表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が先に好きだったけど、脳破壊されて訳あり美少女たちと仲良くなったので幼馴染のことはもういいです  作者: みずがめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/88

6.コンビニに黒ずくめ

 ずっと好きだった幼馴染、美月に彼氏ができた。

 それが原因で、今日はいつもと少しだけ違う行動をした。早い時間に登校したり、昼食の場所を屋上にしてみたりという些細なものだったけれど。


「今日は美月以外の女子と二人もおしゃべりしてしまった……」


 そのいつもとは違う行動の結果、いつもとは違いすぎる変化が起こった。

 一般的な男子生徒なら、女子とおしゃべりするくらい当たり前のことなのかもしれない。けれど、僕にとってはけっこうな大事件だった。

 しかも相手はかたや学校でアイドル的存在である松雪綾乃。かたや名前はわからないけど、その松雪さんに匹敵するほどの存在感があるように思えた銀髪美少女。

 ラブコメ漫画やラノベだったら、この出会いをきっかけに仲良くなっていく展開になるだろう。


「さすがに、僕に限ってそれはないだろうけど」


 僕にとっては大事件でも、松雪さんやあの銀髪美少女からすれば日常の一コマでしかないはずだ。特別に感じたのは、きっと僕だけだろう。

 それに、美月にとっても僕はただの幼馴染で、それだけの存在にしかなれなかった。

 今日の放課後。美月が彼氏になった泉くんと仲良さげにしている光景を目撃してしまった。

 二人は恋人なのだ。放課後デートくらいするだろう。

 それくらいわかっていたつもりなのに、その現場を目撃したら胸に鋭い痛みが走った。今も思い出すだけでじくじくと胸が痛む……。


「僕は何をやってんだか……」


 夜。そんなことを考えてはため息をつく。

 今回は帰宅した記憶がちゃんと残ってはいたけれど、美月と泉くんが仲良さげにしている光景が頭から離れなくて、ずっと悶々としていた。


「コンビニでも行こうかな」


 何もやる気が出ず、自室のベッドでゴロゴロしているだけなのにお腹が空いてきた。

 晩御飯は食べたのだけど、あまり喉を通らなかった。ゼリーなら食べられるだろう。なんだか病人にでもなった気分になるな。

 どうせ今は何をするにしてもやる気が起きないのだ。身支度を済ませて外出した。


「……」


 美月の家は、僕の隣である。

 家を出ると嫌でも目に入ってしまう。いつもの癖で、美月の部屋に明かりがついているのをチェックしてしまうキモい僕。

 美月は今どうしているだろうか? 勉強をしている? それともスマホでお気に入りの配信者の動画でも観ているのか?

 もしかして、泉くんと楽しく電話をしているのかも……。


「ええいっ、早く行こう」


 僕は何を考えているんだっ。こんなことを考えたって無駄なことなのに……。

 早足でコンビニに向かう。今夜はたくさん歩きたくて、少し遠めのコンビニに向かった。

 たまには運動しないとな、うん。

 九月の生温い風に当たっていると気持ち良くなる。少しずつ暑さが和らいできただろうか。早く秋の気候になってほしいものだ。

 しばらく歩いていると、心が軽くなってきた気がした。


「らっしゃいあせー」


 コンビニに辿り着くと、店員と店のBGMに出迎えられる。

 適当に雑誌を読んで、目的のゼリーを買いに行く。

 途中お菓子コーナーを目にして、たまには夜にお菓子を食べるという禁忌を犯してやろうかという悪い気持ちが芽生えた。

 いいじゃないか。別に僕がお菓子を食べて太ろうが不健康になろうが、どうせ美月は何も思わないのだろうし。

 そう思って、お菓子コーナーへと足を向ける。


「ん?」


 そこで気づく。

 お菓子コーナーに人がいた。それは別にいい。コンビニなんだから僕以外にお菓子を買いに来た人くらいいるだろう。

 ただ、その人の格好と態度が僕の警戒心を刺激した。

 その人は全身黒一色の服装で、帽子にサングラスまでしていた。夜なのにサングラス?

 しかも挙動不審な様子で、お菓子に手を出しては引っ込めるという行動を繰り返していた。


「……」


 怪しい……。もしかして、万引きをしようとしているんじゃないか?

 その考えに思い至った直後、黒ずくめの男? 女? は、お菓子を持って早足でこの場から離れたのだ。

 動きが機敏すぎて反応が遅れた。僕は慌てて黒ずくめの人の後を追う。

 もし本当に万引きだったら止めなくては!


「らっしゃいあせー」


 ……普通にレジに持って行っただけだった。

 怪しい格好と態度だったから疑ってしまったじゃないか。まったく、人騒がせな。

 自分の買い物に戻ろうと背を向ける。その時だった。

 ジャランジャランと硬質な大きな音がいくつも聞こえた。何事かと振り返ってみれば、黒ずくめの人が財布を落として小銭を撒き散らせていたようだった。


「……」


 黒ずくめの人が慌てた様子で小銭を拾う。店員はぼーっとそれを眺めているだけだった。


「まったくもうっ」


 最後の最後まで、黒ずくめの人は僕の手を煩わせたいらしい。

 僕も散らばっている小銭を拾う。こういうの見ていると落ち着かないからな。


「あの、どうぞ……」


 手早く小銭を拾って、黒ずくめの人に差し出した。


「え、比呂くん?」

「え?」


 え、知り合い? 僕の知り合いに黒ずくめの人なんていないと思うんだけど。

 僕の戸惑った様子が伝わったのか、黒ずくめの人は笑いながらサングラスを取った。


「私ですよ私」


 ワタシワタシ詐欺? なんて一瞬思ったけど、サングラスを取った素顔を見てすぐにわかった。

 ついでに目を剥いて驚いた。だって怪しい黒ずくめの人の正体が、学校一の美少女でありクラスメイトの松雪綾乃だったのだから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