水着の用途
すっかり冬に突入し寒さが本格化してきた季節。
その一方で冬夕の世界は今は夏なので、当然夏服で転送されてくる。
寒暖差が激しいと風邪を引かないかは心配ではある。
そんな季節が真逆の世界の人は何かとあるようで。
「そっちの世界は夏だから大変ね」
「全くだ、夏服でこっちの世界に来ると寒くて敵わないぜ」
「冬は室内は暑いぐらいだけど、外は寒いものね」
そんな冬夕も夏休みまではまだ先らしい。
その一方で水泳の授業が始まる季節でもあるらしい。
「そういえばカバンに入ってるそれはなんなの?」
「こいつか?水着だよ、水泳の授業が始まる季節だからな」
「水着…それってお風呂に入る時に着用するやつの事かしら」
「なんだ、こっちだと風呂に入る時に水着を着用するのか?」
「ええ、公衆浴場なんかは男女に分かれてない代わりに水着で入るのがルールよ」
オルライト曰くこちらの世界では風呂に入る時は水着着用が基本らしい。
個人で風呂を持っているようなのは金持ちであり、公衆浴場を使う人の方が多いとも。
なので水着は平民でも持っているものであり、公衆浴場を使う時に着用するのだと。
「でも冬夕の水着って不思議な感じね、生地の手触りも違うし」
「こいつは学校用のスクール水着だしな、私用の水着はまた別のもんを持ってるよ」
「ふーん、つまり学校で水着を着用する授業があるのね」
「こっちだと水泳の授業とかやんないのか?プールっていう施設もなかったりするのか?」
「プール?よくは分からないけど、そういう施設はないわね」
どうやらこちらの世界ではプールなどというものはなく、水泳の授業もないという。
そのため水着といえば入浴の際に着用するものというのが一般認識だ。
それもあり泳げるというのは凄いスキル扱いなのだとも。
「フユの世界だと水泳を学校で教えるの?」
「アタシの国では少なくとも教えてるな」
「なるほど、それでプールっていうのはなんなの?」
「分かりやすく言うと泳ぐために使う運動施設みたいなもんだな」
「つまりプールで泳ぎを教えたりしているっていう事なのね」
プールは主に水泳の授業やスイミングスクールとして使う事が多い。
その一方でそうした予定が入らない日は自由に開放されたりもする。
こっちの世界では水泳を教えるという事は、海沿いの地域でもなければまずないのだと。
「でも水泳を教えるのが一般的なんて凄いものね」
「こっちだと泳ぎを教えたりはしないのか?」
「軍隊とか海沿いの地域なら教えているとは聞くわね」
「内陸の地域だとそういう事は教えないって事か」
「ええ、だからフユの国みたいに水泳を学校で教えるのも珍しいのよ」
オルライト曰く泳ぎを教えないのは施設がないという事もあるという。
なので軍人が泳ぎを教わる時は海に遠征に出て訓練するのだと。
海沿いの地域でも泳ぎを教わる時は海で教えるのが当然の事なのだと。
「でもフユの世界の水着って面白いのね」
「プールもそうだけど、海に海水浴に行ったりする事も普通だからな」
「ここも海沿いの村ではあるけど、海で泳ぐなんてまずないわよ」
「泳ぐのも遊びっていう文化みたいなのはないっていう事か」
「そういうのは少なくとも聞かないわね、泳ぎといえば救助活動とかだもの」
軍隊が泳ぎを教わるのは救助活動や、海に出た時に生き残れるようにである。
泳ぎを教える海沿いの地域もあるが、泳ぎは遊びといったような文化はないという。
なので水着の用途もこっちの世界では風呂に入る時に使うというのが大多数の認識だ。
「フユの世界の水着って可愛いものだったりするの」
「そうだなぁ、学校ではスク水だけど私用で使うのはデザインも豊富だぞ」
「へぇ、それは興味深い話ね」
「まあ水着を選ぶのも楽しみの一つだったりするしな」
「可愛い水着とかはちょっと気になったりするものなんだけど」
こっちの世界の水着は可愛いといったものはないという。
平民も貴族も水着のデザインは共通してシンプルなものだ。
公衆浴場に入る時には水着着用というのがこっちの世界のルールでもある。
「フユの世界の水着のデザインとかは見てみたいものね」
「まあ絵に描くぐらいは出来るとは思うけどな」
「なるほど、なら描いてもらおうかしら」
それから冬夕の世界の水着をいろいろ描かされた様子。
冬夕も絵は描けるが、上手いとまではいかない。
それでも伝わる程度には描けるという。
オルライトもその水着には興味津々だったようだ。




