自由交易都市に風は吹く~そして波乱の風は一休みをして~
「なんということだ。我らの自由が失われてしまった」
「だが、これで新たな贄を持ってこれる」
「あの娘か。…おとなしく来てくれるものか?」
「何権力に逆らう力はない一人の冒険者に負けているのだから」
「ならば、数日中に実行に移そう」
「♪~」
「何をやっているんですか?」
「何をって、スケート」
わたしは風の祝福を使い、普通の会話を可能としたのだ!
とはいえ、念話の方がコストその他で勝っているのだが私のスペックならば関係ない。
その上で風と氷の複合魔法を使用しているのだ。
私以外の普通の魔法使いなら、数十人は必要なレベルの魔法である。
たとえ揃えられたとしても、使えるのはおよそ数分でもう一度同じことするためには半日以上の休憩が必要となる。
私の場合いろいろ限定することで、消費量<回復量にしてしまったのだ。
普通にこの状態で攻撃魔法を使っても、やっぱり消費量<回復量なのだからおかしいことこの上ない。
模擬戦をしたら、みんなからエルフ?と呼ばれたのは記憶に新しい。
というよりも攻撃魔法<汎用魔法なのがおかしいと言われた。
「いえ私から見てもおかしいですから」
今話しているのは、あの時私を宿に連れて行った騎士の人だ。
「で何の用なのでしょうか?」
「風邪で寝込む前に来た服屋があったでしょう。そこに一緒に来てくれませんか?」
「いいけど」
「まだやるつもりですか?」
入店してから一時間あまり、私は着せ替え人形にさせられていた。
「いいのよ。こんなに可愛い子が何のおめかしもしていないなんて神が許しても、このマーガレッタが許さないわ」
「諦めてださい、マーガレッタのおメガネにかなった子はみんなその道を歩んできたんですから」
実用性も兼ね備えたラインナップなのだから文句も言えない。
「さっきの水の衣も良かったけど、今度の風羽織もなかなか似合っているじゃない」
でも、と言いつつまだ出てくるわ出てくるわ、その数およそ十着。
げんなりしていると、マーガレッタの目が一つの服に止まる。
「まだ残っていたのね」
その服はゴスロリに見えた。
ギュとしっかり抱きしめたそれは、自分の我が子を抱きしめる親そのものだった。
「ねぇ、これ着てみてくれないかしら」
「いいの?それは」
「ええ、あの子の服よ。でも、もうあの子は着ない、着れない。だからあなたにあげるの」
「……」
沈黙があたりを包む。
私は彼女の下まで歩き、その服を手に取り、
「おいくらになりますか?」
と聞いた。
「…お代はいらないわ。あなたが着れるのなら持っていって構わないわ」
「ありがとうございます」
そのまま試着室の方へ歩いていく。
着てみて鏡を見る。
後ろや横も見て、問題ない。
試着室のカーテンを開け、
「どうでしょうか」
二人に見せる。
「とても良く似合っていますよ」
「…小さい頃のあの子を思い出します」
一人はこちらの目を見て、もうひとりは昔を懐かしむように言った。
「では、こr「なにをいっているんですか?」やっぱり?」
私がここから出ることができたのは、それからに時間経過したあとだった。
ちなみに服のいくつかも買わざる得なかった。
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「あの服は息子に着せていたふくではなかったのですか?」
「世の中には知らないほうがいいこともあるのよ」
「そうですか」
「一応、娘も着たし…ね」
「あの日、随分と癇癪を起こしていた子ですか」
「そうよ」
次回はもしかしたら30日には投稿できないかもしれません。




