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ドライアドさんのお茶ポーション  作者: べべ
最終章:ドライアドさんのお茶ポーション
126/126

最終話:ドライアドさんのお茶ポーション

どもどもべべでございます!

さぁ、いよいよ最終回!

今回は8000文字あります! どうぞ、覚悟してご覧くださいませ~!


 澄み切った空気、青々と茂る植物の壁。それを彩る美しい花々。

 見ている者の心を癒やすかのような、広大なドーム状の空間。

 周囲を見渡せば、いくつも浮かぶ人間大の水晶が光を反射している。


 それらは時折、様々な地域、世界の文字をその身に映し出しながらフヨフヨと移動し、水晶と水晶がぶつかり合う。その度に、「コォーン、キィーン」と、けして耳障りではない美しい音色を響かせていた。


 そう、ここは妖精界。

 数多の世界で最も美しいと確信をもって言える、自慢の故郷。

 うん、まぁ、自慢の故郷……だったんだけどね。


「オベロン様! すずらん地区の魔力をひまわり地区に回す作業、ようやく終わりました!」


「オベロン様ぁ、クチナシ地区の魔力、どこかに回せませんかぁ?」


「オベロン様~! 魔力の蓄積量過多で未確認な植物が発生しました~!」


 おやおや、おやおやおや。

 これは参ったね、オベロン狼狽。

 報告に来た人型の妖精達は、あたふたと上下左右に飛び回っている。妖精達がこんなにも慌てふためくのは、珍しい事だね。

 でも、しょうがないよね。なんたって、妖精界全域の魔力が、許容量を超えようとしてるんだからさ?


「とりあえず、ひまわり地区はまだ余裕ある感じ? あ、無理。じゃあクチナシ地区の魔力はアサガオ地区にお願いね? 未確認植物については、どんな感じなのかな?」


「3人のピクシーがパクッといかれて、ちゅうちゅうされました~! 栄養持ってかれただけですけど、ぬるぬるです~!」


「あぁうん、ドライアドを何人か派遣するから、彼女たちに植物をなだめてもらってね?」


 ここ数年、こんな感じに妖精郷は、空前の魔力豊作バブル状態さ。

 だけど管理が追いつかないもんだから、その過剰な魔力が暴走して変な現象を巻き起こすんだよね。

 いや、魔力を消費するだけなら簡単なんだよ? 植物沢山生やせばいいし、それでも余るなら奥さんのティターニアに頼んで、天使や悪魔におすそ分けもできるんだからね。

 けど、とある理由でそれはできないのさ。


「はぁ、せめて不浄が混ざってなければなぁ」


 うん、まぁ、そうなんだよね。

 この魔力、不浄が混ざってるんだ。だから時間をかけて、ろ過して使わないといけないんだよね。

 これがまた面倒くさいんだ。オベロン辟易へきえき


 あんまり環境に害がないとはいえ、不浄は魔物を生み出すトリガーでもある。だからおすそわけすると、不浄を妖精界がまき散らして魔物まみれにしてる~なんて噂になるかもしれない。

 さっきの未確認植物も、誰かの魂が魔物化したんだろうね。いよいよ妖精界の自然環境にも影響が出てきたなぁ。


「まったくもう。沢山魔力を送ってくれるのは良いけど、処理に困るのは問題なんだよねぇ」


 そも、この魔力がどこから来てるかって?

 うん、これ実は、全部とある世界の大陸から送られてきてるのさ。年に一回ね。

 その大陸には、とある事情で森の管理を任せた部下がいるんだけどさ? その子がとっても張り切って、毎年えらい量の不浄入り魔力を送りつけてくるんだよね。


 いや、オベロン確かに言ったよ? 森の管理をして、魔力を妖精界に送って欲しいってさ?

 けど、まさか人間界の環境汚染問題を彷彿とさせるエネルギーを送りつけてくるなんて、思わないじゃない?

