表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/210

寒い日の暖まり方

すっかり冬も本番になり外は結構な寒さが襲い始めた。

食事処などでもスープや煮込み系の料理がこの季節はよく出るようになる。

そんな中で暖まり方は人によって違うのもまた面白い。

種族が変われば手段も変わるという事か。


「魔王がこんなところに来ていていいのかしら」


「仕事は片付けてから来ているのだから何も問題はないな!」


「魔王っていう割にはお気楽ねぇ」


そんなミラールも仕事はしっかりと終えてから村に遊びに来ている。


魔王は意外と自由という事なのか。


「それにしても見た目は子供に見えるけど、お酒は飲める年齢なのよね」


「うむ、この村の酒はどれも美味い、流石はドワーフの造る酒だな」


「でもお酒ってそんな美味しいものなの?」


「オルライトは酒は飲まないタイプか?」


「飲めるには飲めるけど、積極的に飲む事はあまりないわね」


オルライトも酒は宴席でなどは飲むものの、普段から積極的に飲む事は珍しい。

体質的にアルコールに弱いのかは分からないが。


ただ酒は言われれば飲む程度の付き合いらしい。


「そういえばドワーフって酒豪なのは有名だけど、なんであんなに酒好きなのかしら」


「なんだ、知らんのか?ドワーフは酒神に愛され、酒神を崇める種族だからだぞ」


「つまりドワーフの信仰って大地の神と酒神なの?」


「そうだ、種族によって信仰は違う、エルフは精霊信仰が強いようにな」


「移住者にも他国から来てる人がいて、宗教の相談は受けたけど、種族でもまた違うのね」


ドワーフの酒好きは酒神を信仰するからこそのものなのだとミラールは言う。

また鍛冶や細工が得意という事もあり、鉱物などを司る大地の神も信仰している。


他種族に得意な技能があるというのはそうした信仰により与えられたものとも言われるとか。


「それにしてもよく飲むわね」


「魔界は過酷な環境の上に冬は特に寒くなるからな、酒を飲んで暖まるのだ」


「それって飲み過ぎで危なくなるんじゃないの?」


「そこは種族にもよるな、魔族はアルコールに対する耐性が強いからな」


「ふーん、確かにそれだけ飲んでも酔う気配がないのはそういう事なのね」


酒への耐性は種族によって違うので、魔族は簡単には酔わないという。

魔界は冬は特に寒さが過酷なのでアルコールで暖まる人は多いとか。


その一方でエルフなんかは酒への耐性が低く、匂いだけで酔ってしまう事もあるらしい。


「でも寒いからってお酒を飲んで暖まるっていうのはどうなのかしら」


「魔族は酔うほど飲む前に体が暖まるからな」


「村だとお風呂とか温かい食べ物で暖まる事が多いけど、お酒に強いとそうなるのね」


「そういえば何か工事の準備が進んでいたが、あれはなんなのだ」


「以前調査を進めてた温泉よ、地下に間欠泉が見つかったから本格的に始めるの」


オルライト曰く以前調査を依頼していた温泉の調査結果が出たという。

その結果間欠泉が見つかったらしく、本格的に温泉の工事を依頼したとのこと。


工事は近く始まり、来年の夏前には完了するという。


「それでお酒に強いっていうのは結局は種族的な特徴って事なのかしら」


「そうなるな、魔族やドワーフはよほど飲まない限りまず酔う事はない」


「それで実際にそれだけ飲んで体は暖かくなるのよね」


「ああ、内側から暖まるぞ」


「人間がスープや煮込み料理を食べるみたいな感覚でお酒を飲むのねぇ」


ドワーフが酒豪なのは世間的にも有名だが、魔族も負けないぐらい酒豪らしい。

とはいえ飲み比べをしたら魔族が先にダウンする事がほとんどとも言う。


ドワーフは酒神に愛され信仰するからこその酒豪なのだと。


「でもミラールがお酒を飲んでる姿はいろいろ誤解されそうよね」


「酒が飲める年齢なのだから、飲んでも何も問題なかろう」


「それはそうなんだけどね」


「それにこの村の酒はやはりドワーフが作っているだけあって外れがないな」


「意外とお酒の味も分かるのね」


ミラールは年齢と見た目が合っていない感じはある。

それもあり酒を飲んでいる姿はどこか危なげだ。


もちろん酒を飲める年齢だからこそ飲んでいるに過ぎないわけだが。


「冬の暖まり方も種族の特徴がよく分かった気がするわ」


「魔界の冬は寒いというより極寒だからな」


「お酒を飲んで暖まるって種族特有よねぇ」


そんな冬の寒さを凌ぐ方法も種族による違いがある。

ドワーフや魔族が酒を飲むのはそうした理由なのだと。


冬はまだまだこれからであり、春から夏に仕込んだ酒が一気に消費される。


ドワーフ流の越冬の方法という事なのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