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上下水道を整える

村にも春の暖かさが訪れるようになった季節。

寒い日と暖かい日がどっちも来るのがこの時期の気候だ。

そんな中以前見つけた地下水についても考えていた。

水は大切なものであるからこそ、飲水などに活用出来ないかと。

「そういえばフユの世界って水が美味しかったわよね」

「あの時の事か、何か水についての悩みか？」

「以前地下水を見つけてるんだけど、それを飲水とかに活用出来ないかなって」

以前見つけた地下水も、真水ではあるがそのまま飲むのはやはり危険なもの。

水に関しては今は沸かしたりして飲む事が多いのも水事情の難しさだ。

「地下水を飲水はもちろん、工業用水とかに使えたらいいなって思うんだけど」

「そういや水の事情は何かとあるんだよな」

「ええ、そういえばフユの世界って上下水道が整ってたわよね」

「ああ、上下水道もあるけど水道水が飲めるっていう世界的にも珍しい国だしな」

「水道水が飲めるってそれだけ凄い事なのよね」

こっちの世界にも水道はあるし、水を使った様々な事もされている。

とはいえ飲水に関してはやはり問題も多い。

そのまま飲むというのはまず無理なのだと。

「ニホンって水道水が飲めるなんて凄い国なのね」

「水道の管理とかはそれこそ完全な国営だからな、だからこそだよ」

「水道水が飲めるのはもちろん、あれだけ水が使えるのも凄いというか」

「まあ日本は水資源大国だからな、あと水道水は腐らないっていうのが強いんだよ」

「水も腐るものね、こっちでも水は早めに使い切るのが基本だし」

日本の水道水は腐らないというのが何よりも強いと冬夕は言う。

だからこそ軍隊なんかでもその強さに対する信頼がある。

オルライトも地下水をなんとか出来ないかと考えているようで。

「でも水道水が飲めるっていうのはそれだけ設備や施設が存在してるって事でしょ？」

「ああ、水が綺麗な日本でも湧き水なんかはそのまま飲むなって言われるしな」

「そこはこっちとそんなに変わらないのね、水道水が飲めるのも水を綺麗にしてるからだし」

「浄水場なんかは普通にあるからな、山とか川の真水を飲んだら流石に腹を下すよ」

「そこは変わらないものなのね、そのままの危険っていうのは」

山や川の真水をそのまま飲む事の危険さ。

それは上流のどこで汚れが混じっているか分からないからこそ。

もし上流で何か毒が混ざりでもして、それを下で飲めばどうなるかである。

「でも上下水道を整えるのってどうするべきなのかしら」

「水路とか下水、あとは水道設備とかを整える事じゃないか」

「そうね、あと浄水設備なんかも欲しいけど、そこはどうにかならないのかしら」

「浄水に関してはこっちの世界でそれが出来るかどうかだろ」

「そっちの世界での浄水ってどうやってるの？」

浄水とは主に不純物を取り除き塩素消毒を行ってするもの。

そこにさらに高度浄水処理を行うのが一般的な浄水になる。

水道水が飲めるのはそうした処理がなされているからこそである。

「とりあえず浄水というのは沸かしたりすればいいのよね？」

「家庭でやるならそれでいいけど、大規模なら施設とかも必要にならないか？」

「飲水にするには水の消毒よね？」

「消毒なら塩素が必要だな、あと濾過なんかもして不純物を取り除かないといけないぜ」

「そういう施設を作るのは難しそうね、でも上下水道が整うだけで大きく変わりそう」

オルライトも上下水道を整える事は決まっている様子。

ただ日本のような浄水場は流石に作れそうにない。

地下水を使った上下水道があるだけで大きく変わるのは確かではあるが。

「まずは工業用水や家庭でも飲める程度の飲水が確保出来れば御の字かしらね」

「とはいえ水道水をいきなり飲めるようにしますってのは無理だろうな」

「それは流石に無理よ、でも水道設備を整えるぐらいはしたいわね」

「まあアタシの世界でも水道水が飲める国の方が圧倒的に少ないしな」

「ニホンがそれだけ特殊な国ではあるという事なのね」

水道水が飲める日本が特殊な国という現実。

冬夕の世界でも水道水が飲める国の方が圧倒的に少ない。

なのでこっちの世界で日本レベルの水道設備なんて夢のまた夢か。

「とりあえず計画の目処はついたかしらね」

「でもこの村にも今は上下水道は通ってるよな？」

「ええ、そうなんだけどそれを今よりもよくしたいっていう気持ちはあるわね」

「そういう事か、そのままでも困らないけど、もっと使いやすくしようって事なんだな」

「ええ、時間が許す限りはやってやるわよ」

オルライトが計画している治水事業。

今ある上下水道をさらによくしていくという事になるそうだ。

水は命に関わるからこそでもある。

「でもニホンは水道水が飲めるっていうだけでも凄いのね」

「まあ水に関してはあるだけで困らない話だしな」

「まずは工事の手配とかをしないとね」

オルライトが次に始めるのは治水。

今ある水路や上下水道をさらに大きくしていく。

さらに地下水も上手く活用する事を計画していく事に。

地下水を活用出来れば水を使った産業なども作れるかもしれない。