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魔王から見た人間

夏も落ち着き始め、気温も少し下がった村の夏。

そんな中でも村の産業や生産は動き続ける。

工場が建っている事で生産は確実に向上している。

さらなる村の発展のために今日も計画をねっているようだ。


「それにしても魔王って意外と暇なのかしら」


「なんだその言い方は、きちんと仕事を終えて来ているのだぞ」


「ならいいんだけど、魔族の人達にも世話になってるし」


ミラールも仕事を終えて暇になると村にちょくちょく遊びに来る。


魔王は強い相手が好みなのだというので、自警団などにも感心している様子。


「でも魔族って優秀よね、指示もテキパキと出すし、仕事もこなすし」


「魔族はその器用さが強さだからな」


「それに物覚えもいいからどんどん仕事は覚えていくしね」


「うむ、私が信頼する者達だからこそだぞ」


「ミラールはその力で引っ張っていくタイプよね」


魔族というのは強い奴が偉いという社会である。

なのでミラールもその拳で認めさせた程度には強い。


とはいえ魔王としての仕事も面倒と思わずにこなしている。


「魔王から見た人間ってどうなのかしら」


「そうだな、人間は弱い生き物だと思う、だが弱いからこそそれを補う技術がある」


「なるほど、魔族はその体が資本なんだものね」


「ああ、人間は道具を使う事でその弱さを補っている、だからこそ魔族にとっても怖い相手だ」


「人間は弱いからこそ道具を使う方向に進化した、と言いたいのね」


ミラール曰く人間は魔族と比べたら圧倒的に弱いという。

だがだからこそ道具を使うという方向に強くなったとも言える。


人間の道具を生み出すその技術力は魔族のそれより遥かに高いとも。


「人間の道具ってそれだけ凄いものなのね」


「エルフなどもそうだが、道具を生み出すのが苦手な種族もいるからな」


「でもダークエルフやドワーフなんかは道具作りが得意よね?」


「そこは種族の特性とも言えるな、道具は生み出せるが、その方向性とも言うべきか」


「人間は生活を豊かにするために道具を生み出している、そういう事だものね」


道具を生み出す種族は多いが、その中でも人間の生み出す道具は突出しているという。

人間は生活を豊かにするために道具を生み出している。


そここそが他の種族との大きな違いなのだとも。


「でも道具をどんな目的で生み出すか、そこは種族によって違うものなのね」


「魔族の生み出す道具の多くは戦いのためのものだ、強さこそが力だからな」


「その種族の信じるものの違いとかそういうものが色濃く出るって事なのね」


「人間は武器を持たねば弱い、だからこそ人間は誰でも使える武器を生み出すのだろうな」


「誰でも使える武器、確かにそういう視点はなかったわね」


ミラールが言うのは経験の少ない者でも使える武器という事なのだろう。

それは槍や斧、銃などの武器を指しているのか。


なんにせよ魔族から見た人間の恐ろしさは道具にあるようではある。


「魔王から見た人間っていうのも興味深い話よね」


「魔王というのは強き者達の中でも特に強い存在だからこそだな」


「でもだからこそ誰彼構わずに喧嘩を売ったりはしないんでしょう」


「当然だ、闇雲に喧嘩を売るほどに愚かでもないからな」


「魔族なりに人間を見ているのも分かるし、魔族には魔族の強さもあるのね」


ミラールも誰彼構わずに喧嘩を売るほどに愚かでもない。

ただ魔族は強き相手と戦う事を至上の喜びとする。


人間は武器を持たねば弱い、だがその生み出す武器は強いとミラールは思っているようだ。


「でも人間が武器を持たないと弱いっていうのは嘘じゃないのよね」


「オルライトは拳一つで私に向かってきたのは大したものだがな」


「私は柔術とか体術みたいな肉体を使う戦いを修めているもの」


「肉体一つであれだけ強い人間がいるのも驚きなものだったな」


「お父様にも武術の飲み込みだけはやたら早いって言われたものだから」


オルライト曰く父親にも武術の飲み込みだけはやたら早いと言われたらしい。

座学も平均以上には出来るものの、やはり得意なのは武術の方らしい。


そんな中で特に得意なのが体術や柔術、格闘技などの体一つで戦う戦い方なのだとも。


「でもミラールは拳だけで魔王になったのよね?」


「うむ、先代の魔王を拳で打ち負かし魔王になった」


「先代の魔王ってそんなに強かったの?」


「私に負けるまで500連勝していたらしいな」


「また凄い話ね、ミラールがもっと凄いのかは分からないけど」


ミラール曰く先代の魔王はミラールに負けるまで500連勝していたという。

それを打ち負かしたミラールは新たな時代の到来なのか。


なんにせよ魔族というのは強さが偉さという事が分かる話だ。


「でもミラールから見た人間の評価も興味深かったわね」


「相手を知るのもまた強さに繋がるからな」


「新時代の到来なのかしらねぇ」


そんなミラールから見た人間の強さと弱さ。

人間の生み出す道具の素晴らしさもまた見ているからこそ。


生活を豊かにする道具もまた人間らしさなのだと。


人間と魔族では考え方や思想がそもそも違うのだから。

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