自由交易都市に風は吹く~再会の風は~
「あの人にあったら伝えて欲しいことがあるの」
「どんなこと?」
「それは…
そしてその日は来た。
「今日処刑を行う。方法については審判の通り元老院に一任する」
そう宣言していたのは、裁判長である。
彼はその宣言のあと元老院の一人と思われる人物と入れ違いに壇上を降りていった。
広場に立ち、自由交易都市にいるものや、旅行者たちに宣言する。
「大それた罪を犯し、反省の色も見せぬその罪人にこの都市の主が裁きを下すだろう」
彼は両手お広げこれ以上ないパフォーマンスとして、広場に集まった者達に宣言していた。
「そして、主の再臨によってこの都市は再び過去の栄光を取り戻すだろう」
ちなみに私がいるのは、前回同様地下牢の中である。
では何故こんなにも事細かにわかるのかというと、空間魔法のちょっとした応用です。
ということにしておいてください。
そこは、半径およお八mほどの円形の部屋で天井がおよそ十数メートル天井にも床にも同じような魔法陣が描かれている。
その中央に連れてこられた私は、壁の一部がせり上がって、鉄格子の向こうのみんなとみんなと再会を果たした。
手を振ると、親指を立ててくれた、マイカちゃんが。
「さあ召喚の準備はととのった。生贄になってくれたまえ」
魔力がそこそこ吸われる。
…これもしかして。
と気がついてマイカの方を見ると、小さく頷いた。
ほかの二人は何が何やらわからんという感じである。
床の魔法陣が輝きそれに呼応して天井の魔法陣も輝く。
そのちょうど中間の空間が割れる。
その中から四人の男女が私の前に綺麗に着地してきた。
一人は金髪、残りは黒髪。
金髪と背の低い黒髪の人は女の子だろう。
残りの二人は男だ、同じ黒髪でも片方はメガネをかけている。
金髪の女性と黒髪の眼鏡をかけていない方は、懐かしむようにここを眺めていた。
黒髪の子は珍しいものを見るように辺りを見回していた。
メガネの人は、こちらの手元と牢屋の中にいるニーナを見て苦い顔をした。
騎士の人が黒髪の男に向かって行き剣を渡してきた。
何やら喋っているようだが、騎士が得意げに何か語るたびにどんどん金髪の人の表情が険しくなってきている。
そして私の方を指して、何事か言ったその瞬間。
金色の魔弾が騎士を吹き飛ばしていた。
「私の友達をまたッ!」
拳を突き出した体制で叫ぶ金髪の方、粒子のように飛び散ったのは、世界に溶け込むことのできなかったマナの残滓だ。
それだけの強化を施された拳で殴られた男は、その鎧にかろうじて救われていた。
「やっと、やっと会えた。私は、生まれ変わってもこの世界に来るつもりだった。あなたを失ったその日から、世界は灰色だった。あの人に会えて、世界に色が付いた。でも、私のこころの底は灰色のままだった」
涙声になりながら、近づいてくる。
「また会えたね、リルファ」
私はこの人に残酷なことを伝えなければならない。
たとえ、もう一度…になったとしても。
主人公はリップル・ファートですよ。




