私が私でいるために~そのゆうは勇気か勇敢か蛮勇か~
「それじゃ行くね」
「他の子達を待たないの?」
「あなただけ起きてこれそうな時間を選んだのだからね。当たり前よ」
「私にだけ話したいことなの?」
「そう、それはね…
事の次第を確かめるために、勇者と魔王と学者は、教国へと朝早くに出発していった。
という話をマイカにされた。
今は、茜ちゃんの予言なるものを受けている最中だ。
「北の地より、ゆう持つものきたり。かの者死者に再び死を運ぶ者なり。避けたくば問え、そのゆうを。避けられぬ時二つの道は再び交わる」
「とでましたけど。どうですか?」
「大変参考になったね。私のこと指している上にゆうのつく人まで来ちゃうんだ。やなことのオンパレードだ」
参考にはなったが、明るい展開になったわけではない。むしろ、ややこしいことになった。
ゆう持つものはおそらく勇者だ。
死者とは私、ではその勇を問えとはなんだ?
避けられぬ時二つの道は交わるとはどういうことだ?
今は考えても仕方がない、とにかく勇者対策でもしておかないとまずいか。
「ねえマイカ、勇者ってどんな特性を待っているの」
「勇者?そうねぇ、一概にこのスキルがあるから勇者って物は持ってないけど。とにかく万能で強い、弱点らしい弱点のない一番相手にしたくないタイプだね」
ほかにもいくつか要点があるらしいが、異世界から召喚されることとその時点で万能の力を持つということらしい。
「こっちに来ているのは、その召喚された勇者とその仲間ってことか?」
「そうだと思う。だけどどうしたらその死を回避できるのかがわからない」
「とにかく問うしかないかな。ほかに方法がない」
sidechangeto???
「本当にこっちであっているのか?」
「ええ大司教様が言うには、まずはこちらから先に仕留めるべきだと」
馬車に乗り、その中で奇妙な会話をしている二人がいた。
教国で召喚された勇者とその連れとして選ばれた聖女であった。
「しかし、本当にまおうは復活したのか?」
「大司教様の話では、およそ五ヶ月ほど前にその兆候が見られたそうです」
「随分と前だな。そんなに遅かったら、もっと被害がでていないか?」
「大司教様の話では、本格的な召喚が行われたのが昨日の話だそうです」
「んじゃ、まだなにも被害が出てないのは当たり前か」
彼は、そう言うと荷馬車の壁を背にして寝た。
着いたら起こしてくれと言って。
「もうすぐです。もうすぐ会えるんです。だから、あの日何があったのか教えてくださいね。…リルファ」
聖女のつぶやきは、同乗していた誰にも聞かれずに柔らかな風に溶けた。
sidechangeto???
そうして勇者は、その死神の鎌を携えてやって来た。
彼は何も悪くはなかった。多分そう言える。
私は大司教なのだ
この地位は誰にも脅かされたくはない
他にどんな犠牲が出ようともだ
リップル・ファートの最終章始まります。