 しかも、これで10年目だからね! 対策を立ててもその上を行く汚染魔力を毎年送りつけてくるんだからたまらないよねっ。 


「オベロン様! ろ過装置の追加が完成しました!」


 そう考えてると、ヴァルキリーが数人の部下を引き連れてオベロンの前にやってきた。

 しかも、吉報のお土産付きだ。オベロン歓喜。


「おぉ良かった~。これでようやく問題解決するかな?」


「……それなんですが……オベロン様……」


 ん?

 なんで、某独総帥動画に出てくる部下みたいにしょんぼりしてるのかな?


「今日は、年に一回の魔力納税の日です……」


「バ、バウムの森の管理者から……『今年は張り切って、たくさん用意いたしました!』との連絡が……」


 …………。


「……ろ過装置が足りないと思う者は、ここから出てってくれないかな……あんぽんたん」


「「「…………」」」


 3人以外、誰もいなくなったね。


「チクショーメェイ!」


 とりあえず、今日は残業確定だね!

 まったくもう、そろそろオベロン過労で倒れそうだよぉ!

 あの子ったら、今度はどんな事をやらかして魔力補填したってのさ~!





    ◆  ◆  ◆





「うぅん、今年の紅茶も美味しいです~」


「感謝の極みにございます、ココナ様」


 ノーデさんの淹れてくれた紅茶、相変わらず素晴らしい。いえ、年々その実力を増していますねぇ。

 一口含んだだけで、全神経を持っていかれそうになるほどの風味。

 酸味はやや控えめですが、なにより香りが豊かです。今年は香りに重点を置いたのですね。

 もう少し加工段階で工夫して、酸味や渋みを増した種類も増やしておいてもらいましょう。同じ銘柄でも、複数の味が楽しめるはずです。


「うぇへへ、次はどれを飲みましょうか~」


「お好きな物をお選びください。これこのように、銘柄も種類も揃っておりますれば」


 麦茶、緑茶、プーアル茶。

 紅茶、ゴボウ茶、ウーロン茶。

 どれも美味しい、とってもハッピー。


 ノーデさんの持ってきてくれたお茶は、10年前とは比べ物にならないくらい味のクオリティが上がっているのです。

 あぁ、世界はこんなにも美しく、たくさんの喜びにあふれています!


「お~い、キノコ茶の追加が来たぞ」


 おぉ、この声はキースさん!


「なんと! は、はやく持ってきてください! いえ、我慢できません私が行きます!」


 あぁ、一年の節目とはなんて素晴らしいのでしょう!

 紅茶を最後ゴールデン一滴ドロップまで堪能した後、キースさんの声がした方向にぶっ飛んで、キノコ茶をお迎えにいきます。

 そこには、いつも通りのコロコロ体型をしたキースさんが、キノコ茶を持ってぶすっと立っていました。


「お前なぁ、毎回毎回キノコ農場に視察来すぎなんだよ! 仮にも王様なんだから遊んでんじゃねぇっての!」


「はぁぁん、今回はシイタケ茶なんですねぇ? あ、これはなんてキノコですか?」


「聞いてねぇな?」


「いえいえ~聞いてます聞いてますよ~。で、これはなんてキノコですか?」


「やっぱ聞いてないな!? お前この10年でまったく成長してないな!?」


 いやですねぇ。成長しているに決まってるじゃないですか。

 我王様ぞ? この大陸を統べる王様ぞ?

 そう、今やこの大陸は私の手中にあります! もはや私の敵となる方はいないと言っていいでしょう!


「ま、冗談は置いといて……私ったら大陸の覇権を握るお茶メイカーの敏腕女性オーナーですし? 成長してない訳ないといいますか~」


「いや、虎の威を借るキツネ状態で各国に脅しをかけて、無理矢理森を広げて土地を奪った魔王じゃね?」


「HAHAHA! なんとおっしゃる兎さん。全て合意の上で皆さんに土地を譲っていただいたのですよ? これも全て、美味しいお茶を各国に提供するため!」


 各国の皆さんは、私の作ったお茶には傷や病気を癒す力があると言って、いくらでも欲しがっていますからね~。

 ドライアドさんのお茶ポーションって銘柄で、各国に配っています。それがあるから、皆さん土地を譲ってくださったんですよ。

 私は平和を愛する女。皆さんがお茶を愛する限り、手と手を取り合い助け合うのは必然なのです!


