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旅行者達の案内

春の陽気も本格化してきた暖かい季節。

そんな中村の方も様々な事を試みている。

料理などの名物作りや、産業を作り輸出などをしたりも始めた。

また工場の建設も順調に進んでおり、夏頃にはもっと規模は大きくなる予定だ。


「あら、バルカ、何をしているのかしら」


「ああ、オルライトさん、旅人達が来てたんで少し案内をしてたとこです」


「旅人、旅行者とかそういう人達かしら」


どうやら旅人の案内をしていたというバルカ。


確かに周囲には20程度の団体客が来ているようだ。


「それにしても観光客まで来るようになったのね」


「それはオルライトさんが宣伝にも力を入れてくれたおかげですよ」


「まあそうね、ただトラブルも少なからずあるから、その辺はきっちり取り締まらないと」


「そうですね、まあその辺は自警団なんかがなんとかしますよ」


「自警団もすっかり強くなったわよね」


旅人達の案内をしていたというバルカ。

今は各自自由行動らしく、何かあれば声をかけるように伝えてあるとか。


元々は辺鄙な田舎の漁村が今ではすっかり規模の大きな村になっているという事である。


「でも宿とかを建てたのは正解だったかしらね」


「ですね、まあそのうちもっと大きい宿も建てるんでしょう」


「ええ、今は中規模クラスの宿しかないから」


「元々は人が住む村ですからねぇ、その辺は区画でも分けた方がいいんじゃないですか」


「元々区画によって特定のお店を集中させるとかはやったんだけど」


オルライト曰く区画によってある程度の偏りは持たせているらしい。

商業区や居住区、また繁華街なんかも区画分けしてある。


なので区画分けはされても、そこに住み続ける人もまたいるという事である。


「それにしても団体の旅行客まで来るようになったのね」


「ええ、宣伝はきちんと届いてるっていう事ですよ」


「その辺は努力はきちんと実ってる感じがして安心するわね」


「まあ技術などを盗もうとしても意外と難しいですよね」


「そりゃエルフがやる農業とかドワーフがやる鍛冶や細工は人間には真似は難しいわよね」


もしかしたら技術を盗もうとする産業スパイ的な人も紛れているかもしれない。

とはいえそんな人達に簡単に盗めるものではないのもまた事実。


なにせ異世界から参考にした食べ物や、普通ではとても高価な砂糖やスパイスもあるからだ。


「でも旅行客まで来るようになったのは嬉しい限りだわ」


「ここでしか買えないものや食べられないものは確実にありますしね」


「以前までは小さな漁村だったなんて自分でも信じられないわよ」


「ここまで発展させたのはオルライトさんの行動力があってこそですよ」


「そうね、昔から文句を言う暇があるなら黙って行動してたタイプだから」


オルライト自身出来ない事に文句を言うよりも、まずはやってみるタイプの性格だ。

その行動力の化身っぷりこそが今の村の状態なのだろう。


少し前まで小さな漁村だったというのも嘘の様になっているのだから。


「ただ問題は私がお父様との約束を果たしてからよね」


「その時は領主は辞めちまうんですか?」


「今は分からないわ、でももし許可されたのなら正式に領主になってもいいとは思うけど」


「今はあくまでも代行の身、お父上との約束を果たすためですか」


「結婚したくなくて領主代行を引き受けて約束の条件を達成するのが今の目標だし」


オルライトが領主代行を引き受けたのはそもそも結婚したくなかったからである。

その条件をクリアした時その後については今は白紙なのだという。


ただ認められるのなら正式に領主になる事を願い出る可能性はあるのだという。


「前任の領主様も病で倒れて、復帰するかは未定なんでしょ?」


「ええ、なのでその時は交代も可能性はあるとは聞かされてますね」


「ならそのまま私が領主を引き継いじゃった方がいいのかしら」


「どうでしょうねぇ、領主は必ずしもその領民から選ばれるわけでもないですし」


「あくまでも国が決めた人間が派遣されるのが領主というシステムだものね」


領主というのは国が決めた人間を派遣してその土地を治めるシステムだ。

オルライトの代行も前任の領主が病の治療で仕事が出来なくなったからこその通達だ。


貴族達に一斉に通達が届き、そこから手を挙げるシステムなのだという。


「なんにせよ今後の事は四年目の終わりまでには決めておくわ」


「ええ、村の人もオルライトさんを気に入ってますしね」


「それじゃ案内はしっかりしてあげてね」


今後については今は完全な白紙。

ただ許されるのなら正式に領主になる事も検討したい。


代行はあくまでも婚約解消のための父親との勝負だという事。


今は村の発展に力を注ぐ事にしているのだ。

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