き訊ねてくる。

 イヴに僕の気持ちを?

「どうだろう?」

「そこからですか。これは何とも気が遠くなりそうですね」

「え?! もしかして僕、ヒルトを困らせてる?」

「困らせているというか……、どうお伝えしたらわかっていただけるのだろうか?」

 ヒルトが何を言いたいのか、やっぱり僕にはわからない。

「仕方がねーな。ここはもう順序だてて言うよりも、アルの気持ちを駆り立てないと始まらないだろ?」

「そうか?」

「そうだ」

 えー? 二人でしかわからない会話しないでー。僕も交ぜてー。

「あのなぁ、アル」

「なに?」

「イヴは男子にモテる」

 何を言いだすんだ?

「まぁ、可愛いからね?」

 美人って言うか、可愛い。それから愛嬌もあるから、異性には人気があるとおも、う……。そこまで考えて、胸の奥がざわって言うか、ぞわって言うか、ドロッとした。

「今、どう思った?」

 僕の気持ちを見たかのように、ネーベルが訊いてくる。

「ざわっとして、ぞわっとして、ドロッとした」

 僕以外の男子が、イヴとそういう仲になるかもと考えると、モヤッっていうかイラッとする。

「アルがこのままの関係でいいと思って、現状維持のままでいたら、イヴに好意を持つ男子が、先に彼女に告白するぞ」

「え、やだ」

 ネーベルが話している途中だけど、我慢できなくて、ぽろっと零してしてしまう。

 あぁ、そうか。ネーベルもヒルトも、イヴが好きだと思うなら、誰にも渡したくないと思うなら、今の状況に甘んじないで動けと言いたいのか。

 でも、じゃぁどうすればいい?

 今までは、イヴが近くにいるから、それだけでいいって思っていた。でも、ネーベルとヒルトの二人と話をして、それだけでは嫌だ、それではダメだと気が付く。

 自分の中に、独占欲があることを、僕は知った。


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