「……ほう? だったら、べアルゴンを取り囲んでた各国から来た平和の使者達にも目くじら立てないんだよな? 大多数が女だったが」


「よぉしノーデさん視察に行きますよ。ゴンさんをたぶらかすメギツネ達を駆逐しましょう」


「は、かしこまりました」


「かしこまるなよ!? やっぱりお前なんっも成長してないわ!」 


 キースさんの叫びはまるっと無視し、私はゴンさんとの愛の巣である、お手製の日本家屋から一歩踏み出します。

 目の前には聖なる泉があり、その向こうにはキノコで埋まった洞窟が。

 ……かつてはここに、巨大な世間樹が一本存在していたのですが、それはもう存在していません。


 茶渋さんの理性を取り戻し、ゴンさんのお嫁さんになったあの大陸生活一年目。

 あの後、私は全世界にその存在感を遺憾なくアピールし、皆でお茶を飲んで幸せになろうと宣言したのです。

 私の謳った世界平和論は人々の心を打ち、皆が手と手を取り合って共存する世界が生まれました。


 同時に、こうして大切な何かを失ってしまった訳なんですけども、それはそれ。仕方のないことなのです。


「とりあえず、茶畑に行きますよノーデさん!」


「はっ」


 日本家屋の横には小さなご近樹きんじゅが生えており、そこを通じて各国に生やしたご近樹へとワープができます。

 ここ最近は、ノーデさんも連れてワープできるようになりました。いやぁ、ノーデさんたら人間辞め始めてますねぇ。


「うにょんっときました!」


「相変わらず広大ですねココナ様」


「えぇ! 自慢の茶畑です!」


 やってきたのは、バウムの森の中心地。

 そこには、森を広げて大きな円形の空間が作られています。円形の森の中心に穴を開けられたその形は、まるでバウムクーヘンのよう。名前通りの見た目になりましたねぇ。

 この中では、全国津々浦々から集めたお茶たちが、所狭しと栽培されまくっています。かつて失敗した日本茶はもちろん、お茶に使えそうなら野菜や果物だって育てている節操無しっぷりですとも!


 この空間を作るために、私は皆さんに一部の土地を譲っていただいたのです。木を減らす訳にはいかなかったので、広げる形にしたんですよね。

 もちろんタダとは言いません。皆さんに特製のお茶を振る舞うと約束して場所を確保し、バウムの森に一大お茶生産プラントを作る事に成功したのです。


「そこのおサルさん! ゴンさんはどこですか?」


「ウキ?」


 その辺で作業してたビッグエイプさんに、ゴンさんの居場所を聞いてみます。

 おサルさんは仲間内でウキウキと確認し合っていましたが、やがて茶畑の向こう側を指差してくれました。


「ありがとうございます~」


 おサルさん達は手を振ると、茶葉を摘む作業に戻ってくれます。

 うんうん、やはり仕事の内容しか教えてないから、自然に作業してくれますね。とっても素敵な事だと思います。


「茶渋様の教育は、流石の一言ですね」


「えぇ、彼女がいないとこの環境は成り立ちませんよ~」


 不浄が大量に発生するようになったこの大陸には、魔物さん達がたくさん湧くようになりました。

 しかし、復活した茶渋さんが彼等に知識を与える事で、魔物の皆さんはお茶の為に真摯に働いてくれる存在になったのです。

 むしろお茶栽培の事しか教えてないけど、けして洗脳ではありません。えぇ、ありませんとも。


 もはや、この大陸で魔物の被害はほとんど一切ありません。中にはまだ危険なお方もいますけど、それはそれ、対処も容易なのです。コカトリスなら唐揚げとかにできますし。

 それよりも、ゴンさんですよ! まさかとは思いますが、浮気なんてしてませんよね?


「ゴ~ンさぁ~ん!」


『む、おぉ。ちんくしゃか』


 おサルさん達の指した場所に向かってみると、茶畑の中心で大量の女性に囲まれたゴンさんを見つけました!

