表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/617

モノローグ・ザック1

 俺はレスタという町でしがない冒険者をやっている者だ。名前は……、この際どうでも良いだろう。


 俺の話を聞いてくれ。



 俺は普段、スライムやゴブリンを倒して、スズメの涙ほどの稼ぎで何とか生活しているような状況だ。


 察しの通り、あまり強いとは言えない方だ。


 マルゴというオッサンがやっている、武器防具店には世話になった。未だに恩は返せていない。


 あるとき、この町の貴族さまが冒険者ギルドにいる俺たちに向かって、森のダンジョン攻略が成功した暁には、金貨五枚をやると言って、強制的に連れ出された。



 いやいや、なんで俺なんだよ。装備や実力を見てから言えよ。



 案の定、ヘルハウンドとコカトリスに囲まれて、ダンジョン攻略どころか、入り口にすらたどり着けなかった。まあ、俺は最初から戦う気なんかなかったから、無事に逃げられたけどな。


 そうしたら、後から貴族の手下がやってきて、一週間牢屋に入れられた。



 俺が何をしたっていうんだよ!



 そして、またスライムやらゴブリンを倒す毎日を送っていると、タイミング悪くまた、貴族が冒険者ギルドに入ってきて、今度は金貨六枚やると言ってきた。



 ふざけるな!



 ギルドのダンさんとギルドマスターは、一緒に貴族に抗議していたが、結局貴族の権力には屈せざるを得なかったようだ。



 だから、なんで俺なんだよ……。



 今度も散々だった。貴族の馬もコカトリスの石化攻撃で、お陀仏。貴族は、かろうじて手下に運ばれ脱出。



 俺? もちろん戦えるわけがないから、即逃げて無事だったさ。



 知り合いが怪我をしていたので、肩を貸してやった。


 レスタの町までの通り道に風変わりな男の家があるので、とりあえずそこに逃げ込んだ。


 すると、なんということだ。その男、ポーションを沢山もっていて、俺たちを治療して、飯まで作ってくれたんだ。



 貴族も石化攻撃を受けていたのだが、ポーションで回復したようだ。それはたぶん俺には絶対手が出ないほど、めちゃくちゃ高いポーションだ。


 俺の知り合いも手当てしてもらって、翌日には傷が治っていた。俺たちはその男に礼を言ったが、何でもないというふうに手を振られた。格好良い。



 せめてもと、俺たちは金を出し合って、お礼をした。それに比べ、貴族の野郎、びた一文も払いやがらねえ。お前、命救われたんだぞ!


 もう俺に関わらないでくれと言いたい。



 ここから北にある、タイラントの町の冒険者ギルドに拠点を移そうかな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