作戦会議
ブックマークがすごいことに…かなり驚いています。
みなさん読んで下さり、ありがとうございます!
――遥の部屋
「二階堂君?知ってるよ」
家に帰って、さっそく姉に聞いてみることにした。
「基本的にいつも一人でいるかな。なんか二階堂君からは、話しかけるなオーラが出てるんだよね」
「遥は話した事ないの?」
「1度だけ、彼が消しゴムを落として、それを拾った時に。でも、すごい睨まれたし、ずっと無言で、ちょっと怖かったなぁ…」
「なるほどね」
拓也先輩の言ってた通り、クラスで浮いてるのは事実のようだ。
「でも、どうして急に二階堂君のこと?」
「拓也先輩から、ちょっと頼み事されたんだ」
「拓也先輩って、もしかして3年の二階堂拓也先輩?うわさの?悠ってば、凄い人と知り合いなんだね!」
姉は興奮気味に話す。意外にミーハーか。まあ、私もついさっき知り合いになったばっかなんですけどね。
隠す事でもないだろうと思い、私は軽く今日の出来事を説明する。
「なるほど、なるほど。そーいう事なら、私より絶対に悠の方が向いてるよ」
「そうかなー、男なら遥が話しかけた方が、コロッと手のひら返しそうだけど」
「…二階堂君はそんな人じゃないと思うよ」
「二階堂竹夫ってどんな人なの?」
「二階堂君はとにかく真面目で、自分にも他人にも厳しい人って感じかな。私の印象だけどね。誰にでも優しい二階堂君のお兄さんとは、少しタイプが違うかも」
「…委員長タイプか。もしかして、眼鏡で短髪?」
「よくわかったね、そうそう」
よし、何となくだがイメージできたぞ、竹夫。
姉に感謝すると、私は次の場所へと向かった。
――裕介の部屋
「で、俺に相談しに来たと」
「他に男は、ぶー太しかいないし。それよりは参考になるかなーって」
貢物を持って、私は裕介の部屋へとやってきた。
そういえば、男の部屋って、人生で初めてかも。意外にも部屋は綺麗に片付いていた。
見慣れない雑誌も多く、そういうのも見ると、コイツも男何だなーって改めて思う。
最近は乙女の部分ばっか見てたから。
定番と言えば、ベッドの下には……
「おい、人の部屋をあさるのやめろ。あと、あんまじろじろ見るな」
怒られてしまった。
「で、竹夫さんの事だけどさ。…俺はどっちかと言うと、拓也さん側の人間だけどいいのか?」
チック、タック、チック…
時計の音が、虚しく部屋に鳴り響く
そうじゃん!こいつ、攻略キャラだけあって、ハイスペ人間だった
これは、相談する人を間違えたくさいぞ
「まあ、竹夫さんの気持ちも分からなくもないけどよ。ようは、1つでも拓也さんに勝てるモノを見つけたらいいんじゃね?」
「なるほど、確かに」
裕介のいう事は至極当然であった。ただ、それには一つ問題がある……
「因みに、竹夫先輩が拓也先輩に勝てそうな事は?」
「……あの人、マジで何でも出来るからなー」
作戦終了である。
「そもそも男同士なら、殴り合いで解決したらいいのに」
漫画などでは、よく見る展開だ。河原で殴り合いの末に和解。まさにザ・青春。
私の呟きが聞こえたらしい、裕介は「それだ!」と大きな声をあげる。
「それだよ、それ!ケンカだったら、二人ともいい勝負が出来るんじゃないか?」
……何言ってんの、コイツ?
彼の暴走は止まらない。
「お前の言うとおりだ。お互いに本音と本音で殴り合えば、意外と簡単に解決するもんだぜ」
「……違うと思うけど」
「はぁ、これだから女は」
何も分かってない。裕介からそう説教された。
「解決策が見つかって良かったな!」
思いっきり、肩をバシバシ叩かれる。
彼的には良い案が見つかり、ご満悦である。
私の賄賂へ手をつけ始めた。
そういう約束だし、別にいいけどね。
私に他の案があるわけでもないが、
裕介は使えない。それが分かっただけでも、良しとしよう。
貢物を無駄にしただけであった。
いや、はなからそれが目的かコイツ?
まあ結局のとこ、当たって砕けろ!だよね
幸せそうな男を一人残して、私は彼の部屋を後にした。




