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僕が先に好きだったけど、脳破壊されて訳あり美少女たちと仲良くなったので幼馴染のことはもういいです  作者: みずがめ


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61.女子小学生は遊びたいお年頃

 会って早々僕に抱きついたり、松雪さんを「知らない女」呼びをした唯花ちゃん。

 そんな風にはしゃいでいた妹を叱る城戸さんは、学校にいる時とは違った「姉」の顔をしていた。


「比呂さん、松雪先輩。失礼なことを言ってごめんなさい……」


 城戸さんに叱られた唯花ちゃんは、涙目になって頭を下げた。

 早くも泣き出してしまいそうな唯花ちゃんに、僕と松雪さんは焦って手を振る。


「い、いいのですよ唯花ちゃん。ね、比呂くん?」

「う、うん。全然気にしてないから泣かないで」

「うんわかった! 二人とも許してくれてありがとうございます♪」


 顔を上げた唯花ちゃんは、にこりんぱっと輝くような笑顔になっていた。

 さっきのが嘘泣きだったんじゃないかって思えるくらいの変わりよう……。子供の機嫌って乱高下するものなんだね。

 そんな妹の姿を見てか、城戸さんは頭痛を堪えるように額を押さえていた。姉の苦労が絶えないようだ。

 まあ本日の主役は唯花ちゃんだ。多少のワガママくらいなら受け止めてあげるのが年上の男子というものだろう。

 そんなわけで、僕たちは気を取り直して城戸さんの家に上がらせてもらった。


「比呂さんはこっちこっち。ここに座ってね」

「引っ張ると危ないよ唯花ちゃん」


 リビングに通されると、唯花ちゃんに手を引っ張られてソファに案内される。エスコートしてみたいお年頃なのだろう。

 言われた通りにソファに腰を下ろすと、僕の隣に唯花ちゃんが座った。

 しかも僕の腕を抱きしめて密着してくる。まだ小学生とはいえ、それほど面識のない男子に抱きつく女子というのはどうなのだろうか?

 ……いや、よく考えたら城戸さんも僕を抱きしめていたっけ。これが血筋ってやつなのかもしれない。

 城戸さんの胸に抱かれるのに比べれば、唯花ちゃんは小学生らしくて可愛らしく思えてきた。


「えへへー、比呂さんあったかーい♪」

「唯花ちゃんは甘えん坊さんなんだね」


 城戸さんと同じ銀髪の頭を撫でてみれば、気持ち良さそうな吐息が返ってきた。


「はふー……。比呂さんの手……なんか気持ち良いよぉ……」

「そうかな? 唯花ちゃんは頭がちっちゃくて可愛いね」

「かわっ!? かわわわわ……っ!?」


 唯花ちゃんは頭を撫でられるのがそんなにも気持ち良いのか、僕の胸に顔を埋めてしまった。

 見た目は城戸さんの小学生の頃って感じなのに、彼女と違って感情が素直に表情に出ているから、姉妹で印象がまったく違っていた。

 可愛らしい子だ。よからぬことを考えてしまう男がいるのが、ほんのちょっぴりだけわかってしまうのが少し悲しい。


「比呂くん……。来て早々に小学生の女の子を落としてしまうなんてどうなっているのですか……」

「むぅ、唯花のバカ……」


 唯花ちゃんを一人占めにしてしまったせいか、松雪さんと城戸さんが寂しそうな顔をしていた。


「二人ともそんなところに立っていないで、こっちにおいでよ」


 手招きをすると、松雪さんと城戸さんが顔を見合わせる。


「「はぁ~」」


 そして、なぜか二人して同時にため息を吐いた。今のは何に対してのため息?

