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二宮浩太郎の独断推理ノート 〜高校生探偵の追究〜  作者: スズキ
第二話 「マネージャーの仕事」 VS強豪校水泳部マネージャー/片野瞳
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二宮浩太郎からの挑戦状 其の二



 明るい照明の点いた屋内プールにて、二宮はプールサイドにある椅子に座って脚を組みながら、膝を手すりに乗せて頬杖をつき、静かになにか考え事をしているようだった。


 そんな二宮の前で千尋がプールに向かってしゃがみ込みながら、水面に映る自分の姿を覗き込んでいた。


「やっぱり事故なんじゃないかなあ。瞳ちゃんがあの二股男を殺すなんて、あの子の体格からしてあたしは無理だと思うよ」


 千尋はプールの水面を人差し指でつつきながら、そこに小さい波紋を作った。


「ねえ、もう外も暗くなってきたし、帰ろうよ。いつまで考え込んでたって仕方ないよ」


 しかしそんな千尋の言葉は、二宮には届いていないようだった。


「これは間違いなく殺しだよ。そして犯人は十中八九、瞳さんだ。だけど証拠がないことにはどうにもならない。大川さんもたまにはちゃんと考えてみてよ、ほら」


「そんなこと言われたって……」


 二宮と千尋が話していると、プールサイドに少女がひとり入ってきた。


「あの、刑事さん。ちょっといいですか」


 千尋に恐る恐る声をかけてきた少女は、この学校の水泳部のジャージを着ていた。


「あっ、萌花ちゃん。どうしたの、こんな時間に」


「忙しいところごめんなさい。あたし、刑事さんに用があって来たんです」


「大川さん、この人は」


 二宮が座ったまま少女のほうを向いた。


「この子は大橋萌花ちゃん。ほら、ふたま……じゃなくて、瑞中のガールフレンドだった子」


 二股男、と言いかけたところで千尋は慌てて言い直した。


「ああ、あの……どうも、二宮と申します」


「ど、どうも」


 萌花は慇懃な態度で接してきた二宮に困惑した。


「それで萌花ちゃん、あたしに用って?」


「は、はいっ。あたし、透先輩が最期に着けていた水着のことについて訊きたくて」


 萌花はジャージのポケットから携帯電話を取り出すと、その画面に映っている男性用の水着の画像を千尋にみせた。


「先輩が履いていた水着って、これでしたか」


「ううん、どうだったかなあ。ねえニノ、ちょっと一緒に見てくれない?」


 千尋にいわれた二宮は椅子から立ち上がると、萌花の携帯の画面を覗き込んだ。


「これだったね、間違いないよ。黒くて両側にイエローのラインが入った競技用のやつ」


「そうですか……やっぱりそうだったんだ」


「あの、君、やっぱりってどういう意味?」


 二宮が軽く俯いていた萌花に尋ねた。


「その水着、最近あたしが先輩と一緒に買い物に行ったときに買ったおニューの水着で、今度の大会で使うはずだったんです。それで昨日は大会前日だったから、大会で使う前に試し履きしようって……」


「ねえ、君たちがその水着を買ったの、いつ?」


「前の日曜日ですけど……それがなにか」


 二宮は少し考え事をすると、瞳に向かってにこやかな表情を浮かべた。


「いや、ものすごく参考になった。どうもありがとう」


「はあ」


 参考になったって、どういうことなのだろう? 萌花には目の前の少年のいっていることがさっぱり理解できなかった。


「大川さん、夜も遅いし、この子をお送りして差しあげて」


「う、うん」


「それと、大至急科研をここに呼んで。頼んだよ」



 ……さて、瞳さんは大胆なトリックを使って自らのプライドを傷つけた憎き男を殺害しました。


 では、どうやって彼女は瑞中を殺害したのか。そして彼女を告発するには、そのトリックを実際に彼女が実行したことを証明しなければいけません。


 トリックの痕跡はこの屋内プールに残されていました。大きなヒントになったのは、死体が履いていた新品の水着です。


 もうお判りになりましたね? 答え合わせは解決編で。二宮浩太郎でした。

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