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自由交易都市に風は吹く~その風は涙味で~

「やっぱりダメだったか」

「当たり前だ。あんなもんでどうにかできる奴はいねえよ」

「そんなおまえにバットなニュースだ」

「なんだよ。嫌な予感しかしねぇな」

「当たりだ。それはな

「『ごめんなさい。また死んでしまって、もう一度生きてるうちに会いたかったなぁ』」

「えっ?」

その歩みが止まる。

「何を言っているの?」

「私は多分別人、あなたの言っているリルファの体を借りただけの誰か」

「……どうして、そんなことがわかるの?」

私は無言で彼女に背を向け、服をたくし上げそのたくし上げた服を加えて背中に流れる髪をどけた。

「…っ!」

そこにあるのは、右肩から左の腰まで一直線にはしった傷跡だった。

致命傷なのは、一目瞭然だった。

「この傷は、私が目覚めてからずっとあった。そしてそのあともこんな傷を追うような目に遭ってない。だから」

言葉を濁す。

咥えていた服を離し、どけていた髪を元の位置に戻す。顔は背けたままだ。

「そんなのって、ないよ。嘘だよね?」

今冗談だと言えたらどんなに心が楽か、でも伝える。乗り越えて欲しいから、

「嘘じゃない、私は託された。だから伝えなくちゃいけない。どれほど残酷でもリルファはこの世にいない」

数秒の後、彼女が私に抱きついてきた。

「今だけこうさせて、私のけじめのために」




何分たったのだろうか、不意に抱きしめられていた感触がなくなる。

「ありがとう。リップルだったっけ?」

こくんと頷く。

「さっきまで喋っていたのにまた、だんまり?」

『伝えることは伝えたから』

「そう…って日本語?!」

『驚くようなこと?私は、そこにいた記憶があるんだけど』

「じゃああなたは日本人なの?」

『自分が何者なのかはっきりしないけど、ここに来る前は確かに日本にいたわ』

「…そう」

『念話っていう手もあるけどね』

「本当に規格外ね。あなたは」

『あなた達ほどじゃない』

穏やかな時間が流れる。それを断ち切ったのは、

「すまなかった!!」

という謝罪の言葉だった。

見ればメガネをかけた彼が謝っていた。

ニーナに、謝られるたびそうじゃないと何度も言っているが彼の言葉は一字一句変わらない。

しかもその謝罪が空回りしていることに気づいてないのだから、傍から見て腹立たしく思えた。

ニーナが涙目になってきたところで私は、枷のついた手で彼をはたいた。

結果見事に左手の甲が当たりメガネをかけた彼は、一回転しながら倒れた。

「………」

気まずい沈黙があたりを包む。

彼を恐る恐る覗き込むと、彼は気絶していた。

どうしよ、という顔で檻の中のみんなに訪ねる。

(とにかく謝れ)

みんなの意見が一致していました。




彼が起きた頃には、あの騎士がいなくなっていた。

私は一応マーキングしておいたからどこに行ったかわかるけどね。

「急がなければ、この間違いを正さなければ」

「…この都市が滅びるかも知れん」

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