 大きなソファは、四人がゆとりを持って座れる大きさだった。

 松雪さんは僕の隣に、城戸さんは唯花ちゃんの隣に座った。


「それで唯花ちゃん。これから何をしようか? おしゃべりする? それとも遊ぶ?」


 今日は唯花ちゃんが主役だ。

 彼女にお呼ばれしたからこそ、城戸さんの家に上がらせてもらったのだ。ならば要望を聞いておかなければならないだろう。


「えっとねー……アタシ、ゲームがしたいな」


 ゲームか。会話が苦手な僕としてはありがたいチョイスである。


「比呂さんはお姉ちゃんとゲームしたことがあるんだよね?」

「うん。この三人で大貧民で遊んだことがあるよ」


 なんだか懐かしく思える。

 友達とあれだけはしゃいだ思い出がなかったからなぁ。あまりにも楽しすぎて、あの後トランプを買ってシャッフルの練習に明け暮れたものだ。

 一人神経衰弱どころか、一人ババ抜きや一人七並べなど練習してきた。大貧民以外のゲームでも、どんとこいと胸を叩いてしまえるほどの自信がついている。


「トランプもいいけど、アタシはこれで遊びたいな」


 唯花ちゃんは僕から離れると、テレビ台から何かを取り出す。


「じゃーん! せっかく四人いるんだから『大乱闘スマッシュシスターズ』で遊ぼうよ!」


 唯花ちゃんが取り出したのは、家庭用ゲーム機だった。



  ◇ ◇ ◇



 女子がテレビゲームで遊ぶなんて意外だった。

 小さい頃に美月をゲームに誘っても断られてきたものだから、女子はそういう遊びをしないものだと思い込んでいた。

 城戸さんがアパートに住んでいた時の部屋にも、テレビゲームらしきものは見当たらなかった。だからこそトランプで遊んだものだったけれど……。

 まあいい。僕のソロプレイで鍛えられた腕前が、ようやく日の当たる場所で披露される機会が巡ってきたってわけだ。


「お姉ちゃんが弱いの知ってたけど、比呂さんも大したことなかったね」


 ……僕の自信は、ゲームを起動してから五分後に消失しました。

 まさか唯花ちゃんがこんなにも強いとは想像していなかった。ゲーム開始してから遊んであげるつもりで近づいた瞬間、流れるようなコンボで僕の操作するキャラが場外へ吹っ飛ばされた時は目を疑ってしまった。

 リアル対戦はもちろん、オンライン対戦すらしたことのなかった僕は、自分の実力が小学生女子以下だった事実に愕然とせずにはいられなかった。

 なんとか食らいつこうとはしてみたものの、まったく相手にならなかった。


「松雪先輩はけっこうやるね……」

「唯花ちゃんも、なかなかやりますね……」


 僕と城戸さんはあっという間に負けてしまったけれど、松雪さんは唯花ちゃんといい勝負をしていた。


「速すぎて何してるかわからない……。実況と解説をして比呂先輩」

「僕もわからないって……。そもそも実況と解説は一人で同時にできないからね?」


 ナチュラルに一人二役を求められても困る。

 松雪さんと唯花ちゃんの手元に目を向けても、高速で指を動かしていることしか理解できない。

 かろうじて理解できたのは、お互い一歩も退かない攻防を繰り広げていたということだけだ。


「ふぅ、危なかったですね」


 最後に勝ったのは松雪さんだった。ハイレベルすぎて何が勝因だったのか全然わからなかったよ。

 でも、せっかくだったら唯花ちゃんに勝ちを譲ってあげればよかったのに……。


「さすがです松雪先輩。師匠、と呼ばせていただいてもいいですか?」

「まだ一戦交えただけですよ。私たちはライバルになったばかりなのですから」


 唯花ちゃんと松雪さんは、同じ戦場を潜り抜けた仲間と認めたような顔で握手を交わしていた。

 二人の清々しい表情を見ていると、僕の心配は余計なお世話だったのだと気づかされる。


「それでは比呂くん。罰ゲームの時間ですよ♪」

「え、何それ? 聞いてないんだけど……」


 松雪さんはとっても良い笑顔でとんでもないことを言い出した。

 せっかく女子の間で芽生えた友情に感動していたのに……。全部台無しだよ!


「比呂さんに罰ゲーム? いいね楽しそう!」


 松雪さんの悪ノリに、唯花ちゃんまで乗ってきてしまった。これは逃げられない……っ。


「ば、罰ゲームって何をするの? できればお手柔らかにしてもらいたいんだけど……」

「怖がらなくてもいいですよ比呂くん。とっても優しい罰ゲームですから」


 罰ゲームに優しさってあるものなの?

 こういうの初めてだからわかんないんだけど……本当に危険はないんだよね?


「いいないいなー。アタシも比呂さんに罰ゲームしたーい」

「罰ゲームの執行は一位の特権です。唯花ちゃんは次頑張りましょうね」


 唯花ちゃんもワクワクしているし……。期待に満ちてキラキラと輝いている目をされると、どうしても裏切れない。

 くっ、僕も男だ。罰ゲームくらい正面から受け止めてやる!



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