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僕が先に好きだったけど、脳破壊されて訳あり美少女たちと仲良くなったので幼馴染のことはもういいです  作者: みずがめ


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37.ナンパ防止策

 文化祭二日目。今日は一般公開される日だ。

 学外から人が来るというだけで、昨日とはまた違った雰囲気だ。私服の人が大勢いるからか、さらにお祭り感が増したような気がする。


「去年よりも男性の来場者が多くありませんか?」

「去年のミスコン優勝者がとんでもない美少女なんだって有名になっているらしいぞ。会いたいって男がたくさん来ているって話だ」

「ふぁ……っ!?」


 開始時間前に、松雪さんと佐野くんがそんなやり取りをしているのを耳にした。

 お客さんが増えるのは喜ばしいことなんだけど、女子目当てと言われるとちょっと怖いなぁ。

 偏見かもしれないけど、ナンパ目的で訪れているのではないかと疑ってしまう。

 もし松雪さんや城戸さんが僕の目の前でナンパされたとして、助けられるか自信がない。

 なんて、僕がそんなことを考えたって仕方がないか。


「比呂くん、これをどうぞ」

「え……お面?」


 松雪さんにデフォルメされたタヌキのお面を手渡された。


「これはどこで……じゃなくて、なんでお面?」


 こんなものを渡されるなんて予想もしていなかったから、疑問が整理できないまま口をついて出てしまう。


「比呂くんがナンパされないようにするための対策ですよ」

「それを心配するのは松雪さんの方じゃ……」


 僕にそういう心配はいらないでしょうに。

 だけど善意一〇〇%の笑顔を向けられると、受け取らないというのも悪い気がしてくる。


「私の分もありますので大丈夫ですよ。これでお揃いですね♪」


 そう言って、松雪さんはキツネのお面を被った。

 お面くらいでナンパを回避できるのだと考えているところが松雪さんっぽい。いちいち子供っぽい思考が混じっているんだよなぁ。

 それでも何もしないよりはマシか。一人だけお面を被っているのも寂しいのだろうし、彼女に付き合ってあげるためにお面を装着する。


「それと、これをお願いします」


 ズンッ、と。チラシの山を渡された。


「これは、ミスコンのチラシ?」

「生徒会の人には無理を聞いてもらいましたので、仕事をお手伝いすることになったのですよ。これをお客さんに配れば紬さんのアピールにもなりますし、一石二鳥ですね」

「そ、そうだね……」


 いいんだけど……いや、いいんだけどね? ただいきなり言われてびっくりしたというか……。僕に手伝わせるつもりなら、先に言っててほしかったというか……。

 どっちにしてもやることには変わらない。僕は松雪さんへのもやもやした気持ちを飲み込み、チラシを配りに行ったのである。

 学外から訪れてくれたであろう人たちにチラシを配りながら、城戸さんのアピールも忘れない。

 そうやって廊下を歩いていると、学外の男子たちに囲まれた杉藤さんを見つけた。


「ねえねえ君、可愛いねー」

「お化け屋敷? 俺ら暗いの怖いから一緒に入って案内してよ」

「その衣装ってなんのコスプレ? ちょっと触らせてくれよ」


 な、ナンパだーーっ!!

 気をつけなければと思ってはいたけど、本当にナンパする人っているんだ。フィクションでしか見たことがなかったけど、こういう人たちって現実にいるんだな。


「あの、困りますっ」


 って、眺めている場合じゃない。助けないと!

 杉藤さんは男たちから距離を取ろうとするけれど、囲まれているせいでどうにもならないようだ。

 周りの人たちも気づいてはいるけど、止めに入れずにいた。

 相手は高校生か、もしかしたら大学生かもしれない。見た目がヤンキーみたいに派手だから怖いのだろう。

 僕も怖いけど……。眺めているばかりというわけにはいかない。


「俺の彼女に何か用?」

「マサくん……」


 勇気を出して近づこうとした時だった。

 突然現れた佐野くんが、杉藤さんの肩を抱いて男たちを睨みつけたのだ。


「か、格好いい……」


 無許可で女子の肩を抱くなんて、イケメンにしか許されない行為だ。

 しかし、彼はそれが様になっていた。


「うっ……い、いや……彼氏がいるなら、俺らは別に……」


 佐野くんの格好いい行動に、男たちは気まずそうに退散する。


「佐野くん、すごいな……」


 あんな風にあっさり助けてしまえるなんて……。男として、格の違いを見せつけられた気分だ。

 佐野くんや泉くん。やっぱり、女子はそういう格好いい男子に惹かれていくものなのだろう。


「ありがとうマサくん……♡」


 大人っぽいと思っていた杉藤さんが、乙女のように頬を朱に染めている。

 それもそうだろう。簡単そうに杉藤さんを助けたけど、誰もが同じことをできるわけじゃない。

 少なくとも僕には逆立ちしたってできない行動だ。

 同じ男子でも、全然違う。

 僕も佐野くんみたいな男だったら、もっと上手くやれていたかもしれないのに……。


「……」


 脳裏に過るのは美月の顔。

 頭を振って、気を取り直した。


「仕事しないとな」


 僕は踵を返して、校舎の外でチラシ配りをすることにした。



  ◇ ◇ ◇



 校庭では運動部を中心として、屋台が並んでいた。


「参加型お料理バトル? へぇ、料理研究部も楽しそうなことやっているんだな」


 イベントも開催されていて楽しそうだ。賑やかなのは苦手だと思っていたけど、なんだか身体がうずうずする。


「わぁっ、タヌキさんだーっ!」

「ようこそお嬢さん。脱出ゲームが面白いから是非──」


 お面を被っているからか、子供のウケがいい。

 小さな女の子に声をかけられたので、クラスの宣伝でもしておこうとしたのだけど……言葉に詰まってしまった。


唯花(ゆいか)! はぐれたら大変なのだから走らないでと言ったでしょう」

「お母さんごめんなさーい」


 銀髪碧眼の親子。娘さんは小学生くらいの年頃に見える。

 彼女を一目見て、すぐにピンときた。

 僕はこの子を知っていた。

 だって唯花ちゃんは、城戸さんの妹さんなのだから。



2025.5.11(日)に文フリ東京が開催されます!

サークル花蜜茶で参加します。無料配布本や新刊がありますので、興味のある方は来てくださると嬉しいですぞ(詳細は活動報告にて)


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