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76話: 予定調和

大変更新期間空いてしまって申し訳ございません!

本当ごめんなさいです!


新社会人が思ったよりしんどくて、時間はともかく頭が回りませんでした……


なるべくペースは維持したいと思っておりますが、気長にお待ち頂けると嬉しいです!

「すまん藤田。今恋愛禁止反対の署名活動してるんだが、協力してくれないか?」

「そうだったのね。もちろん協力させてもらうわ。率先して動いてくれてありがとう」


 異文化交流会に向かうバスの中。

 俺は通路を挟んで隣に座る藤田に、署名リストを挟んだバインダーとペンを手渡す。

 そして数秒後には、達筆な字で書かれた藤田のサインを受け取った。


「サンキュ。助かるよ」

『これでどのくらい?』

『うちのクラスは大体集まったな。他クラスは総司たちに任せてるし、これでいざとなっても戦えるだろ』


 藤田と反対の隣に座るのはチーナ。

 米海軍基地に向かう車窓から目を離し、俺に近況を聞いてくる。


『ところで、スピーチはちゃんと覚えた?』

『暗記まではしてないけど、内容は覚えた。あとは何とかなるだろ』

『日本語と英語以外に、何語で話すの?』

『……アドリブ?』

『普通の人はそっちを必死で覚えるんだけど……』


 そんなこんな話しているうちに、基地の門が見えてきた。

 俺やチーナにとっては何のことは無い、見慣れた玄関口。


 しかし他の皆にとっては未知の世界だ。


 バスの中はにわかに盛り上がり始め、敷地内に入った時、それはピークに達した。


「凄い! おっきい車が走ってる!」

「ほんとだ! 強そーう!」

「あ、あ、あれはハンヴィーって言う軍用車で、あれは1番オーソドックスなタイプで他にも……」

「あ、うん……」


 特にミリオタな男子などは、普段披露する機会の無い知識を自慢できて実に楽しそうだ。

 うっかり感想を漏らした女子が、早口説明の餌食になってる図がちらほら。


「なあなぁ、実銃撃ってるとこ見れねぇかな?」

「米軍って言ったらM4だよなぁ。それにシグ! なあ、途中抜け出して観光に行かね?」


 そんなオタトーーーークをBGMに聞きながら、バスに揺られることさらに数分。

 軍施設内にある多目的体育館のひとつに到着した。

 バスを降り中に入ると、中央に運動用の大きなフロア。

 その周りを段々状に観客席が囲っており、7割程が既に生徒で埋まっている。


 俺たちの学校は最後の到着だったらしい。


 基地内のハイスクール、近くのインターナショナルスクール、普通の進学校、そしてうちの高校。

 今年の交流会は4校が参加するそうだ。


『人いっぱいいるね。はぐれちゃったら大変』

『開会のセレモニーが終わったら何ヶ所かに別れるから大丈夫だ。でもナンパには気をつけろよ?』


 国柄によっては、ナンパのハードルが極めて低い事も少なくない。


『それは、私が可愛いって思ってくれてるのかな?』

『可愛いだろ、世界的に』

『よろしい。後でハグしてあげましょう』


 そんな他愛ない話をしていると、橘先生がベンチに座るよう呼びかけ始めたので、クラス毎にまとまって座っていく。


 フロアには各校の教師陣が既に集合しており、交流会開始のセレモニーの最終準備に取り掛かっていた。


 教師陣だけでなく、米軍の軍人達も集まっている。

 会場を貸しているのだから当然だろう。


 中には見知った顔も……いや、ほとんど見知ってるわ。

 意図的に思えるくらい俺の知り合いばっかだわ。


「ねぇねぇ見て! 軍人さん、みんなかっこよくない?」

「まじまじ! 目の彫り深くてがっしりしてて超男らしい! 話したりしたいけど、何かきっかけないかなぁ〜」


 気を付けよう。

 いろいろと、バレないように。


 俺が軍人と仲がいい事を知ったら、ミリオタや米人かっこいいねギャルは放っておいてくれないだろう。

 他にもオリバーさんとの関係や、リリーやエマの存在、更にはチーナと同じ建屋に住んでいる事。

 知られれば、様々な下心を持った奴らに囲まれて……不登校になる未来、見えました。


 まずい! とにかく軍の野郎共に見つからないようにしなければ!

 皆の前で話すなんてもっての外!


「ねぇ見て! 軍人さんがこっち来た!」

「なになに? 私たちかな?話しかけてくれるかな!?」




「Hey,イオリ!」




 ………………………………はい、気のせい!

 真後ろからごっつい英語聞こえた気がしたけど!


 多分、「ヘイいぃ、オリー!」だな。

 田中オリーさんとかどの学校にもいるだろ、うん。


 さ〜て、俺はスピーチあるんでそろそろ下に降りますか……。


『俺を無視するたぁ、偉くなったなイオリぃ!』

『そんな名前の人知らない!』

『引きこもりは出てこい!』

『ぐあああぁ!』


 ガガガガガ ←ヘッドロックされる音。


『イーサン。こんにちは』※チーナのたどたどEnglish

『やあチーナ。ちょっとこいつ借りてくな』

『ちゃんと、返して、くださいね』

「待てチーナ!素敵な笑顔で見捨てるなあぁだだだ」


 ズズズズズ ←イ・オリーが引きずられる音。


「え、鏡のやつ……何か軍人と仲良さそうなんだけど」

「え、連れてった人イケメンじゃん!」






 イーサン、ユルサン。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 5分後。ぴっぽぉ。



「Hello everyone. The opening ceremony will start now.」

「それでは皆さん、異文化交流会の開会式を始めようと思います」


 開会のセレモニー開始が、二ヶ国語で宣言された。

 宣言を行ったのは、基地内ハイスクールの教師。

 その横で、通訳者が日本語に通訳している。


 フロアには簡易的だが煌びやかな演台が設置されており、その後ろには各校教師や軍人が、組織毎に数人ずつまとまって整列。

 更にその後方には、各校生徒会メンバーが校旗や国旗を持って並ぶ。


 どうやら、インターナショナルスクール以外は各組織毎に通訳者を用意しているらしい。

 うちの高校ゾーンにも、見知らぬ通訳者らしき人物が一人立っていた。

 校長挨拶とかで必要なのだろう。


 そんな中、俺は……


『いやぁ悪いな伊織。うちの通訳がたまたま(・・・・)急用入っちまってなぁ』


 なぜか軍人ゾーンに立たされていた。



宜しければブックマークや評価☆をお願い致します!


自衛隊基地とかは時々入れたりしますけど、テンション上がりますよね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりに戻ってきても楽しいのう。 [一言] 米軍基地のそばで住んでたことあります。わたしゃやったことないですが、普通に中の店のバイトの募集なんかはありますし、基地外の店でも語学求められて…
[良い点] イベントごとに無茶苦茶目立つ主人公も愛情表現がストレートなヒロインも大好物です。 [一言] 朝見つけて面白すぎて通学時間と放課後で最新話まで一気読みしてもーた笑笑 新社会人大変だと思います…
[一言] 大好きです
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