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冬の野菜をいただく

冬も順調に過ぎていき季節の変わり目が近づいている季節。

とはいえまだ寒さは続くので寒さ対策はまだ緩めない。

そんな冬でも作物は採れるので、それらの料理もいろいろ試している。

冬夕から聞いた料理などもまずは作ってみる事からだ。

「いい匂いがするわね」

「おや、領主様、相変わらずお疲れ様」

「ええ、この匂いには抗えないものよね」

冬でも野菜は収穫されるし、冬に美味しい魚などもある。

そうしたものをいただくのも食堂などの飲食関係の施設の腕の見せ所だ。

「あら、ガウルも来てたのね」

「おう、領主様も腹が減ったってクチか」

「食欲には抗えないだけよ、それで何を食べているの」

「クリームシチューってやつだよ、シチューのイメージと違っていいぜ」

「いいわね、なら私もそれをお願い」

ガウルが食べているのはクリームシチュー。

ハイランダーは本来はパンではなく米食文化の種族でもある。

とはいえここでの食事ではそういうのは特に気にしていない様子。

「シチューってもっとこうスープみたいなイメージだったんだけど」

「フユの嬢ちゃんが言ってたが、あっちの世界のシチューはこんな感じらしいぜ」

「へぇ、でも牛乳でシチューを作るっていうのは発想になかったわね」

「牛乳もそうだが、野菜も美味しく食えるからな、子供にも人気なんだと」

「確かにこういう味は子供には人気になりそうね」

クリームシチューは子供にも人気の料理らしい。

確かに牛乳とじゃがいもなどの野菜を煮込むのは子供には美味しく感じるだろう。

冬という事もあり白菜なんかも今は使われているらしい。

「でもクリームシチューは鶏肉なのね、シチューって牛肉のイメージなんだけど」

「それは向こうの世界だとビーフシチューってやつらしいな」

「ふーん、でも温かいシチューは体も温まりそうだわ」

「米にかけて食っても美味いしな、意外な発見だぜ」

「お米にかけて食べるの？カレーじゃないんだから」

ガウルはシチューオンライスで食べるのを気に入っている様子。

米食文化の領地出身というだけの事はあるのか。

オルライトの分も運ばれてきて相席でいただく事に。

「うん、確かにこれは美味しいわね」

「チーズを使うのがコツらしいな、それで美味しさが増すんだと」

「チーズ、乳製品が大活躍ね」

「俺も凝ったものは作れないけど、簡単な料理は出来るしな、新たな発見も多いさ」

「ガウルって料理も出来るのね、思ってるより器用なのかしら」

そんなクリームシチューはじゃがいもやにんじんが定番ではある。

季節によっては白菜を入れたり、さつまいもに変わったりするらしい。

もちろんそれらの野菜もこっちの世界での呼び名は違うが。

「フユの世界ではこの野菜は白菜って呼んでるみたいね、煮込まれてとろとろだわ」

「ホワイトリーフだろ、まあ異世界ともなると野菜の名前も変わるか」

「でもフユと付き合いも結構になるし、野菜とかついあっちの名前で呼んじゃうのよね」

「料理の提案とかしてくれる関係で食材に触れる事も多いからだろ」

「ええ、でもクリームシチューって牛乳の甘みと野菜の美味しさが溶けてていいわね」

美味しさが溶けるというのは料理を美味しくするコツらしい。

煮込み料理なんかは特にその傾向がある。

野菜嫌いでも結構食べてくれるのはやはり嬉しいのだとか。

「村でも野菜の畑の規模が大きくなってきたけど、まだまだ大きく出来そうね」

「この村って土地がそんなに余ってたのかよ」

「調査をした上での開拓だけどね、でも確かに想像以上に使える土地は多いわ」

「もう村っていうより小さな街だよな、三年目には街に改名してもいいんじゃないか」

「一応国が定めてる村や街の定義があるから、規模的にはこれでもまだ村なのよ」

村や街というのは国によって定められた決まりがある。

それもあるため今の規模でもまだ村なのだという。

街を名乗るにはまだ住民が増える必要がありそうだ。

「ふぅ、美味しかったわね、ガウルもまたいろいろ頼むわね」

「おう、任せておけ、村の警備とかは俺がついてるからよ」

「お金はここに置いていくわね、ご馳走様」

そんな冬の野菜も頭を使って食べていく。

野菜には旬があるので、美味しい季節というものがある。

異世界の料理でも意外と再現出来るものなのは確かなようだ。

食材さえ用意出来れば、意外となんとでもなるらしい。