冬が来てるよ
すっかり春の陽気になり三年目の滑り出しも順調な様子。
そんな中冬夕の世界は今は冬なので、当然冬服で転送されてくる。
そんな冬服も興味があるようではあるため、いろいろ聞かれている。
なお一番驚いているのは冬服ではなく足の方にあるらしい。
「フユの世界って今は冬よね?」
「ああ、冬だな、クリスマスが近い時期だ」
「それなのにその足、寒くないの?」
冬なのに生足というのはやはり驚かれる様子。
そこにハイソックスにミニスカなので聞いてるこっちが寒くなるようである。
「でもフユの着てる冬服っていい素材使ってるのね」
「このコートとかか?これでも安い方なんだけどな」
「これでもなの?なんか意外だわ」
「まあガチで高いコートとかは毛皮とかそういうのだからな」
「ふーん、そういえばクリスマスってなんなの?」
オルライトはクリスマスが気になっている様子。
クリスマスとはなんなのかを聞いてくるオルライト。
簡単に説明をしてみる事に。
「それでクリスマスってなんなのかしら」
「簡単に言うとある宗教の教祖様の生誕祭だな」
「生誕祭なのね、でも今はそんな感じでもないとか?」
「今はそうでもないな、基本的に美味いもん食ってプレゼント贈ったりとか」
「プレゼント?子供に贈り物をするとかかしら」
サンタクロースという小太りの白ひげのおじさんが子供の枕元にプレゼントを置いていく。
それだけ聞くと不審者にも聞こえなくはない。
とはいえそれがクリスマスなのは確かである。
「そのサンタクロースっていう人が子供にプレゼントを届けてくれるって事なの?」
「ああ、煙突から入ってくるって言うけど、今は煙突のある家は珍しいけどな」
「つまり窓とかから入ってくるって事なの?やっぱり不審者に聞こえるわね」
「まあ分からなくはない、それにアタシからしたらクリスマスは飯がメインだしな」
「フユは美味しいものを食べられるのが楽しみなのね」
冬夕はクリスマスは美味しいものを食べられるのが楽しみだという。
プレゼントとかはぶっちゃけそこまで気にしていない。
寧ろ美味しい食べ物を食べる事がメインだと考えている様子。
「でもクリスマスは本来は宗教の教祖様の生誕祭だったのよね」
「元々はな、まあそういうのは時代や国が変われば変わってくるものなんだろうよ」
「なるほど、クリスマスも時代の移り変わりや入った国によって変化していったのね」
「だと思ってるぜ、だから今のクリスマスは美味いもん食ってエロい事する日だよ」
「エロい事って、あなたもう少しデリカシーを持ったら」
そういう事に躊躇いがないのも冬夕らしさか。
とはいえ聖夜改め性夜などと言われているのもまた事実。
クリスマスは今はそんな日なのである。
「とはいえクリスマスがそういう日なのは分かったわ」
「アタシも一度七面鳥を食ってみたいんだけど、アタシの国だと手に入りにくいしな」
「七面鳥ね、クリスマスの定番料理って事かしら」
「ああ、まあアタシの国だと手に入りにくいからフライドチキンを食うのが一般的だよ」
「代替品って事かしら、そういう文化なのね」
なんにせよ冬夕にとってのクリスマスは美味しいものを食べる日。
だからこそクリスマスはそれが楽しみなのだ。
プレゼントはもらうような歳でもないと思っている様子。
「そういう日があるのは分かったけど、祝ったり祝わなかったりとかあるのかしら」
「まあ宗教の教祖様の生誕祭って言っても、今はそれも特に関係ないしな」
「ふーん、でもプレゼントって欲しい物をもらえたりするの?」
「欲しい物を書いたりはするけど、欲しい物がもらえるとは限らないな」
「そうなの?期待が打ち砕かれそうでなんか嫌じゃないかしら」
クリスマスプレゼントは欲しい物がもらえるとは限らない。
それは子供の期待を打ち砕く事もある。
そういう苦い思い出を経験するクリスマスもあったりするものなのである。
「クリスマスはとりあえず分かったけど、そういう祝祭の日はあってもいいかもしれないわね」
「まあ何か適当に理由をつければいいと思うしな」
「そういうところはフユらしいというか」
「それにクリスマスは祝日でもねぇしな」
「そうなの?クリスマスって平日なのね」
クリスマスは祝日ではない。
休みの日に重なる事は普通にある。
なお日本人はイブにやたらとうるさいくせに当日は嘘のように静夏になるなるのである。
「クリスマスの話は興味深いわね」
「まあそんな大層な日でもねぇよ」
「祝日でもないならきっとそうなのかしらね」
冬夕はクリスマスが終わってからクリスマスケーキを買うタイプだ。
安くなってるクリスマスケーキでも味は大して変わらない。
なのでクリスマスケーキは安売りが始まってから買うのだ。
冬夕は美味しいものを食べるのが好きなのだから。




