モノローグ・ジュノ3
朝、ケイゴがアッシュと一緒に俺の泊まる宿にやってきた。
冒険者はよほど裕福でない限り家などもてない。俺のようなしがない冒険者は安価な仮宿住まいがお似合いだ。
きっと俺はよほど酷い顔をしていたのだろう。ケイゴが顔を洗うジェスチャーをした。
ケイゴには「座って待っていてくれ」と言い、冷たい水で顔を洗ってきた。
ケイゴは「買い物に付き合え」と言ってきた。
ああ、サラサへのお返しか。俺もどうしようかと思っていたんだ。二人で渡せるなら気が楽だし好都合だからな。
俺はOKした。
歩きながらケイゴとは色々と話をした。といっても一方的に俺が話をし、ケイゴはうんうんと頷くだけだったが。
それでも、気持ちはずいぶんと軽くなった。ケイゴは余計なことは一切言わない。あえてそうしてくれているのがわかる。
こんな誰にも相談できないようなことを話したのはケイゴが初めてだ。
きっと言葉が通じないから話の半分もわからなかったんじゃないかと思う反面、こうして俺が一番辛い時に隣にいてくれている。
なので、理解してくれているんじゃないかとも思う。それでも、何も言わないで聞いてくれるのが一番ありがたい。一人でも信頼して本音の話ができる友達がいるという、ただそれだけの事実で救われる。
俺とケイゴはアクセサリー屋に行き、二つセットでつけると合いそうなデザインの違うシルバーと青い宝石でできたネックレスと髪飾りをそれぞれ購入することにした。
ネックレスはケイゴ、髪飾りは俺だ。これならサラサも喜んでくれるだろう。
サラサの店に立ち寄り、ブレスレットのお礼だと言って渡したらとても喜んでくれた。
サラサの笑顔を見て俺は心が少しだけ痛んだが、ケイゴのおかげで前ほどの痛みは感じなかった。
ケイゴに全てを話せたことで、サラサへの気持ちが吹っ切れた気がする。
それにぐちぐち悩むのは男らしくない。俺は弱き女子供をモンスターから守る剣士だからな。失恋で落ち込んでいる無様をいつまでも晒すわけにはいかんだろう。
そうだな、また新しい恋でも探すとしよう。




