税金と収入
村もすっかり春になり外は暖かな日差しが差し込む。
そんな中村の住民の数が目標に到達し、近い内に街にするための申請をする。
もう一つの目標である税金の納税額も来月辺りには到達出来そうだ。
税金の仕組みを知っているからこそ目標も定めやすいというものだ。
「フユの国にも当然税金ってあるのよね?」
「なんだよ突然、まあそりゃあるけど」
「異世界の税金というのもちょっと興味があってね」
オルライトは日本の税金も気になっている様子。
異世界の税金というのは国家としての仕組みなども当然影響するわけで。
「実際どんな感じなのかしら、ニホンの税金って」
「割と重税な国で、手取りの半分ぐらいは税金で消えるかな」
「そんなに取られるの?それ普通に重税よね?」
「あとは消費税が大きいかな、あらゆる買い物につく税金な」
「消費税って、それこそ何を買っても一定の金額の税金を取られるって事よね?」
日本で嫌われている税金の筆頭である消費税。
とはいえ消費税は逆進性でありながら、全ての人から平等に取れる税金でもある。
ただ貧しい人ほど重くのしかかってくるのもまた消費税だ。
「消費税って平等で公平な税金ではあるけど、貧しい人ほど苦しくなる仕組みなのね」
「こっちの世界だと税金ってどうなってるんだよ」
「こっち?そうね、この国だと酒税が一番高い税金よ、あとお酒は物品税との二重課税なの」
「一番高い税金が酒税、物品税って贅沢品にかかる税金の事だったか?」
「そんな感じね、物品税はお酒と煙草には当然かかるけどあとは3万以上の品からになるわね」
オルライト曰くこの国では酒税が一番高い税金なのだという。
そこに物品税との二重課税になっているのがアルコールなのだとか。
なぜお酒にそんなに税金がかかっているのかという話ではあるが。
「酒税に関しては貧しい人がお酒を買いにくくする目的があるって聞いたわ」
「それで酒は酒税と物品税の二重課税になってるのか」
「ええ、法律で禁止こそしてないけど、値段は凄く高いわよ、お酒は完全な贅沢品よね」
「まあ酒に関しては分からなくはないな、酒に溺れる奴とか割と実害があるし」
「貴族なんかはパーティーとかで大量にお酒を消費するから、割と税収にはなってるわね」
この国において酒は完全な贅沢品だという事らしい。
その目的は貧しい人が酒に手を出しにくくする目的があるとか。
だからこそ貴族がたくさん酒を消費してくれる事もまた大きいという。
「でも税金に関しては収入に依存してるから、明確にいくらという事はないのよね」
「つまり収入が1000万なら、その何割みたいな感じか」
「そう、あと犯罪とかをした時の罰金刑はまず年収と貯金を聞くのよ」
「そこから罰金はいくらみたいに算出するのか」
「税金に関してはそれこそ取りすぎないけど、安くはない程度の金額なのよね」
オルライト曰くこの国の税金は貴族がきちんと納税しているからこそともいう。
実際貴族がきちんと納税しているからこそ国の問題の多くは解決出来ているとも。
それも含めて貴族は貴族の務めをしっかり果たしている者が多いのだろう。
「ニホンの税金って収入の半分は持っていかれるって、なかなかに重税よね」
「そこに生活費、電気代や水道代とかも差し引くともう少し取られるな」
「お金があるものなの?貧しい人ほどお金が少なくなるんじゃ」
「よく分からん税金もあるしな、贈与税とか相続税とかその辺はマジで意味が分からん」
「そんな税金まであるのね、重税って言っても違和感がないというか」
日本の税金で特に大きいのが自動車関係の税金である。
自動車はそれこそ税金が走っているようなもの。
税金の仕組みは異世界とは違うのは当然としても、明確な目的で設定されていたりもするのか。
「実際税金ってどの程度が一番理想なのかしらね」
「税金に生活費を足した上でやっと五割ぐらいじゃないのか」
「まあそれぐらいがベターな金額ではありそうだけど」
「なんにせよ税金ってのは国家運営には必要なもんだ、取りすぎると平民が飢えるしな」
「税金で国民が飢えたら元も子もないものねぇ」
オルライトはあくまでも貴族である。
政治に参加出来る貴族ともなると爵位はかなり高くなる。
とはいえ国民を食わせていくには重税にするわけにもいかないのか。
「でもニホンってそんな重税な国だったのね」
「寧ろデフレの最中に増税したせいで貧しくなったんだけどな」
「デフレ?それって何かの現象の名前かしら」
「分かりやすく言うなら物価の安さ競争になってる状態みたいな事だな」
「税金は必要なものでも、国民を飢えさせない国を同時にやるのは難しいわね」
日本はデフレ下において増税に走った事で貧しくなった国とも言える。
とはいえこの国も税金は決して安いというわけでもない。
あくまでも貴族がきちんと納税しているからこそ平民は生活出来ているのだとも。
「異世界の税金って何かとあるのね、まあ国が変われば仕組みも変わるのだけど」
「結局は税金ってどの程度が一番ベターなのかって話だしな」
「そうね、多すぎても少なすぎても駄目なんだし、こればかりはね」
父親から出された条件の一つでもある納税額の話。
その金額にもまもなく到達しそうではある。
貴族がきちんと納税するというのは大きな意味を持つ話。
この国は貴族がしっかりしているからこそな部分は大きいのだろう。




