表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
190/210

村の守り

村もすっかり街となり栄えてきた夏の日。

人が増えれば村の守りを固める事も必要になってくる。

移住者達にも自警団への入団希望者はそれなりにいる。

それもあり村の守りはそれなりには安心のようではある。


「あら、エルネスト、自警団の方はどうしたのかしら」


「訓練が終わって休憩中だぜ、そういうオルライト様は村の見回りか?」


「ええ、それにしてもエルネストは変わらないわね」


エルネストも強くなるために必要な事は理解している人だ。


自警団の育成をしつつもしっかりと休む事も忘れない性格だからこそか。


「でも自警団も強くなったわよねぇ」


「まあみんな飲み込みがいいしな、それにあのガウル殿も一緒だから心強いさ」


「でもそれに加えてエルネストの教育が上手いからじゃないの」


「そう言ってくれると嬉しいねぇ、でも鍛えるってのは難しいもんなんだよ」


「それがみんなここまで強くなるんだから大したものとしか言えないわね」


エルネストの教育はそれだけ理に適っているのか。

今の村の自警団は国の騎士団の小隊レベルの強さはある。


村を襲う盗賊などの賊程度ではもはや相手にならない程度には強いのだ。


「そういえば自警団の団員がまた増えたんじゃないの」


「ああ、移住者にも結構入団希望者がいてな、全員は無理だからテストしてるんだよ」


「なるほどね、入団テストをしてそれについて来られた人だけが団員になったと」


「そういう事だ、まあ入団希望者はそれだけみんな鍛えられてたけどな」


「最初からそれなりに鍛えられてないとそもそも入団しようとはならないわよね」


自警団への入団希望者は最初からそれなりに鍛えられている人が多い。

それは最初からそれなりに強くないと、そうした行動には出ないという事なのか。


とはいえだからこそエルネストも鍛えがいがあるのだろう。


「でも自警団がここまで強くなるなんて、エルネストの教育は見事なものね」


「まあ元々の騎士団でも現役引退して後輩育成を任されてたぐらいだしな」


「それだけ教育が得意という事なのね」


「でも俺の教育だけが上手くてもここまで強くはならない、みんなにやる気があるからこそだ」


「確かに、本人達が教育についていけなかったらここまで強くはならないわよね」


エルネスト曰く本人にやる気がなければここまで強くはならないとのこと。

エルネストやガウルのトレーニングメニューについてこられた人だけが今の強さに至っている。


厳しいトレーニングではあるが、きちんと休み、きちんと食べる事もしているという。


「エルネストって本当に後輩を育てるのが上手いわよね」


「組織ってのは後輩が育たなければ維持出来ないからな、育成ってのはそういうもんだ」


「育てる事の意味を分かってるのね、その辺は年齢から来る経験かしら」


「まあ実際後輩が育たなくて消滅した組織とかは何度か見てるしな」


「エルネストは後輩を育てる事こそが組織を守る事になるって思ってるのね」


エルネスト曰くどんな優れた組織でも後輩が育たなければいつかは消えてしまうという。

優秀な人間に依存する事もまた組織としては危ういという。


極めて強い一人がいるチームより、全体が平均以上に強いチームの方が強いのだとも。


「でも確かにそれについては分からなくはないわよね」


「結局は優秀な一人に依存すると、そいつが抜けた時が一番怖いんだよ」


「だからチーム全体が平均以上に強い方がチームとしては強くなるのね」


「ああ、一人だけが極めて強いチームはいつか必ず崩壊するからな」


「エルネストらしい持論ね、でも納得だわ」


エルネスト個人としての考え方でもあるが、以前冬夕からも聞いた言葉だという。

極めて優秀な一人に依存したチームは必ずどこかで限界が来るか壁にぶち当たると。


その壁を乗り越えられない限りそのチームは強くはなれないとも。


「とはいえ確かに極めて優秀な一人に依存する事は怖さもあるわよね」


「オルライト様もそうだと思うぜ、同等とは言わないが優秀な代行は用意するべきだ」


「そうね、私と同程度とは言わないけど、私の仕事の代行が出来る人は用意しないと」


「何かあった時にもしそいつがいなくてもチームや組織が回るっていうのは大切だぞ」


「エルネストが言うと言葉の重みもまた違うわね」


極めて優秀な一人に依存する事は場合によっては組織やチームの崩壊にもなる。

そいつが抜けても回せる組織やチームの方が優れているのは言うまでもない。


極めて優秀な一人に依存するというのはワンマンチームとも言えるからなのか。


「とりあえず自警団はきちんと強そうで何よりだわ」


「ははっ、まあ教育なら任せときな、きっちり強い組織にしてやるからさ」


「ええ、期待しているわよ」


そんな村の守りはエルネストとガウルの存在は大きいという事か。

そうしたきちんと育てられた村人達は騎士団にも負けない戦士となる。


やはり正しく鍛えるというのはそれだけ大きい事なのだろう。


エルネストとガウルという二人の指導者はその強さを本物にしてくれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