 フィルボさんにドゥーアさん、ヴァナさんにヒュリンさんまで!

 エルフさん達からは相変わらず距離置かれてますけど、まぁそれは良し。


『丁度いい。こいつ等がわからぬ事があるとの事でな、貴様が案内せよ。我は興味ないからな』


「えぇ~! いいじゃないですかぁべアルゴン様ぁ」


「私達、お茶を作る技術をちゃんと身に着けてから国に帰りたいんですよぉ」


『えぇい、鬱陶しい……我よりもチビ助やデブエルフに聞かんか』


 おやおや。随分とまぁ、モテモテじゃないですかゴンさんや。

 で? この中の何人が、血抜き用植物の実験台になってくれるんでしょうね?


「ココナ様、麦茶でございます」


「流石はノーデさん、いただきます」


 んぐっ、んぐっ、んぐっ。

 ぷはぁうまい! お陰様で落ち着きましたとも。

 ささ、じゃあ手早く血抜きを始めましょうか!


『まったく落ち着いておらぬではないか阿呆! ほら散れ貴様ら! 亡き者にされるぞ!』


「「ひええぇ!」」


 ゴンさんの一喝も相まって、皆さんは蜘蛛の子を散らすかのようにどこかに行ってしまいました。

 流石はゴンさん、見事な威圧感ですとも。


『まったく、一々余計な嫉妬をするでないわ。我が貴様以外を選ぶ事など無いというのは、周知の事実だろうに』


「うぇへへ……女って、結構厄介な生き物なんですよ?」


『この10年でそこは学んでおるわ。毎度のように世界の危機を自ら生み出しおってからに』


 いやですね、世界の危機だなんて。

 ちょっと食虫植物が人の味を覚えちゃったり、空気中の6割が花粉になりかけただけじゃないですか~。

 その度にゴンさんが対処してくれましたし、問題はないですよ~。……そもそも、ゴンさんがモテちゃうのがいけない訳ですしね?


『そんな貴様に、チビ王から伝言だぞ』


「え、デノンさんですか?」


『あぁ、コーヒーミルの新作が完成したらしい。更に細かく出来るようになったとか言っておったな。白髪の息子が今度見せにくるそうだから、時間を空けておけ』


「なんと! もちろんですよ~」


 グラハムさんは、ヒュリンの国で最も大きな商会のトップに上り詰めました。

 彼の扱っていたコーヒーが大当たりした結果、全世界にコーヒー専門店が立ち並ぶ程に事業は拡大。今はそのオーナーもしつつ、会頭として大立ち回りしてますとも。

 今は、10歳になった息子さんに商売の色々を教えつつ、私との付き合い方をしっかり叩き込んでるんだとか。


「……確かに、あの子はもうすぐでいい感じに食べごろでパブシ」


 ゴンさんに頭を噛みちぎられました。

 仕方ないので、頭を生やしました。


「ゴンさん、ツッコミが容赦なさ過ぎません?」


『貴様はこの程度では死なんからな。我以外に色目を使う事を考える頭は、一度取り換えた方がよかろう』


「うぅん、ゴンさんもゴンさんで嫉妬深いですよね~?」


 愛を感じてしまいますね~。


「しかし、デノンさんとも今度また飲みたいですね~」


「では、予定を聞いておきましょうか」


 デノンさんは、グラハムさんを中心にヒュリンの皆さんと協力し合い、様々なアイテムの量産に成功しています。

 豆を挽くためのコーヒーミルを中心に、ドロップに使うセットを一式。さらにはヤテン茶を改良してより飲みやすくし、空前のヤテン茶ブームを巻き起こしたりしてました。

 ノーデさんを囮にした時から、色々と確執が生まれちゃったりしましたが……今ではそんなに険悪な関係ではありませんね。むしろ、時々はノーデさんを間に立てて一緒に飲む間柄ですとも。

