夏本番が来た
すっかり夏本番になりオルライトも暑さを浴びている季節。
あれから冬夕の世界への扉は開いていないようである。
そんな中でもオルライトは村の発展にいろいろ尽力する。
なお冬夕はこっちに結構よく来ているようで。
「あれからフユの世界には行けずじまいね」
「なんだったんだろうな、あの時のあれは」
「また行きたいわね、いろいろ楽しかったもの」
あれからオルライトの世界移動は出来ていない様子。
その一方で冬夕はちょくちょくこっちに来ているようで。
「でも結局なんで私はあっちに行けたのかしら」
「アタシに聞くな、アタシの世界じゃただでさえ目立つのに」
「まあフユがこっちで目立ってるのと同じ理由よね」
「そういう事だ、でもなんでアタシの部屋のクローゼットに帰る扉が開いたんだか」
「何か特殊な力が働いたとかかしら、伝承の樹が扉の役目を持ってるらしいとは聞いたし」
伝承の樹は扉の役割を持っている。
それが結果として冬夕とオルライトを双方の世界に移動させたのか。
繋がった理由は結局は分からないままである。
「それでフユの世界も今は夏なのよね」
「ああ、夏休みももうすぐだよ、クソ暑い季節が来るんだろうな」
「そういえばフユの世界だと泳ぐ時に水着を着るんでしょ」
「ああ、そうだけど、あとスーパー銭湯なんかも水着だったりするな」
「スーパー銭湯?何かしらそれ」
以前調査した温泉の調査報告は受け取っているオルライト。
どうやら地下に温泉があるらしく、それを使って大浴場の建設が始まっている。
大浴場が出来れば少しは楽になるだろうという事でもある。
「スーパー銭湯って大きな公衆浴場の事でいいの?」
「そんな感じだな、そこに食事の施設とか遊戯施設なんかも併設してたりするとこだよ」
「なるほど、いろんな施設を一つに詰め込んだ総合施設みたいな感じなのね」
「そうだな、風呂に入ってから飯を食ったりとか遊んだりとかも出来る施設だよ」
「へぇ、それは面白そうね、そういう施設が出来たら楽しそう」
とはいえスーパー銭湯を作っても遊戯施設は限られてきそうではある。
ゲーム機なんかはこっちの世界には当然ないものである。
とはいえ建設はすでに始まっている以上、ここから追加を入れるのもあれである。
「それなら何か涼を取れる施設とかないかしら」
「涼を取れる施設ねぇ、図書館はエアコンが効いてる施設としては定番だな」
「図書館って、本を読む施設の事よね?」
「そうだよ、いろんな本があって無料で好きなだけ読めて借りていく事も出来るな」
「無料で借りられるなんて凄いわね、フユの世界は本を読むのが楽しそうだわ」
涼を取れる施設で図書館を出してくる辺りが冬夕らしい。
プールとかにはあまり行かないタイプらしいので、そんな性格なのか。
とはいえ図書館というのはオルライトには面白い施設のようで。
「図書館ってそれだけたくさんの本がある施設なのよね?」
「ああ、リクエストすれば読みたい本を仕入れてもらえたりもするぞ」
「へぇ、そういうシステムまであるのね、ますます興味深いわ」
「図書館でも建てようとか言うんじゃないだろうな」
「それも面白そうとは思うわよ、本なら私の私財を使えば集められるし」
オルライトも図書館には興味があるようではある。
とはいえ図書館には空調が必須であり、なおかつ窓をつけられないというのもある。
本が日光で焼けてしまわないようにしなければいけないのも図書館には求められてくる。
「図書館の建設も計画してみようかしら、本が読めるようになれば何かと捗るし」
「まあやりたいってんなら止めはしないけどよ」
「だとしたら図書館を建てられる土地を確保しないとね」
「オルライトって本当に何事もまずはやってみる性格だよな」
「だってやってみないと分からないじゃない」
オルライトも図書館の建設には前向きな様子。
実際学校なども建設したのだから図書館を建てても何もおかしくはない。
まずは土地の確保からする事にしたようではある。
「でも涼が取れる施設が図書館なんて面白いわね」
「図書館は冷房が効いてるからな、涼しいから夏はよく図書館に涼みに行くんだよ」
「それは空調が必要って事になってくるわね」
「図書館はそれこそエアコンがあるから行くようなもんだしな」
「フユらしいというかなんというか」
とりあえずは図書館の建設は決まった様子。
エアコンに関してはマテリアルハンドに依頼してみる事に。
図書館の本はオルライトの私財で買い集める事にした。
「図書館、勉強が出来るって大切よね」
「まあ必要だと思うならそれでいいと思うぜ」
「ええ、ぜひともやるわよ」
そうして図書館の建設を決めたオルライト。
学ぶ事が出来るというのはそれだけ大きな意味がある。
冬夕曰く図書館は冷房が効いてるから夏は涼みに行くという。
家庭用のエアコンとは涼しさが段違いなのが図書館の魅力でもある。




