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魔王と魔族達

すっかり春の陽気になり三年目も順調に動き出した。

そんな中村にちょくちょく遊びに来るようになった魔王様。

魔王から借りている魔族達も村の様々な現場で役立っている。

魔族というのは様々な場面で役立つので助かっているとか。


「それにしても魔王が遊びに来てていいのかしら」


「なに、仕事はしているのだからいいだろう」


「それはそうなんだけど、まあいいのかしらね」


そんな魔王も人間の世界には興味がある様子。


人間界は面白いから来ているというのは本人の談。


「魔王って具体的に何をしてるの?人間界の王様と同じなのかしら」


「そうだな、魔族をまとめ上げるのが魔王の仕事だ、だからこそ強くあらねばならん」


「でも魔族の価値観って力が全てなのよね?」


「ああ、強い奴が王になる、それが魔界の昔からの仕組みだ」


「強い奴が王になる、でも強い人っていうのは次々に出てくるものよね」


強い人というのは常に変わっていくもの。

だからこそ強き者は強くあるために努力を重ねる。


挑戦者を返り討ちにしてこそ真の強さという事なのかもしれない。


「それはそうと魔族の人達は役立ってるわよ、いろいろ出来て助かるわ」


「うむ、魔族というのは器用さが武器だからな」


「確かに器用よね、肉体労働も頭脳労働も出来るし」


「魔族は器用だからこそ戦にも強いのだ、前も後ろも任せられるからな」


「でもなんでそんな器用なのかしら、そういう指導法とかがあるの?」


魔族が器用な理由はその価値観にあるとも言える。

強き者が王となる世界では器用な方が強いのだとミラールは言う。


魔界は王が割と頻繁に変わるからこそなのかもしれない。


「魔族は悪いものだと思ってたけど、実際そうでもないのね」


「そういう教育をしているのか?人間達は」


「そんな事はないわよ、偏見を持ってる人はいるけど」


「オルライトはそういう偏見は特に持っていないようだな」


「そもそも会った事もないのに、偏見なんて持ちようがなかったもの」


魔族に対して偏見を持つ人は少なからずいる。

とはいえ実際はそんな事もなく、普通に友好的な種族だ。


魔族が村で働くようになってから、様々なところから助かっていると言われるという。


「魔族って順応性が高いのかしら、村でも役に立つぐらいだし」


「魔界は元々過酷な環境だからな、そこで生きていくには強くなるしかないのだ」


「つまり弱い人は自然と淘汰されていくって事なのかしら」


「そんなところだな、弱い奴は生き残れない、そういう環境なのだ」


「ミラールも強いのね、肉体的にも精神的にも」


ミラールがどれだけ強いのかは言うまでもない。

それに拳を叩き込んだオルライトもまた大概ではあるが。


やはり強さというのは難しいのだろう。


「魔族も強い人を王と認めるのなら、元々そんな強くない人はどうなるの?」


「魔界は王を倒したものが新たな王になる、だがそんな強い奴はそうそう現れん」


「とはいえ王様が変わるのは人間界に比べたら短いスパンなのかしら」


「それはあるだろうな、魔界は長くても10年程度で王が変わるからな」


「10年って、思ってるより短いような長いような」


長くても10年程度で王が変わるのが魔界らしい。

なので人間界に比べたら王が変わるスパンは圧倒的に短い。


それは王を倒せる者がそれぐらいの間隔で現れるという事でもあるのか。


「魔界の王様ってそんな短い間隔で変わるものなのね」


「人間にとっての10年が長いか短いかにもよるとは思うがな」


「確かにね、でも魔王って思ってるよりは短い間隔で変わるとは思うけど」


「なんにせよ魔族が必要なら追加の人員も用意してやるぞ」


「そうね、今は足りているから必要と感じたら言うわ」


ミラールも魔界というものを知っているからこそ魔王になれたのだろう。

しかし魔界というのはミラールのような小さな人でも王になれる。


強さというものに体の大小は関係ないのかもしれない。


「ミラールがここに来るのは楽しいからなのよね」


「当然だ、人間というのは私にとって興味の対象だからな」


「言うものね、まあ来る分には別に構わないけどね」


「うむ、オルライトは私のマブダチだからな」


「マブダチって、そんな不良みたいな」


ミラールもオルライトの事は認めている。

自分に一撃を入れた人間を認めないはずがないという事でもある。


強い人間はしっかりと認めるのが魔族の精神だ。


「それでまた来るのよね」


「うむ、気が向いたらまた来るぞ」


「村の人達も歓迎してるし、まあいいのかしらね」


ミラールもこの村を気に入っているようではある。

そして拳を入れたオルライトも認めている。


強き存在は魔族にとっての信仰対象だ。


強き者が王になるというのも魔界の価値観であり、魔族の生き方なのだ。

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