 ……そうだ、飲むといえば。


「ノーデさん、ノーデさん」


「はい?」


「デノンさんとえっちゃんって、結婚するんですか?」


「いえ、その話は間違いだって、我が王も必死に否定されてましたけど……」


「そうなんですかねぇ」


 少し前に、デノンさんがお酒の席で、えっちゃんに「一生養うから勝手に死のうとするな!」って怒鳴ってましたもんね。

 そこから、えっちゃんとデノンさんの熱愛報道が一気に広がって……うん、私もすごく興奮したものです。

 でもそっかぁ、間違いなのかぁ。ちょっと残念です。


「お似合いだと思うんですけどねぇ」


「あの2人は、どちらかと言えば親子のようなものですからね」


 親子、親子かぁ。

 ふむ、少し考えてしまいますね。


「ねぇ、ゴンさん?」


『なんだ』


「私達、そろそろもう一段階、ステップアップすべきだと思うんですよね」


 そう、大切な存在を、また1人増やすべきだと思うのです。

 だって、私ったら寂しくて死んじゃいそうなんですもの。


『……世間樹の代わりを考えておるのでは、ないだろうな?』


「まぁそうですけど、代わりっていうのもまた違うんですよね」


 寂しさを紛らわせるための存在ではなく、純粋に愛したいから、かな?

 けして、世間樹ちゃんをもう1人作ろうとか、そんなんではないです。


『ふむ……そうか。それならば良い。今夜辺り仕込んでみるか?』


「わ~い! さすがゴンさん!」


「……君たち、ここは畑の真ん中なんだけど、変な話をしないでくれないかな?」


 そんなラブラブな私達の背後から、声がかけられました。

 そちらを見ると、我らが茶渋さんがジト目でこちらを見ていました。かつてはとっても大きな熊さんでしたが、不浄が抑えられてからはゴンさんより2周りくらい小さな熊さんです。


「変な話じゃないですよ~。ゴンさんと愛の結晶を作ろうって話です」


『うむ、なんらおかしい事はないな』


「夫婦の会話としては有りだけど、時と場合を考えようね?」


 今では、このお茶大国を維持する責任ある立場の茶渋さん。治安の事も考えてくれるのは、とてもありがたい事なのです。

 辛いお仕事だとは思いますが……まぁ、()()()()()のおかげで、ストレスは抑えられてるみたいですけどね?


「……茶渋さんの言う通りです」


 そんな茶渋さんの、後ろ。

 小さなため息をつく、その子。


「あまり困らせないでくださいね。お母さん、お父さん」


『無論だ』


「わかってますよ~。世間樹ちゃん」


 そう、メイド服の世間樹ちゃんです。

 おや? おやおや?

 もしかして、世間樹ちゃんはもうこの世にいないんだ~って思ってました?

 いやぁだとしたら言葉足らずで申し訳ありません!


 確かに、世間樹ちゃんはあの時、茶渋さんの中に根付いてお別れになりました。

 しかし、ゴンさんがその鬱展開をいい感じにブレイクしてくれたのです。

 きっかけは、ゴンさんが飲んだ世界樹のお茶。

 そのお茶で取り込んだ魔力を使って、茶渋さんに根付いた部分をそのままに、精神だけをこちらに呼び戻してくれたのです。私がゴンさんの精神を引っ張ってきた、その逆バージョンですね。

 私ですらできない事をやってのけるなんて、流石は世界樹の魔力ですね~。


「世間樹ちゃん、ボディに不備はないですか?」


「えぇ、茶渋さんが毎日診てくださってますので問題ありません」


 もちろん、精神体だけになった世間樹ちゃんがこの世界で活動するにあたって、依り代になるようなもの……つまりがボディが必要になります。

 それに使ったのが、庭に生えてた世間樹ちゃんの本体だった訳ですね!


 フィルボの皆さんと、ヴァナの皆さんが共同作業で世間樹を引っこ抜き、それをドゥーアさん達のパワーでばらしました。

 そして、ヒュリンの皆さんの加工技術でボディを作り、ねーちゃんが精神の受け皿になるように術式を施したことで、パーフェクト世間樹ちゃんが完成したのです!


