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ベルの好み

冬がすぐそこまで迫ってきているようで、すっかり寒くなった。

そんな寒くなってきただけに、温かい飲み物が美味しい季節だ。

やはり寒い日は温かいお茶などが美味しい。

そんな中オルライトもスープなどをよくリクエストしている様子。


「あら、仕事はお休みかしら」


「オルライトか、休憩してただけだよ」


「その飲んでいるものは何かしら」


ベルが飲んでいるものは何やら黒い飲み物。


ベル曰くコーヒーという飲み物らしい。


「それでその飲み物はなんなの」


「コーヒーだよ、研究員に家が交易をしてる人がいて、それで送ってきてるんだって」


「へぇ、コーヒーね、美味しいの?」


「僕は好きだけど、そのままだと苦いよ?砂糖なりミルクなりを入れないとね」


「苦いのね、一杯飲ませてもらえないかしら」


オルライトのリクエストもあり、一杯飲ませる事に。

淹れてきたコーヒーは見事に黒い。


一応砂糖やミルクも持ってきた様子。


「苦いわね…ミルクと砂糖ちょうだい」


「はい、どの程度入れるかは自分で調節してね」


「ええ、これぐらいでいいかしら」


「好みだから僕はなんとも言えないけどね」


「うん、これぐらいならいいわね、これなら美味しいわ」


研究員の一人が家から送ってきたというコーヒー。

ブラックでは言うまでもなく苦いもの。


オルライトも砂糖やミルクを入れたもののドバドバ入れる事はなかった様子。


「そういえばコーヒーってあまり聞かないけど」


「話では砂漠や熱帯の国で多く栽培されてるんだって」


「へぇ、だとしたらこの国なんかでは栽培されてないものなのかしら」


「なんでも特定の環境でしか育たないから、作られる環境が限定されるんだって」


「特定の環境でしか育たない、この村で育てるのは無理なのかしら」


ベル曰くこの村でコーヒーの栽培は無理だとのこと。

ならば輸入ぐらいは出来ないかと考える。


栽培されているのは砂漠や熱帯の国が主だというが。


「砂漠や熱帯の国ってコーヒーの栽培に適してるって事なのかしら」


「だと思う、他にも理由はあるんだろうけど」


「まあ輸入ぐらいは出来るものなのよね?」


「研究員の家は取引があって輸入して売ってるらしいよ」


「つまり輸入ぐらいは出来るのね、どこの国に行けばいいのかしら」


オルライトも興味を示したコーヒー。

栽培は無理だが、輸入ぐらいは出来るとの事。


砂漠や熱帯の国となると遠く西の方に行く必要がありそうだが。


「でもコーヒーもこれはこれで美味しいわね、苦いのはあれだけど」


「元々こういう飲み物なんだよ、僕もブラックでは飲まないしね」


「やっぱり砂糖やミルクを入れる事の方が一般的なのね」


「そうらしいね、ブラックは好みが分かれるし」


「コーヒーなんてはじめて飲んだけど、私は結構好きかも」


オルライトもコーヒーは気に入ったようである。

とはいえ基本的には輸入するしかない。


栽培も出来ないので難しいものである。


「それにしてもベルがコーヒーを好きなんて意外な感じね」


「そうかい?まあ昔から甘党だったのはあるけどね」


「甘いものが好きなのは貴族だからよねぇ」


「砂糖が平民には高いものだからね、平民の甘味と言えばはちみつや果物だし」


「そこは砂糖が貴重なものであるという事なのかしらね」


砂糖は村では作っているものの、基本的には高価なものである。

平民にとっての甘味は比較的安価なはちみつや果物が多い。


とはいえ平民でも小麦粉は手に入るので、塩クッキーを作る家などもあるようだ。


「ベルも甘党だから、昔からお菓子はよく食べていたわよね」


「貴族じゃなかったら甘党にはなってなかったとは思うけど」


「砂糖自体が貴族御用達のものが多いからなのよね」


「まあはちみつなんかもいただくけど、砂糖は平民には高いもんね」


「とはいえお菓子が日常的に食べられる事には感謝かしら」


砂糖は貴族御用達のものが多く、平民ははちみつや果物で甘味を摂る。

はちみつや果物は平民でも手が届きやすい甘味なのだ。


ベルも貴族の家に生まれたからこそ甘党を続けられているのだろう。


「コーヒーにも砂糖はたくさん入れるのかしら」


「僕はコーヒーはミルクだけだね、それと甘いお菓子の組み合わせが最高なんだよ」


「そんなものなのね、甘いものと苦いものって合うのかしら」


「それは分からないけど、僕は合うと思うよ」


「甘いお菓子と苦いコーヒー、不思議な感じだわ」


甘いものと苦いものというのは組み合わせとしてはベストマッチである。

特に甘いお菓子と組み合わせるとその美味しさは何倍にもなる。


コーヒーと甘い小麦粉のお菓子は奇跡のマリアージュなのだ。


「でも美味しかったわ、ありがとうね」


「別にいいよ、何か特別な仕事があるなら遠慮なく言ってきてね」


「ええ、何かあればね」


そんなコーヒーの美味しさはオルライトには伝わった様子。

とはいえブラックでは飲めなかったようである。


ブラックコーヒーは好みが分かれる飲み物という事か。


輸入も出来ないか調べてみる事にしたようである。

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