肝心の相手
オルライトの領主としての仕事が終わるまでもう半年もない時期。
代行が終わってからの予定は今は白紙だ。
とはいえ正式に領主になってくれと言われたのならその時は受けつもりである。
そんな中バルカから気になる話を振られる事に。
「村も大きくなったものね、自分でも驚いてるわ」
「今やここは村ではなく街ですからね」
「そうね、国にも正式に認められたし」
そんな中バルカがオルライトに対して疑問をぶつけてくる。
それはこの村に来る事になった発端の話だ。
「人も増えたし、みんな楽しそうに暮らしててここに来てよかったわ」
「そういえばオルライト様、結婚したくなくて領主代行の仕事を受けたんですよね?」
「そうだけど、それがどうかしたのかしら」
「いえ、その相手はどんな人だったのかなと思いましてね」
「そうね、割と分かりやすい七光りのボンボンだったわよ」
オルライトが結婚を拒絶するぐらいのその相手。
オルライトが言うには分かりやすい七光りのボンボンだったという。
オルライトは結婚するのなら、自分の仕事を手伝ってくれるような人がいいという。
「分かりやすい七光りのボンボンは私の好みじゃないのよ」
「でも貴族の結婚ってそれこそ政治の道具みたいな扱いなのでは?」
「それは分かってるわ、でも私は愛と理解のない結婚はしたくないのよ」
「そういう所はオルライト様らしいですねぇ」
「少なくとも結婚するなら私は私の事を理解してくれる人と結ばれたいもの」
オルライトは愛と理解のない結婚はしたくないというのが本心の様子。
だからこそ結婚相手はきちんと選びたいのだという。
自分のやる事に理解を示さない相手とは結婚したくないという事のようだ。
「まあいつかは結婚するんだろうとは思うけれどね」
「それでも相手ぐらいはこっちが選びたいという事ですかね」
「選びたいというか、お互いに理解がある人と結ばれたいって思うだけよ」
「理解というのは難しいですからね、ただオルライト様は働き手ですからねぇ」
「ええ、自分は仕事人間だというのは自分でも分かっているもの」
オルライトはそれこそバリキャリ系の仕事人間だ。
男より仕事が彼氏と言わんばかりの働く事が好きなタイプでもある。
それは貴族として民とどのように接していきたいかという事でもある。
「とはいえ流石に分かりやすい七光りのボンボンみたいな人は遠慮したいのよね」
「オルライト様は人をそうやって見定めてるって事ですかね」
「お父様が持ってきたプロフィールにもそんな大層な事をしてる人ではないと書いてたし」
「なるほど、やはりそれなりに結果を残してきた人と結ばれたいと」
「そういう事よ、私は仕事が出来る人と結ばれたいと思っているもの」
オルライトの理想の相手は仕事が出来る人だという。
結ばれるのならそういう人がいいとオルライトは思っている様子。
本人なりに理想の相手はいるという事なのだろう。
「私にだって理想の相手ぐらいいるもの、でも理想よりは理解のある人がいいかしらね」
「理解のある人ってそんな簡単に見つかるんですかね」
「正式にこの村の領主になったら、結婚からはまた遠くなりそうではあるけどね」
「もしそういう要請が来たのなら、受けるつもりという事ですか」
「ええ、もし来たのなら受けるつもりではあるわよ」
オルライトは正式に要請が来たのなら受けるつもりという事らしい。
その時は結婚からはまた少し遠ざかりそうではある。
それでも結婚を望む相手や話が来たのなら見るだけはするつもりのようだ。
「だから結婚する時はあっさり結婚しちゃうんだろうなと思ってるのよね」
「オルライト様、決める時はあっさり決めちゃうタイプですからね」
「そうなのよ、嫌な時は徹底的に拒否するけど、決める時はあっさり決めるのよ」
「オルライト様の性格って意外と豪放磊落で明朗快活ですよね」
「そう言われると否定は出来ないわね」
オルライトの性格は豪放磊落で明朗快活。
バルカのその例え方には反論は出来ない様子。
とはいえオルライトは決める時はあっさり決めてしまうタイプの性格でもある。
「まあ結婚は貴族である以上いつかはしなくちゃいけないものだと思ってるしね」
「だからこそ相手はきちんと選ばせろって事ですかね」
「そんな感じよね、だから私に理解のある相手を選びたいのよ」
「オルライト様、理解を何よりも重要視するんですね」
「一応ね、理解があるって大切な事だもの」
理解があるという事の大切さをオルライトは知っている。
だからこそ理解のある相手と結ばれたいと願うのは必然なのか。
肝心の相手はそんな簡単には決まらなさそうではある。
「結婚に関しては今はまだ分からないとしか言えないものね」
「でもオルライト様なりに結婚への考えはあるんですね」
「一応そういう気持ちぐらいは持ってるわよ、一応ね」
そんなオルライトの結婚への思いは一応あるという事。
理解を何よりも重要と考えているのは働く事を大切にしているからか。
少なくともオルライトは結婚しないつもりではない様子。
あくまでも相手が見つかったのならあっさり結婚するのかもしれない。