 つまり、世間樹ちゃんという存在は、この大陸の平和の証!

 まさしく、全人類が協力した結果なのですよ~。私よりヒロインしてる。


「でも、世間樹ちゃんもそろそろ、弟か妹ほしくありません?」


「…………」


「こう、抱っこして、べろべろばーとかしたくありません?」


「…………」


『したいようだな』


 んも~、本当に素直じゃないんだからぁ!

 じゃあ、張り切らないといけませんねぇゴンさん! 鞭とか蝋燭とか準備しないといけませんね~!


「茶渋さん、今度家出しますので、匿ってください」


「あぁうん、いつまでもウチにいなよ……」


 えぇぇ!? 通算57回目の家出!?

 勘弁してください! 何回頭を下げれば気が済むというのですか!?


『ふん、気を回すとはやるではないか、世間樹よ』


「はえ?」


 そんな感じにやきもきする私を、ゴンさんが抱き寄せました。

 もふんと毛皮に包まれ、思わずエクスタシーしてしまいそう!


『なに、どうせ一晩では足りんのだ。しばらく泊めてもらっておけ』


「え、え……」


『我と子を成すのだ。そのくらいは覚悟してもらわんとなぁ?』


 ゴンさんから、世界樹の魔力が溢れます。

 あぁ……お茶を飲んでから、本当に最強になったゴンさんが、本気で私を組み伏せようとしている!


「は、はひぃ……♪」


 そんな、そんなのもう、耐えきれないですぅぅ!


「……行きましょうか、茶渋さん」


「あぁうん、そうだね。馬鹿夫婦はほっとこう」


 こ、こうして!

 世界はお茶ポーションにより、病気にも怪我にも怯えない、平和な大陸になりました!

 私の身の回りの人達は、今まで同様、それ以上に仲良くなって!

 幸せの絶頂に! 上り詰めたのですぅ!


『ほれ、行くぞ……心和』


「はきゅぅぅぅん!」


 あ、ちなみに。

 子どもが出来た瞬間、めっちゃ魔力が溢れたので、それは妖精界にプレゼントする事にしました。

 いやぁ! 今年は一段と張り切ってしまいましたね~!


「あ~ぁ~! 幸せだなぁ~人生ぃぃぃぃぃ!!」










 ドライアドさんのお茶ポーション





 完!

 


改めて、どもどもべべでございます!


ドライアドさんのお茶ポーション。これにてついに最終回でございます!

いやぁ、ここまで長かったような、短かったような。


最初は、「お茶とポーションって関連したら面白いんじゃね?」って感じに出来たこの作品。そんなコンセプトだったはずなのに、出てきたキャラが暴走しすぎて、もうわけわかんなくなっていきましたw


そう、心和ちゃんが暴走しすぎなんですよ!

キャラが勝手に動くって、本当なんだなって、この作品で勉強できました。


最初はマゾになる予定のなかった心和ちゃん。

やるにしても軽いスローライフのつもりだった心和ちゃん。

そんな彼女が、どんどん魔王になっていき、どんどん変態になっていく。

いやぁ、暴走って怖い。しみじみ。


そんな心和ちゃんを応援し、あまつさえイラストまでもらったりして、本当に愛してくれた人達がいたからこそ、こうして完結までもってく事ができました!

皆さん、本当にありがとうございます!


これにて、心和ちゃんの物語は終了です。

彼女以上の暴走キャラを作れるかは今後わかりませんが、またどこかで、彼女の活躍を描けれたらと存じます。


本当にありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後まで周りに迷惑をかけてばかりのドライアドである。
[良い点] ヤバい奴が支配者に君臨しましたね!(笑) いやぁ、酷い(シンプルで最上級な賞賛) 出演者の方々もこの歪んだ大団円のグランドフィナーレを素直に喜べて無い感じがまたお茶ポらしいですね(笑) …
[一言] 完結おめでとうございます。 勢い溢れた良い作品でした。 ただ一つ!突っ込むとしたら人生じゃなくて妖生ではないかと!(そこかよ)
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