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麻痺無双!~麻痺スキル縛りで異世界最強!?~  作者: スギセン
4章

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98話 麻痺が効かない相手

 戦いの準備は整った。それはもう、秒で整った。

 なぜって?結局いつも通りドンパチ戦うしかないからだ。そして何より、この胸の高鳴りが思うままに戦うのが一番痺れるからだ……!心を燃やせ……!


「よし、てなわけで、さっそく行こう! 俺はゴーレムの動きを封じるので、その隙にお願いします!」

 正直、クルスたちパーティーの実力は未知数だ。でも、セラ姐がこうして送り出してる訳だし、何よりCランクという実績もある。信じてみよう、魔剣士の力を……!


「見えたぞ。今から容赦なく屠られる運命の、哀れなるゴーレムだ」 

 クルスがひっそりとした声で話す。俺たちの十メートルほど先には、ゴリ、ゴリ……と無機質に動く灰色の巨大な岩石――ゴーレムがいた。その大きさは三~四メートルはあるだろうか。

 情報によればワラワラ出現したというが、運のいいことに、やつは単独行動をとっている。クルス風に言うと、ククク……恰好の餌食というわけだ。

 

「あれが……ゴーレム。 初めて見たぜ」

「おお、パライザーはゴーレム初戦闘と言うわけか。 安心しろ、すぐに屠ってみせよう」

「ふふ、あんたの力……試させてもらうよ」

「ふっ、見切れるかな? 我が動きを」

  

 クルスはそう言うと、背中に携えていた剣をスラリと抜いた。吸い込まれそうな紺色の刀身は、陽が当たる度にキラキラと星空のように瞬く。まるで、宝石――


「む、我が剣がどうした?」

「いや……すごいな、その剣。 思わず目を奪われた」

「そうだろうとも。 《宝剣メナス》、我が相棒だ」


 そう言ってクルスは剣を天高くかざした。陽の光を遮ってもなお、深く暗く輝く姿は宇宙を彷彿とさせる。明らかに、普通の代物じゃないな。


「……よし、射程に入った。 いくぜ【パライズ】!」

 ゴーレム目掛けて、俺の右手から稲妻エフェクトが放たれる……!そして岩盤のような体に直撃――

 ゴゴ、ゴゴゴゴッ――

 直後、ゴーレムは小刻みに震えだした。


「ぱ、パライザー!? 一体何を――いや、それよりっ!」

 クルスは一瞬戸惑いを見せつつも、ザザッと駆けだした。


「むぅんっ……! 焼き尽くせ。【獄炎(ヘルフレイム)熱渦(・ビュート)】」

 クルスの左手から黒煙交じりに炎が出現し、それは瞬く間にゴーレムの体に渦を巻いた。

 ゴゥゴゥと火煙を上げるゴーレム。対してクルスは後ろ手に剣を構える。刀身は黄金色に帯電し、バチッ、バチッとスパークする。


「トドメだっ……! 雷よ、【業雷(ライトニング・)閃刃(サンダークラスト)】」

 

 バリリィッ――!!雷鳴が轟く。

 所々緋色に爆ぜた大地に、黒くたなびくマント姿。

 シュウシュウと火煙土煙をあげる中から、真っ黒になったゴーレムが姿を現しそのまま地面にダイブ。

 はっ?強ぉ……。クルス、強ぉ……


「ふう……まっ、こんなもんだな」

 クルスは、あんないかにもな大技を使っておきながら余裕の表情で戻ってきた。


「……それよりも、パライザー。 おぬし、さっきの技……一体何をしたんだ?」

「何?何って……パライズのことか?」

「ああ、そうだ。 完全にゴーレムの動きが止まっていたが……さては、何か特別な力の持ち主かっ!?」

「……いや、ただ麻痺をかけただけだよ」

「へっ?」


 クルスから、拍子抜けしたような声が漏れ出た。

 直後に、ブルンブルンと首を振る。


「いやいや、それは無い。 だって、相手はゴーレムだぞ?」

「うーん……? ああ、麻痺耐性とかがあるってことか? それなら、俺の麻痺は耐性持ちにも効果が――」

「そうじゃなくて! ゴーレムは魔法生物だ。生身の肉体が無いんだから、そもそも麻痺という状態異常が絶対に効くはずがないんだ!」

「へっ? えっ、そうなの……?」


 ゆっくりと後ろを振り返る。 

 ベルもラヴィも、信じられないといった顔で俺を見ている。え?いや何が?


「……ワタクシ、今回ばかりはマヒルさんの出番は無いと思っておりましたの。できても、応援位だと……」

「拙者も。ゴーレムは、純粋な石……鉱物でできてる。 生身の肉体が、存在しないから、そもそも麻痺する概念が、ない」

「…………まじ?」


 え、それマジ?なんか、俺がやらかしたみたいな空気が流れてる。

 ……ってことは、この世界の麻痺の概念を覆す――というより、麻痺の概念すら超えた何かをバンバン使ってたってこと……?何それ怖い。

 あの女神、一体俺に何の力を授けたっていうんだ……?

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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次回もよろしくお願いしますm(__)m

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