私が私でいるために~邂逅する過去~
前書きを前書きとして久しぶりに利用したいと思います。
一応この話は終わりなのですが、新たな舞台と新しい主人公でこのお話の地続きを書いていきたいと考えております。
その日は偶然訪れた。
過去が今…
その日、私はひとりで行動していた。
露店街とでも言うべき道を歩いていたのだ。
前を見ずに歩いていたため、誰かにぶつかっていた。
「あ、ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ申しわ…け…」
と謝罪していた方の声が止まる。
見てから気がついたが、この服装どこかで見たような。
「リルファ…やっと、って」
リルファという単語が聞こえた時点で私はスケートモードを発動して、自分たちの宿とは違う方向へ来ていた。
そこは誰もこなさそうな、裏路地。
ここまで連れてきたのは、脅しと確認のため。
「この都市で教国が嫌われているのはわかってるよね」
「リルファ?」
「…私の名前はリップル・ファート。あなたが知っている人ではないわ」
「そう…ですか。すみません、知り合いにとてもよく似ていたもので」
「それは構わないわ、それよりもあなたはこの都市でそんな格好をして、人探しをしていたわけ?」
「そうですが、「そんなんじゃ絶対見つからないでしょうね」…え?」
「だって、教国は嫌われているのよ。それなのに教国所属ですなんていう服装していたら、そのリルファって子も見つからないわ」
「でも、私は」
「黙りなさい。誇りなんて振りかざしても、彼女にはたどり着けないわ」
「誇りではありません。これは、私の生涯なんです。聖女になれなかった彼女のためにも私はこの服を着続けます」
「…その子は、あなたが言っていたリルファってこのこと?」
「あなたには、聞いて欲しくありません。あの子と同じ姿をしたあなたには」
睨む彼女だが、息が荒く…なんというか事後にしか見えない。
「…彼女について聞きたいことがある。あなたに彼女の居場所を教える代わりに話が聞きたい」
「…本当ですか?」
「私としても、なんでリルファが死んでしまったのか知りたいから、ついて来て」
そう言って彼女を促す、教国の聖女はおとなしくついてきた。
sidechangeto教国の聖女
彼女に連れてこられたのは、広く周りの見渡せる広場のような場所でした。
「さてとここならいいかな」
そう言って彼女は、左右を首を振りながら、辺りを見回しているようにも見えました。
その行動を終えるとこちらを向き、
「はじめまして、教国の聖女様、私の名前はリップル・ファート。そして死人リルファでもあります」
「…死人?どういうことですか?」
「正確には、何者かに殺されてその抜け殻に私が憑依したってところだと思う」
「そんな、じゃああの日クルゼス様は、リルファを切ったというのですか?」
「あの日がいつなのかわからないけど、その人、剣はどっちの手で持っていたかわかる?」
「ええと…左手です」
「そう、ならその人で間違いない」
彼女は、そう言ってなにか納得したような顔をした。
「ですが」
私が納得できないのは、
「彼は協力者だったはずなのです。なのになぜ裏切りにも等しいあのような真似をしたのかがわかりません」
「協力者?」
「そうです。リルファがそう彼のことを呼んでいました」
「そう、なら彼はその凶行に至る前にリルファ以外にあっていた人はいる?」
「…一人だけ、会っています」
「それは誰?」
「…大司教様です」
私の中で大切な何かにヒビが入る音がした。
「…催眠術」
「なんだと?」
「骨から拾った記憶の中にその単語があった」
「急いだほうがよさそうだな」




