学生服が流行っている
村の発展も進み住人も目標の一万人に近づきつつある。
オルライトは父親との約束と自身の自由のために目標へと突き進む。
そんな中ヴィクトリエルが販売したあるものが今は人気なのだという。
それは試作的に作り本格的に売り出したもので。
「忙しそうね、服の生産が増えてるって聞いたわよ」
「これはオルライト様、ええ、学校の制服が他国からも発注が来ているんですよ」
「そんなに売れているのね、凄いじゃない」
ヴィクトリエル曰く、学生服、つまり制服がいろんなところから注文が来ているという。
最初に採用した学校から口コミで他国にまで広まったようである。
「そんなに売れているのね、嬉しい悲鳴かしら」
「はい、特に女学生の服が人気なんですよね」
「それは可愛いとかそういう事かしら」
「そんな感じです、おかげで生産に人員を割く割合が増えてしまって」
「何かと大変なのねぇ」
特に人気なのは女子の制服なのだという。
セーラー服タイプと、ブレザータイプがあり、特にセーラー服が人気なのだという。
ちなみにセーラー服とは元々アメリカ海軍の水兵服である。
「でも学生服を採用してくれた学校にも感謝かしらね」
「ええ、そこから他国にまで広まり、ヴィクトリエルの名前も知られ始めましたし」
「やっぱり人の口伝てで伝わるというのは侮れないものよね」
「全くですよ、どういうネットワークで広まっているのやら」
「商売をやる身としてはそうしたネットワークは把握しておきたいものなのかしら」
やはり情報が伝わるネットワークというのは侮りがたいものがある。
どこから情報が広まっているのかというのは知っておきたいもの。
ちなみにそのついでにヴィクトリエルの本来の売り物である服も売上が伸びているという。
「でも名前が知られるという事はそれだけ売れるようになったんでしょ」
「そうですね、学生服以外の服も以前と比べて凄く売れるようになりました」
「本業が知られてそっちも売れるようになった、新進気鋭の服のブランドの躍進よね」
「ええ、まだ創業から10年も経っていないというのに」
「ここを拠点にするようになってから、いろいろやるようになったからかしら」
本社は今でも王都に残してあるヴィクトリエル。
とはいえ村から本社にも情報はしっかと行っている。
それに伴い本社の方でも生産体制を整えてくれているようだ。
「そういえばフユが言ってたけど、セーラー服って海軍の水兵服が元々らしいわよ」
「あれ水兵の服だったんですか、それがなぜ学校の制服になったんでしょうか」
「そこまでは聞いてないけど、水兵服はいろいろ機能性に優れているとは聞いたわ」
「なるほど、確かに作っていてこれはよく出来ていると思いましたね」
「でも学校の制服ってお金がない人でも割と買える価格なのがいいわよね」
水兵服というのは元々の職業的にも機能性には優れている。
その一方でブレザータイプの制服は男子の制服もよく売れているという。
学ランは流石に異世界ではそんなに売れないと判断したようである。
「とはいえ学生服って想像以上に売れてたのねぇ」
「ええ、採用した学校の新入生が100人増えたところもあると言われますね」
「100人増えたは流石に誇張しすぎなんじゃないかしら」
「ですがそれぐらい学生に人気という事ですよ」
「想像以上に売れてまさに嬉しい悲鳴が聞こえるっていう事なのね」
ヴィクトリエル曰く、学校の制服はそこまで高くないのがいいという。
それでありながら質はいいものが揃うので、貴族からしても興味を持たれているとか。
学校の制服はそれだけ人気の服に育ったという事のようである。
「それで売上とかはどの程度なの」
「去年の売上は800万程度でしたね」
「新進気鋭のブランドでそれだけ売ったのは大したものね」
「だからこそシンボルとなるような服を作りたいとも思うんですよね」
「ヴィクトリエルのシンボルと言えるような服ね」
ヴィクトリエルのシンボルとなるような服。
それは何が出来るかという事にもなってくる。
やはり服屋というのはブランド力が大切なのだから。
「とりあえず何か必要なら遠慮なく言ってきてね」
「はい、とりあえず今は生地の安定供給がされれば平気でしょうから」
「分かったわ、これからもしっかりね」
ヴィクトリエルの学生服は大きく売上に貢献した。
学校の新入生が100人増えたという噂もある。
本当かどうかはともかくそれだけ売れたという事。
何がきっかけかなんて分からないものである。




