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種族と神様

先日移住してきた聖職者の人達と会ったオルライト。

彼ら彼女らなりに信仰心は厚く悪い人でないという事は確認した。

村でのイベントなどにも結構積極的に参加してくれる様子で、人当たりはいい。

とりあえずは問題とかは起こさないだろうと思ったようだ。


「フユの世界にも宗教的な問題ってあったりするのよね」


「なんだよ突然」


「いえ、最近聖職者の人達が移住してきてその人に会ってきたから」


オルライトとしても宗教的な対立などは起きて欲しくないと思っている。


異なる宗派の人達が移住してきているからこそではあるのだが。


「フユの世界にも宗教的な対立とかってあったりするんでしょ」


「まああるな、実際それで戦争にまで発展したりとかもあるし」


「そこまであるのね」


「ああ、それに宗教ってのも一つじゃねぇしな」


「やっぱりこの手の問題は難しいものなのね」


オルライトも村の領主としてその辺は見ていく必要がある。

宗教的な理由での戦争というのは異世界でもあるものなのだろうと。


だからこそその宗派に対応した施設は建設していく必要がある。


「フユは確かシントウっていう宗派なんだったかしら」


「んー、神道は宗教って感じじゃないんだよな、なんというか概念的なもんなんだよ」


「そうなの?でも神様は信じているのよね?」


「ああ、だから宗教というより神様と一緒にいるみたいな考え方の一つだよ」


「神様は一緒にいる、信じるというより身近な存在としての見方なのね」


冬夕曰く神様というものをどのように捉えるかではあるという。

絶対の存在としてではなく身近な存在としてみているという考え方。


なので神様はどこにでもいるというのが冬夕なりの考え方なのである。


「神様への考え方も異世界となると変わるものなのね」


「この世界は一神教が基本なのか?」


「一神教?って何かしら」


「一人の神様だけを信仰するタイプの宗教だな」


「なるほど、多分そんな感じのものが多いわよ」


オルライト曰くこの世界の宗教は一神教が基本とのこと。

それもあり宗教的な対立も起こりやすいのかもしれない。


村でもそうした異なる宗派による揉め事はないとは言い切れないからだ。


「フユの世界だと複数の神様を進行する宗教もあるのよね」


「ああ、神道は宗教ではないけど多神教のそれに近くはあるからな」


「多神教だからこそ神様はたくさんいるっていう考え方なのね」


「まあな、米の一粒にも神様が宿るみたいな考え方ではあるし」


「へぇ、面白いわね、そんな細部にまで神様を見出しているのね」


そうした考えは当然冬夕にも根付いている。

だからこそ道具は大切に扱うし、食事もきちんと食べる。


それは神道なりの神様への向き合い方なのかもしれない。


「でも多神教だとそれはエルフとかドワーフみたいな感じなのね」


「こっちでも多神教があったりするんだよな」


「ええ、エルフなんかは自然信仰だし、ドワーフは鍛冶やお酒の神様を信仰してるし」


「なるほどな、多神教ってそういう事か」


「ええ、エルフはフユの言うシントウに近い考え方だと思うわよ」


エルフなんかは自然信仰が強い種族である。

それにより信仰も神道のそれに近いものがあるとオルライトは言う。


それもありこの世界ではエルフやドワーフといった異種族は多神教のそれに近いらしい。


「でもフユの世界でも神様とか宗教的な理由による争いはあるのね」


「ああ、まあそれも昔の話だけど、近年でもないとは言い切れないからな」


「そういう騒動って今も昔も変わらないのねぇ」


「オルライトが会ってきたその聖職者の人達も悪い人ではないんだろ」


「ええ、悪態をついたりはするけど、基本的にはいい人だったわよ」


オルライトが会ってきた聖職者の人達はみんな人はよかったという。

なので村の人達とも上手くやってくれるだろうとオルライトも信じている。


とりあえずは宗教的な対立に対しては厳しく見ていく事にするとも。


「フユの世界の神様の話って面白いのね」


「まあ国が変われば宗教も変わってくるからな、その辺は難しい話だよ」


「それは世界が変わっても変わらないものよねぇ」


そんな神様の話は種族の話にもなってくる。

オルライト曰くエルフなどの異種族は多神教のそれに近いという。


その一方で人間の信仰は基本的に一神教のそれに近いものが多いとか。


種族が変われば信仰もまた変わってくるのである。

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