温泉開発の今
季節は秋になり少しずつ涼しくなっていく季節。
それもありいろいろと物事は進んでいく。
そんな中以前から進んでいる温泉計画についての今の報告を受ける。
温泉の方はどうなっているかというと。
「温泉を汲み上げる設備の方はほぼ完成したのね」
「はい、あとは施設などを作ってそこに温泉を引けば温泉宿も出来ますね」
「計画は長くかかったけど、今年中には温泉宿も完成させられそうね」
温泉を引く方はほぼ完成している様子。
あとは大工に頼み温泉施設を立てればとりあえずは完成となる。
「それにしても温泉の計画ももう少しで終わりそうね」
「そうですね、寒い日は温かい温泉に使って過ごしたいですよ」
「それに温泉っていろんなものに効くってフユが言ってたのよね」
「ほう?温泉とはそういうものなんですね」
「ええ、腰痛とか切り傷、リウマチとか他にもいろいろ」
こっちの世界の温泉がそうしたものに効くかは分からない。
ただ温泉による湯治なんかは文化として存在している。
尤も温泉を掘るのはコストが馬鹿にならないので、一部の金持ちがやっている程度だが。
「温泉施設を作るからには宿も併設したいわね」
「温泉宿ですか、いいんじゃないですかね」
「料理とかも考えないといけないし、どうやって客を引っ張るかもね」
「温泉宿、そういう施設が出来れば名物にはなるでしょうね」
「ええ、だからこそ温泉は一大計画なのよね」
温泉に関してもいろいろ考えるオルライト。
とりあえずまずは計画をまとめていくところからである。
温泉施設が完成すればまたさらに多くの客を呼べると考えているからこそだ。
「でも温泉って確か地熱で暖かくなってるのよね?」
「らしいですね、本来は地下水なんですよ」
「それが温められたものが温泉、地下にそんなものがあるなんて驚きよね」
「なんにせよ温泉というのはいろいろ効能があるっぽいですし、湯治客も呼べますかね」
「あと日帰りみたいな事が出来ればいいんだけど」
日帰り旅行というのはこの世界では厳しいかもしれない。
地元民ならともかく、遠方の客は移動に時間がかかる。
移動手段は主に馬車なので遠方からの日帰りは難しそうだ。
「温泉で遠くからのお客も増やせるといいけど、どの程度増やせるのかしらね」
「泊まりで来る旅行客なら村の事を見てもらうのも出来るでしょうしね」
「村を思う存分に楽しんでもらえるのが一番ではあるのよね」
「ええ、なので宿泊客をたくさん連れてくるのがいいでしょうね」
「ただそうしたお客がトラブルを起こす事も想定しておかないとね」
旅行客が増えればそれだけトラブルも増える事になる。
今でさえ移住者による小さなトラブルは起きている。
外から人が入ってくるというのはそういう事でもある。
「遠くから来たお客が気に入ってくれて、移住してくれたりしたら嬉しいけれど」
「そこまでしてくれる人は少ないでしょうね、まあ住みやすいというのはいい事ですが」
「なんにせよ温泉は遠方からお客を連れてくる手段としては有効そうよね」
「ここでしか体験出来ない事があるのならそれが一番いいのでしょうけどね」
「体験、ここはいろんなものがあるから、それ目当てで人が来るのは理想よね」
体験というのは何にも代えがたいものではある。
だからこそ村でしか体験出来ない何かが欲しい。
温泉もそうだが、そうしたものを用意するのは大切なのだ。
「まあ計画はこれからよね、まずは施設を建ててしまわないと」
「大工の人達も張り切って作ってくれると思いますよ」
「あの人達、ここで今まで建てた事のない建物とか作れて楽しそうにしているものね」
「とりあえずは施設が完成してからどの程度来てくれるかでしょうね」
「今も旅行や観光で来る人は多いけど、宿のキャパシティがね」
村が発展してから観客や旅行客は確実に増えた。
同時に宿のキャパシティが思っているよりも少ない事にもぶち当たった。
なので温泉宿は大きな宿泊施設にしてしまうのがいいのだろうとも。
「温泉宿の規模はどれぐらいがいいのかしら」
「宿のキャパシティが今でも少し足りていないので、大きい施設の方がいいかと」
「宿に関しては問題が出来てから増やしたけど、想像以上に来る人が増えてたのよね」
「ええ、なので大きな宿泊施設があればそこは解消されるかと」
「今の問題点も見えてきてるし、その上で計画をまとめておくわね」
宿を増やしたもののそれでも来る人が想像よりも多かった。
なので温泉湯度は大規模にしてしまうのがいいだろう。
特に夏や冬には村に来る客も増えるというデータが出ているようでもある。
「温泉計画もラストスパートね、しっかりと計画を立てなきゃ」
「期待していますよ」
「任せておいて、人をたくさん呼べるようにしてみせるわ」
温泉の計画もいよいよ最終段階に入る。
宿泊施設を兼ねる温泉宿が完成すればそれ目当てで来る人も増えるだろうか。
なんにせよ温泉が村の新たな目玉になる事は確かだろう。
決めた事は最後までやり遂げるのがオルライトなのだから。




