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けんぽう部  作者: 九重 遥
春から夏へ
24/129

24話 身体測定2

 今日も今日とて部活の日。

 場所は物理実験室。

 御影以外のメンバーが勢揃いした時。

 物理実験室の扉が開いたのだ。

「ひっ」

 思わず悲鳴をあげる千歳。失礼なやつだ。

「みーか」

「遅かったですわね」

「お疲れ様です。御影様」

 各々御影を迎える言葉を送る。

 だが入ってきた人物は答えない。

 顔をうつむかせているので表情はわからない。

 御影の様子に皆が首をひねる。

「………御影さん?」

 千歳は御影に声をかける。。

 だが、最初反応がなかった。だが、少し経つと御影は肩を震わしながら声をあげる。

「クックックック…………」

 長い黒髪を前に垂らし不気味な笑い声をあげている様子は恐怖でしかない。

 千歳なんかもう涙目だ。

「クックックっハッハッハ!」

 そして、御影はガバっと顔をあげた。

 目は大きく見開き爛々と輝いている。口角はあがり笑顔を作ってはいるが恐ろしい印象しか与えない。

「やった。やったぞ! 成長したんだ! 胸が大きくなったんだ!ククッ!」

 御影は笑い。他は沈黙する。

 だが、御影は上機嫌で周りの空気お構いなしに上を向いて笑っている。

 他の人物は互いに顔を見合わせて、この空気どうにかしろと押し付け合いをし始めた。

 だが、最終的にセルミナに全ての視線が集う。

 この前御影と言い争ったのはセルミナだろというのが理由だ。

 セルミナはうぅと呻くが、覚悟を決めたのか御影に声をかける。

「み、御影? 身体測定の結果がよろしかったの?」

 セルミナが声をかけると、笑い声がピタッと止む。そして、御影は高速としか言い様がない速度でセルミナの方へ顔を向けた。勿論、目は爛々としたままで。

 千歳はその光景を見て一歩後ずさる。

 失礼ではないな、うん。当然の反応だ。

「聞いてくれセルミナ君! 胸が胸が大きくなったんだ!今まで全然大きくならなかったものがだ!」

 あまりの嬉しさに恐ろしい情報を暴露する御影。

「そ、そうなのですの?」

 あまりのテンションにセルミナはたじたじだ。

「ああ! 今私は嬉しくてたまらない!」

「で、ではどのくらい大きくなりまして?」

 セルミナにとっては話をつなげるためにした質問。

 だが、それが間違いだった。

「2mm大きくなったんだ!2ヶ月前に測った時に比べてだよ!」

「そ、そうですの……」

 思わずセルミナは周りを見渡すが、全員視線を合わせない。

 反応に困る数値なのだ。

 だが、やっぱり上機嫌の御影は周りの様子に気がつかない。

「2ヶ月でこれとは。自分が恐ろしいよ。一年に1.2cm。三年で3.6cmだよ。信じられるかい! 成長期が来たのだよ!」

 興奮で肌を蒸気させて言う御影。

 何も言えないけんぽう部の面々。

 楽観的すぎるのではと喉に出かかった人物も言えば、3cmってそこまで大喜びするものなのかと御影が聞いたら悲鳴をあげそうなことを思った人物もいた。

 だが、御影も頭が良い。そんな単純計算にならないことがあるのも知っているのだ。

「もしや、もしやすると5cmいや8cmもなるかもしれない。私も巨乳族の仲間入りだ」

 誰かの脳内にポジティブキングという言葉が流れた。

 だが、それを口に出す者はいない。

「よ、よかったですわね」

「流石です、御影様」

「ば、ばんざーい」 

 祝福するけんぽう部のメンバー達。

「ありがとう、ありがとう君達」

 祝福を受け、喜ぶ御影。

 だが、彼女は知らない。

 緋毬の胸が2ヶ月で2cm大きくなった事実を。

 御影は知らなかったのだ。 

御影はドンドンキャラ崩壊させる予定です。


次回更新は3話更新。


『暇潰し』

『御影の暇潰し』

『セルミナの流儀』

の三本を予定。時期は再来週?

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