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後日談・2

オルライトが正式に領主になってから二週間が経過した。

領主としての仕事に励みつつも、村の開発は引き続き続けている。

バルカやベルなども積極的に力になってくれるので、何かと仕事は捗る。

村の住民からの要望などにも目を通しつつ何から優先的にやっていくか考えている。


「ふぅ、正式に領主になったから何かと忙しくなったわね」


「オルライト様は元々働きすぎなぐらい働いてますからね」


「そういうキスカだって私が留守の時なんかは何かとやってくれて助かっているわよ」


オルライトの働きっぷりは元々凄いと言われていた。


とはいえそこには支えてくれた様々な人達の存在があってこそである。


「でもやっぱり私一人じゃ限界があったわよ、みんなのおかげよね」


「オルライト様も野生児などと言われていた頃から成長しましたね」


「それは昔の話でしょ、でもキスカとも長い付き合いよね」


「そうですね、オルライト様がまだ子供の頃から一緒に育ってきたので」


「メイドロボのあなたは成長はしないけどね」


キスカはオルライトが幼い時からずっと一緒にいた存在だ。

なのでオルライトの行動パターンはほぼ学習済みである。


なのでオルライトの手綱を握っているとも言える。


「でも村の人達に受け入れられて、それだけは嬉しかったわね」


「先代の領主様も村人の評価はよかったですからね」


「前の領主ってどんな人だったのかしら」


「よくも悪くも仕事人間でしたね、少なくとも村の運営はしっかりしていたようです」


「でも持病の悪化だったっていう話だったわよね」


前の領主は持病の悪化による療養という形で退いている。

そこにオルライトが代行して行かないかという話が入ってきた。


オルライトの話は前の領主の耳にも入っていたようで、正式な要請はそこから来たようだ。


「それにしてもたった四年でこんな立派な街に変わるなんて、やれば出来るものね」


「オルライト様が自ら交渉に行ったりしていた事が相手への好感度にも繋がったものかと」


「まあ相手に好印象を持たせるには誠意を見せるのと、本人が直接行くのが一番よ」


「その行動力の化身なところは昔から変わっていませんね」


「それは言わないでくれた方が…まあその通りではあるんだけど」


オルライトの行動力の化身なところは昔からのようではある。

なので交渉なども全部本人が行くという徹底っぷりだ。


誠意という意味でも本人が行く事の意味はある。


「でもキスカがいてくれたからこそ、仕事もスムーズに運んだのよ、感謝してるわ」


「そう言ってくれるとオルライト様に長年尽くしてきたかいがあるというものです」


「そう言ってもらえると救われるわね」


「オルライト様は野生児のような行動力でも、貴族としてはきちんとしていますからね」


「貴族は民に尽くすのが役目でしょ、だからそれを守っただけよ」


オルライトなりに貴族としての矜持のようなものはある。

貴族は民のために働くもの、それだけは忘れていない。


貴族としての誇りがあるからこそ、真っ当に生きているという事でもある。


「まあお父様にも感謝はしているのよね、親の背中は見て育つものだから」


「お母様については、近いうちに貴族の仕事に復帰出来ると連絡がありましたよ」


「本当?久しぶりにお母様に会えるのね」


「お母様もオルライト様の活躍には喜んでおられたそうですしね」


「お母様も貴族の家に嫁いできて何かと苦労されてたと思うものね」


オルライトの母親は貴族としての階級の違いがある。

それもありアッシュ家での仕事も最初は苦労していたようだ。


なのでそれもあり心労で体の調子を崩したという事のようで。


「でもお母様もやっとよくなったのね」


「貴族としての階級の問題もありますからね、そういう婚約の話は珍しくはないですし」


「ただお母様は立派にやっていたと思うけど、苦労はそれだけあったのね」


「まあ貴族の仕事というのはそれだけ激務なんですよ、それはオルライト様もお分かりかと」


「それはそうなのよね、お母様はそれに苦労していたっぽいし」


オルライトの働きっぷりは母親の耳にも入っていた様子。

それについては素直に喜んでいたという事らしい。


やはり親は子供が立派に育つのは嬉しいものなのか。


「お母様が戻ってきたら、報告なんかもしたいものね」


「お母様もオルライト様もお互い大好きですからね」


「うぐっ、流石にマザコンではないわよ?」


「オルライト様はどちらかというとファザコンでは」


「キスカ、あなたそういうところまでしっかり見ているわね」


オルライトはどちらかというとファザコン。

親の事は好きではあるものの、人格形成には父親の影響が大きい。


そこは父親の背中を見て育ってきたという事か。


「さて、また仕事に戻らなきゃ、見回りに行ってくるわね」


「はい、行ってらっしゃいませ」


「さてっと、気合い入れるわよ!」


こうしてオルライトの領主としての仕事はここからが本番である。

村の人達との協力、力を貸してくれる人達との協力など人材は揃っている。


ここから先は正式に領主として働いていく事となる。


両親の耳にもオルライトの活躍はしっかりと入っている様子。

なので改めてのスタートラインに立ったという事になる。


オルライトの領主としての全てはここからはじまるのだから。

この先村はさらなる発展を遂げる事となるがそれはまた先の話。

オルライトの領主としての仕事、それについて来る住民達、慕われるのは誠意あってこそ。


貴族としての生き方はそれを貫くからこそなのだ。


村から町になりまたさらに大きくなる、オルライトの活躍は終わらないのである。

今度こそ完結です。

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